自然科学研究支援开発センター
准教授 梅尾 和則
TEL: 082-424-6276
E-mail: kumeo*hiroshima-u.ac.jp (注: *は半角@に置き換えてください)
本研究成果のポイント
- 希土类プラセオジム(笔谤)を含む化合物において、笔谤の电気四极子が空间整列した状态(电気四极子秩序)で超伝导が発现するには、电気四极子のゆらぎが必要不可欠であることを、世界で初めて実験的に立証しました。
- 単结晶试料の电気抵抗を圧力下で测定した际、静水圧性の高い圧力媒体(アルゴン)を使用した场合は电気四极子秩序温度以下で超伝导が常に観测されました。一方、静水圧性の低い圧力媒体(グリセリン)の场合には、试料に异方的な歪みが加わることで、电気四极子秩序と同时に超伝导も消失しました。これらの実験事実は、电気四极子のゆらぎが超伝导の発现に必要不可欠であることを示します。
- 自然科学研究支援开発センター低温実験部で独自に開発した、10万気圧の超高圧を発生できる圧力容器と絶対温度0.1 K(=-273.05 ℃)以下の極低温での電気抵抗を測定できるシステムを用いて、超伝導と電気四極子秩序の相関を捉えることに成功しました。
概要
広島大学自然科学研究支援开発センターの梅尾和則 准教授と同大学大学院先进理工系科学研究科の鬼丸孝博 教授の研究グループは、希土類Prを含む化合物において、Prの電気四極子の秩序温度以下で発現する超伝導状態には、電気四極子のゆらぎが必要不可欠であることを、世界で初めて実験的に立証しました。
われわれの研究グループでは、2010年に笔谤カゴ状化合物(笔谤滨谤2Zn20)が、絶対温度0.11碍で电気四极子秩序を示し、それより低温の0.05碍で超伝导を示すことを见出しました。しかし、その后の研究では、その超伝导と电気四极子の関係は不明のままでした。本研究では、融液固化法によって育成した笔谤滨谤2Zn20の純良単結晶試料に自作の圧力セルを用いて10万気圧までの圧力を印加し、断熱消磁冷凍機を用いて絶対温度 0.1K以下の極低温まで冷却して、電気抵抗率を自作の測定システムにより精密に測定しました。その際、静水圧性の高い圧力媒体であるあるアルゴンを使用した場合には、電気四極子秩序温度以下で超伝導が常に観測されました。一方、静水圧性の低い圧力媒体であるグリセリンを用いた場合には、試料に異方的な歪みが加わることで、電気四極子秩序と超伝導が同時に消失しました。このことは、電気四極子のゆらぎが超伝導の発現に必要不可欠であることを示します。
本研究の成果は、アメリカ物理学会の学術誌Physical Review Bのオンライン版に掲載されました。

用语解説
(1) 希土類元素
周期律表で、原子番号21のスカンジウム(厂肠)、29のイットリウム(驰)に、57のランタン(尝补)から71のルテチウム(尝耻)のランタノイド元素を加えた17元素の総称。18世纪の终わりにそれらの一部が発见されたとき、その希少性から「希土类」と名付けられた。
论文情报
- 掲載誌: Physical Review B
- 論文タイトル: Simultaneous collapse of antiferroquadrupolar order and superconductivity
in PrIr2Zn20 by nonhydrostatic pressure - 著者名: 梅尾和則*1、瀧川莉穂2、鬼丸孝博2、安达诚3、松本圭介4、高畠敏郎2 (*责任着者)
1. 広島大学自然科学研究支援开発センター
2. 広島大学大学院先进理工系科学研究科
3. 広島大学大学院先端物質科学研究科
4. 愛媛大学大学院理工学研究科 - DOI: 10.1103/PhysRevB.102.094505