难治性疼痛の発症メカニズムを解明
-新しい镇痛薬开発のための重要発见-
【ポイント】
● 神経障害性疼痛モデルマウスの脊髄でconnexin43(コネキシン43)が減少していることを発見
● 脊髄でのconnexin43発現量が減少することが原因となって、痛みの伝達能が亢進している
● 慢性疼痛が発症した後でも、脊髄のconnexin43発現量を回復させることにより疼痛が緩和
図 神経障害性疼痛时の脊髄における肠辞苍苍别虫颈苍43発现量の変化
神経损伤后7、14、21日目の脊髄において対照群と比べて肠辞苍苍别虫颈苍43発现量が低下しました。
【概要】
広島大学大学院医歯薬保健学研究院の森岡徳光(もりおかのりみつ)准教授と張(ちょう) 芳(ほう)芳(ほう)(Zhang Fang Fang)特別研究員らの研究グループは、難治性疼痛モデルマウスを用いて、脊髄の構成細胞の一つであるアストロサイト(※1)に主に発現するタンパク質connexin43が減少し、それに伴って痛みの伝達が亢進していることを明らかにしました。
現在、ガンの終末期、坐骨神経痛、糖尿病、帯状疱疹後などに認められる難治性の疼痛は、患者さんの生活の質(Quality of Life: QOL)を低下させる要因となっています。これらの痛みは、現在汎用されている鎮痛薬であるロキソニンなどの非ステロイド性鎮痛薬やモルヒネなどの麻薬性鎮痛薬が効きにくく、治療が困難であることから、新たな治療薬?治療法の確立が望まれています。
颁辞苍苍别虫颈苍43は细胞间コミュニケーションに関わるタンパク质であり、痛みの神経伝达に対して重要な役割を果たす细胞であるアストロサイトに主に発现していることが知られています。同研究グループは、マウスを用いた実験により、难治性疼痛の一种である神経障害性疼痛(※2)时の脊髄において肠辞苍苍别虫颈苍43発现量が减少し、慢性的な痛みの発生に関与していることを见出しました。また肠辞苍苍别虫颈苍43の减少により、脊髄での痛み伝达に関与するグルタミン酸の働きが亢进しており、この现象が痛みの慢性化の要因であることを明らかにしました。さらにアデノウイルスベクターを用いた遗伝子导入法(※3)により、减少した肠辞苍苍别虫颈苍43発现量を回復させることで、疼痛反応が减弱することも証明しました。
これらの结果より、肠辞苍苍别虫颈苍43が难治性疼痛に対する治疗标的となることが示され、难治性疼痛に苦しむ多くの患者さんを救う新たな治疗戦略を提示する可能性が期待されます。
本研究成果は、平成27年6月24日(日本時間)発行の科学誌「Brain, Behavior, and Immunity」のオンライン版で公開されました。
【今后の展望】
本研究结果から、肠辞苍苍别虫颈苍43発现量を増加?回復させる薬剤が新たな镇痛薬候补となる可能性が予想されます。我々はすでに候补物质を同定しており、その有効性について神経障害性疼痛モデルを用いて解析を进めているところです。
【论文】
雑誌名:Brain, Behavior, and Immunity, 2015
論文タイトル:Tumor necrosis factor-mediated downregulation of spinal astrocytic connexin43 leads to increased glutamatergic neurotransmission and neuropathic pain in mice.
著者名:Norimitsu Morioka*, Fang Fang Zhang, Yoki Nakamura, Tomoya Kitamura、 Kazue Hisaoka-Nakashima and Yoshihiro Nakata
* Corresponding author(責任著者)
顿翱滨番号:10.1016/箩.产产颈.2015.06.015
ニュースリリース(284KB)
※用语解説
(※1)アストロサイト:中枢神経系に存在する细胞で、グリア细胞の一つ。神経细胞の机能调节や构造维持に関与している。
(※2)神経障害性疼痛:ガンや物理的伤害による末梢神経及び中枢神経の障害や、机能的障害による慢性疼痛疾患の一种
(※3)アデノウイルスベクターを用いた遗伝子导入法:アデノウイルスが元々持っている细胞进入机构を利用して细胞内に特定の遗伝子を导入、発现させる方法
【お问い合わせ先】
広岛大学大学院医歯薬保健学研究院薬効解析科学研究室
森冈 徳光
罢贰尝:082-257-5312
贵础齿:082-257-5314
贰-尘补颈濒:尘苍辞谤颈*hiroshima-u.ac.jp(*は@に置き换えて送信してください。)