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【研究成果】反強磁性トポロジカル絶縁体を世界で初めて発見! ~未知の素粒子アクシオンの発見に加速~

本研究成果のポイント

  • 反强磁性トポロジカル絶縁体を世界で初めて発见しました。
  • 未知の素粒子アクシオンの引き起こすトポロジカル电気磁気効果の実现に道が开きました。

概要

広島大学大学院理学研究科 木村昭夫教授の研究グループは、ロシア?サンクトペテルブルグ大学やスペイン?ドノスティア国際物理センターなどとの国際共同研究として、広島大学放射光科学研究センターにて高輝度シンクロトロン放射光(*1)やレーザー光を利用した角度分解光电子分光法(*2)を用いて「反强磁性トポロジカル絶縁体」を世界で初めて発见しました。今回の研究成果は、未知の素粒子アクシオン(*3)が引き起こすトポロジカル电気磁気効果などの新しい量子现象の観测に向けた研究が加速されることが期待されます。

本研究の成果は、英国の科学雑誌「狈补迟耻谤别」に掲载されるのに先立ち、オンライン版に掲载されました。

用语解説

*1. シンクロトロン放射光
光の速度(地球を一秒间に7週半する速さ)までに电子を加速し、磁场でその进行方向を曲げると、同时に进行方向に强力な光が放出される。これがシンクロトロン放射光である。自然界では星云の中に放射光を见つけることができるが、地上では専用の加速器が必要である。シンクロトロン放射光は、人类が手に入れた最も强力な光で「梦の光」とも呼ばれる。本実験は広岛大学放射光科学研究センターで行われました。当施设は国立大学法人としては唯一の放射光施设で、数多くの国内外ユーザーが利用する、共同利用?共同研究拠点です。

*2. 角度分解光電子分光
物质に光を照射すると、光电効果と呼ばれる现象によって、电子が固体表面から放出されます。この放出された光电子のエネルギーと放出角度を测定し、エネルギー保存则と运动量保存则を利用して固体内部の电子のエネルギーと运动量の决定する手法を角度分解光电子分光と言います。光源としてシンクロトロン放射光(*1)やレーザー光などが用いられます。

反強磁性トポロジカル絶縁体候補物質MnBi2Te4の結晶構造と理論計算による表面バンド構造

図1. (a)反強磁性トポロジカル絶縁体候補物質MnBi2Te4の結晶構造と(b)理論計算による表面バンド構造。

(补)四角で囲まれているように、テルルとビスマスとマンガン(中央)の原子层からできた7层ブロックが基本単位となり、弱い力で积层しています。それぞれのブロックのマンガン层の磁気モーメントがブロックごとに上向きと下向きに交互に并んで正味の磁化を持たない「层状反强磁性」となっています。

(b)理論計算からバルクバンド(緑色)のエネルギーギャップの中に存在するスピン偏極した表面バンドに大きなエネルギーギャップ(86 meV)が予言されました。

论文情报

  • 掲载誌:狈补迟耻谤别
  • 論文タイトル: Prediction and observation of an antiferromagnetic topological insulator
  • 著者名: M. M. Otrokov1, I. I. Klimovskikh2, D. Estyunin2, A. M. Shikin2, E. F. Schwier3, S. Kumar3, 木村昭夫4, E. V. Chulkov1、他36名
    1 ドノスティア国際物理センター
    2 サンクトペテルブルグ大学
    3 広島大学放射光科学研究センター
    4 広島大学大学院理学研究科
  • DOI: 10.1038/s41586-019-1840-9
【お问い合わせ先】

広岛大学大学院理学研究科物理科学専攻
教授 木村 昭夫

TEL: 082-424-7400 

E-mail: akiok*hiroshima-u.ac.jp

(注:*は半角蔼に置き换えてください)


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