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本研究成果のポイント
- 希土类元素颁别が磁性を持たないはずの価数揺动状态(1)にある金属间化合物を、絶対零度近傍まで冷やすことにより、隠れていた磁性(2)を発见
- 高精度の膨张率测定に加えて、世界最先端の微视的プローブ(3)を组み合わせた日?独?英の国际共同研究による成果
概要
広島大学大学院 先进理工系科学研究科 量子物质科学プログラムの志村恭通助教、津田研博士前期課程学生(当時)、鬼丸孝博教授、高畠敏郎特任教授および、独:アウグスブルグ大学のアンドレアス ウォーリ博士後期課程学生、フィリップ ゲーゲンヴァルト教授の研究グループと、英:ラザフォード?アップルトン研究所のデバシバイ アドロージャ博士らの研究グループと、独:マックスプランク研究所のマーティン サンダーマン博士とケルン大学のアンドレア サヴァリン博士らの研究グループは共同で、磁性をもたないはずの希土類金属CeIrSnにおいて、絶対零度に近い極低温領域で、磁気相関の発達を示す証拠を見出しました。
ネオジムなどの希土類元素を含む化合物では、4f電子が磁性を担います。しかし、希土類のセリウム(Ce)を含む化合物の場合、4f軌道に電子が出入りする価数揺動状態では、いくら温度を下げてもf電子による磁性が現れないことが知られていました。本研究では、Ceが擬カゴメ格子を組む金属間化合物CeIrSnに注目しました。そして、そのCeイオンが数100ケルビンの巨大なエネルギーをもつ価数揺動状態にあるにも関わらず、2 ケルビン以下の極低温で磁気相関の発達を見出しました。具体的には、広島大学で育成された単結晶試料を用いて、ドイツで硬X線光電子分光実験、イギリスで中性子非弾性散乱実験を行い、Ceイオンの価数揺動状態を決定づけました。続けて、ドイツで高精度の膨張率測定、イギリスでミュオン緩和実験を行い、極低温でf電子による磁性の発達を観測しました。このように、本研究成果は、巨視的/微視的プローブを包括的に組み合わせた日?独?英の国際共同研究により達成されました。
本研究の成果は、アメリカ物理学会の学術誌Physical Review Lettersのオンライン版として掲載されました。

図1 CeIrSnの磁歪係数 (磁場による結晶歪を試料の長さで規格化して、磁場で微分したもの)
弱磁场、极低温领域で顕着な负の磁歪が観测され、6テスラ以上の磁场を印加すると失われる。
挿入図は颁别滨谤厂苍の结晶构造の一部、図のように颁别が拟カゴメ格子を组む二次元ネットワークが纸面と垂直方向に积层した构造をもつ。
図2 颁别滨谤厂苍の磁场と温度の相図。约500ケルビン以下で颁别イオンの4蹿轨道に电子が出入りする価数揺动状态が形成され、磁性が失われる。さらに、それよりも2桁も低い约2ケルビン以下で磁気相関が発达する。
论文情报
- 掲載誌: Physical Review Letters
- 論文タイトル: Antiferromagnetic correlations in strongly valence fluctuating CeIrSn
- 著者名: Y.Shimura*、A.W?rl*、M.Sundermann*、S.Tsuda、D.T.Adroja、A.Bhattacharyya、A.M.Strydom、A.D.Hillier、F.Pratt、 A.Gloskovskii、A.Severing、T.Onimaru、P.Gegenwart、and T.Takabatake(*Equal Contribution)
- DOI: https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.126.217202
(研究に関すること)
広島大学大学院 先进理工系科学研究科 量子物質プログラム
助教 志村 恭通