TEL: 082-257-5125
E-mail: hashik*hiroshima-u.ac.jp (*は半角@に変換して送信してください)
本研究成果のポイント
- マウス顔面のヒゲ領域から小脳への触覚信号の伝達経路を解析した結果、顔面からの触覚信号は視床 - 中脳領域 (area parafasciculus prerubralis (PfPr))を介して小脳に伝達されることを新たに見出しました。
- 笔蹿笔谤から小脳への投射は种间で保存されており、大脳や小脳などの高次な脳からの修饰を受ける部位でもあります。本研究は、小脳の体性感覚情报処理における机能的意义の解明に贡献することが期待されます。
概要
「触覚」は、皮膚の感覚受容器が触圧感覚を受容し、脳に伝達することで発生します。顔面の触圧感覚(触覚)は、まず「三叉神経核」という脳部位に集められます。その後、触覚の主要な情報処理器官である「大脳皮質 体性感覚野」に送られ、様々な触覚に関する信号処理が行われるとされています。触覚信号は大脳皮質以外の脳領域にも送られますが、その機能的役割については多くが不明のままです。
広島大学大学院医歯薬保健学研究科 橋本浩一教授と久保怜香大学院生らの研究グループは、マウスの顔面からの体性感覚信号が、これまで知られていなかった経路を通じて小脳に伝達されていることを見出しました。
顔面の触覚信号は、area parafascicularis prerubralis (PfPr) と名づけられている、視床から中脳領域にわたる比較的広い領域で中継され、最終的に小脳へ送られていました。小脳は運動の制御に重要な器官で、PfPr領域は様々な脳領域からの情報が集約される部分です。PfPrから小脳への信号伝達経路はサルのような高等動物でも確認されており、重要な役割を持っていると考えられていましたが、触覚に関わることはこれまで知られていませんでした。本研究は、触覚の信号処理がもつ機能的な多様性の一端を明らかにする手がかりを与えるものとして注目されます。
本研究結果は、英国の医学系雑誌「The Journal of Physiology (London)」に掲載されました。

论文情报
- 掲載雑誌: The Journal of Physiology
- 論文題目: The anatomical pathway from the mesodiencephalic junction to the inferior olive relays perioral sensory signals to the cerebellum in the mouse
- 著者: 久保 怜香1、饗場 篤2、橋本 浩一1
1. 広島大学大学院医歯薬保健学研究科神経生理学
2. 東京大学大学院医学系研究科附属疾患生命工学センター動物資源学部門 - DOI番号: 10.1113/JP275836
広岛大学大学院医歯薬保健学研究科 神経生理学
教授 桥本 浩一