松原 弘樹
大学院先进理工系科学研究科
E-mail: hmtbr_at_hiroshima-u.ac.jp (注: _at_は半角@に置き換えてください)
本研究成果のポイント
〇気液界面や液液界面は、固体表面に比べて分光测定の适用难度が高く、その基础物性には明らかでない点が数多く残されている。
〇この论文では、気液界面に形成した界面活性剤と饱和アルカンの混合吸着膜を対象に、表面準弾性光散乱法と全反射齿础贵厂法を駆使して、吸着膜の相転移现象にともなう界面の物性変化を计测した。&苍产蝉辫;
〇吸着膜の正确な物性评価は、泡やエマルションの安定性の理解とも密接に関连し、洗浄や化粧品などの関连产业の発展にも贡献できる。
概 要
界面活性剤は炭化水素锁のような水に亲和性の低い(油に亲和性の高い)疎水基と水に亲和性の高い亲水基をあわせもった构造をしており、空気‐水、油-水界面に吸着して単分子膜を形成する。
洗浄や乳化に用いられる界面活性剤の多くは、十分な亲水性を担保するために亲水基にイオン性(解离性)の亲水基を有し、吸着分子が横方向に反発するため吸着密度に限界があるのが普通であるが、この研究では界面活性剤イオンの间の空间を饱和アルカン分子が充填することで极めて炭化水素锁密度の高い膜构造が形成できることを报告している。&苍产蝉辫;
この吸着膜の相転移现象(単分子膜の液体‐固体転移)は、表面準弾性光散乱法による吸着膜の粘弾性の不连続変化によって确认され、また、界面活性剤イオンの対イオンである臭化物イオンの水和环境を液面全反射条件で测定した齿线吸収微细构造法(齿础贵厂)では、吸着膜相転移によって面内での流动性が低下した界面活性剤への対イオン吸着が促进されることも明らかとなった。
吸着膜相転移にともなう界面物性の大きな変化は、泡やエマルションの安定性を温度でスイッチングするような新規な構造-物性相関の創出につながる可能性が高く、コロイド化学専門誌 Langmuirのサイドカバーに選出された。

"Reprinted with permission from Langmuir 2023, 39, 22, 7759–7765. Copyright 2023 American Chemical Society."
【论文情报】
Matsubara, S., Funatsu, T., Tanida, H., Aratono, M., Imai, Y., & Matsubara, H. (2023). Effect of Surface Freezing of a Cationic Surfactant and n-Alkane Mixed Adsorbed Film on Counterion Distribution and Surface Dilational Viscoelasticity Studied by Total Reflection XAFS and Surface Quasi-Elastic Light Scattering. Langmuir, 39(22), 7759-7765. https://doi.org/10.1021/acs.langmuir.3c00591