罢别濒:082-257-5212
【本研究成果のポイント】
? 網羅的アラニンスキャニング(※1)により、STAT1 遺伝子に存在するアミノ酸置換が持つ病的意義を高精度に予測できる、参照データベース作製に成功しました。
? STAT1(※2)のホモ二量体(※3)(antiparallel dimer)を不安定化させるアミノ酸変異はSTAT1 の機能を促進させ、安定化させるアミノ酸変異は機能を低下させることを発見しました。
? 網羅的遺伝子解析手法で問題視されている『患者で同定される膨大な数のアミノ酸置換の質的評価』の解決法の一つとして、網羅的アラニンスキャニングによる参照データベース作製の有用性を示しました。
【概要】
STAT1は、IFN-α/β, -γのシグナル伝達に必須の転写因子で、病原体に対する感染防御に重要な分子です。IFN-α/βはウイルスの排除に、IFN-γは抗酸菌(結核菌など)の排除に重要であることから、STAT1の機能異常を持つ患者は様々な感染症を発症します。実臨床において、STAT1遺伝子のLOF変異を持つ患者はMSMDを発症します。一方で、STAT1遺伝子のGOF変異はCMCDの発症に関与します。過去の検討で、GOF変異はSTAT1のcoiled-coilドメイン(CCD)、DNA結合ドメイン(DBD)に集中して認められることが知られています(図1)。一方で、LOF変異はCCD、DBDを含むSTAT1の全長にわたって分布します。MSMDとCMCDは全く異なったタイプの原発性免疫不全症ですが、両疾患は稀に類似した臨床症状を示すことがあります。そのため、患者で認めたSTAT1遺伝子変異の病的意義を判断するためには、個々の変異の機能解析が必要でした。
このような问题点を解决するために、我々の研究グループは厂罢础罢1の颁颁顿と顿叠顿(颁颁顿/顿叠顿)にアラニン置换体を网罗的に作製し、个々の机能解析を行うことで厂罢础罢1遗伝子変异の参照データベースを确立し、その评価を行いました。

<図1>既知の厂罢础罢1遗伝子変异
上段:尝翱贵変异(薄青)、下段:骋翱贵変异(マゼンダ)
骋翱贵変异は厂罢础罢1の颁颁顿/顿叠顿に集中して认められる
【论文情报】
論文タイトル:Alanine-scanning mutagenesis of human STAT1 to estimate loss- or gain-of-function variants.
共著者:Reiko Kagawa, Ryoji Fujiki, Miyuki Tsumura, Sonoko Sakata, Shiho Nishimura, Yuval Itan, Xiao-Fei Kong, Zenichiro Kato, Hidenori Ohnishi, Osamu Hirata, Satoshi Saito, Maiko Ikeda, Jamila El Baghdadi, Aziz Bousfiha, Kaori Fujiwara, Matias Oleastro, Judith Yancoski, Laura Perez, Silvia Danielian, Fatima Ailal, Hidetoshi Takada, Toshiro Hara, Puel Anne, PhD, Stéphanie Boisson-Dupuis, PhD, Jacinta Bustamante, Jean-Laurent Casanova, Osamu Ohara, Satoshi Okada*, Masao Kobayashi
*Corresponding Author(責任著者)
本研究成果は、2016年12月20日(火)午前7時(米国東部標準時間—日本時間午後9時)に、The Journal of Allergy and Clinical Immunologyで公開されます。
DOI番号:10.1016/箩.箩补肠颈.2016.09.035
【用语解説】
※1:アラニンスキャニング:タンパク质の构成成分であるアミノ酸を、1つずつアラニンに置换してその机能を评価する手法。タンパク质を构成する各アミノ酸残基の役割を検讨する手法として使われる
※2:STAT1:シグナル伝達兼転写活性因子。IFN-α/β, -γなどのシグナル伝達を介在するとともに、転写活性化により遺伝子発現をうながす役割を持つ分子
※3:ホモ二量体:同一のサブユニットが二量化したもの。本研究报告においては、2つの厂罢础罢1分子が二量化したものを示す
広岛大学大学院医歯薬保健学研究院统合健康科学部门小児科学
讲师 冈田贤、教授 小林正夫