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【研究成果】放射线治疗による副作用を染色体异常数の血液検査から予测~个人の放射线感受性に基づいた个别化治疗の可能性~(动画あり)

本研究成果のポイント

  • がん治疗において、放射线治疗は抗がん剤の治疗や手术と并んで重要な役割を果たしています。しかし、同じ放射线治疗でも、副作用が强く出る症例があることが问题となっています。
  • 私たちは、放射线治疗の副作用には个人の放射线感受性の违いが関係すると考え、放射线治疗中の症例について末梢血リンパ球の顿狈础损伤と染色体异常を解析しました。その结果、末梢血リンパ球の染色体异常数が、副作用の予测指标となる可能性が示されました。
  • 今回の研究は、个人の放射线感受性に基づいた个别化治疗の确立につながることが期待されます。

概要

広岛大学大学院医系科学研究科放射线肿疡学の今野伸树医师と永田靖教授、広岛大学原爆放射线医科学研究所の田代聡教授らの共同研究チームは、放射线治疗により引き起こされる末梢血リンパ球中の顿狈础损伤と染色体异常を解析した结果、放射线治疗による副作用を末梢血リンパ球の染色体异常数から予测できる可能性があることを示しました。
放射線治療は、多くのがんにおいて標準治療の一つとして重要な役割を果たしています。その有用性が認識される一方、皮膚炎や粘膜炎、肺臓炎といった放射線治療特有の副作用が時として問題となります。放射線治療による副作用を予測するために、これまで様々な解析が行われてきました。 放射線治療の副作用は正常組織に照射される線量と体積に依存するため、照射された線量や体積の関係が、副作用の予測指標として有用とされていました。

しかし、副作用の程度は、同程度の线量、照射体积の治疗を受けた患者间でも个人差があることが知られています。このため、副作用は个人の放射线感受性の违いによるものと考えられています。したがって、放射线治疗の副作用予测のために、放射线感受性の指标を确立することは极めて重要な课题となっています。しかし、これまでの技术では染色体解析は熟练した技术と时间がかかり、放射线感受性の计测を一般的な医疗に导入することは困难でした。

今回の研究では、私たちが开発した効率的に染色体异常を検出することが可能な笔狈础-贵滨厂贬法(※1)などを用いて、放射线治疗患者の治疗中の末梢血リンパ球の顿狈础损伤および染色体异常数の変化を评価し、放射线治疗による副作用の予测指标を検讨しました。5~6週间の放射线治疗を受けた食道がん症例18症例を対象とし、治疗前、治疗中から治疗后半年までの期间で、一人あたり11回の血液サンプルを解析し、最适な予测指标とタイミングを検讨しました。

解析には顿狈础二本锁切断のマーカーであるγ-贬2础齿(※2)の免疫蛍光染色法(図1)と笔狈础-贵滨厂贬法(図2、文献1)を用いました。その结果、副作用が発生していない放射线治疗开始2週后の染色体异常数が、重症の副作用が认められた症例では认められなかった症例より多いことが明らかになり、治疗开始2週后の染色体异常数が副作用の予测指标になる可能性があることが明らかになりました(図3)。

今回の研究では、放射线治疗中末梢血リンパ球で评価した个人の放射线感受性と放射线治疗による副作用の関係が示されました。この研究成果は、放射线治疗における副作用予测、个人の放射线感受性に基づく个别化治疗の确立に繋がることが期待されます。

この研究成果は、2021年3月発行の米国放射線生物学専門誌「Radiation Research」(VOL.195?NO.3)に掲載されました。

図1 DNA二本鎖切断のマーカーであるγ-H2AXの免疫蛍光染色法

左: 放射線治療前 右: 放射線治療後

図2 染色体异常を検出することが可能な笔狈础-贵滨厂贬法

図3 放射线治疗の副作用と染色体异常数の関係

用语解説

(※1) PNA-FISH法
PNA (Peptidic Nucleic acid) プローブを用いたFISH (Fluorescence in situ Hybridization) 法により、染色体を解析する技術。染色体の中央部セントロメアと末端テロメアを蛍光色素で可視化することにより、放射線被ばくによる二動原体染色体や環状染色体などの染色体異常を効率的に検出することが可能となった。

(※2) γ-H2AX
放射线により二本锁顿狈础が切断された场所では、ヒストン贬2础齿がリン酸化(γ-贬2础齿)される。顕微镜では、γ-贬2础齿が细胞核の中で点状のフォーカスとして検出される。1つのフォーカスに顿狈础二本锁切断が1箇所含まれている。

论文情报

  • 掲載誌: Radiation Research
  • 論文タイトル: Evaluating individual radiosensitivity for the prediction of acute toxicities of chemoradiotherapy in esophageal cancer patients
  • 著者名: Nobuki Imano,a, b Ikuno Nishibuchi,b Emi Kawabata,a Yasuha Kinugasa,a Lin Shi,c Chiemi Sakai,d Mari Ishida,d Hiroaki Sakane,e Tomoyuki Akita,f Takafumi Ishida,g Tomoki Kimura,b Yuji Murakami,b Kimio Tanaka,a Yasunori Horikoshi,a Jiying Sun,a Yasushi Nagata,b Satoshi Tashiro,a,1
    a: 広島大学?原爆放射线医科学研究所?細胞修復制御研究分野
    b: 広島大学大学院医系科学研究科?放射線腫瘍学
    c: 徐州医科大学 放射線診断学
    d: 広島大学大学院医系科学研究科?心臓血管生理医学
    e: 広島大学大学院医系科学研究科?放射線診断学
    f: 広島大学大学院医系科学研究科?衛生学
    g: 福島県立医科大学?循環器内科学
    1: 責任著者
【お问い合わせ先】

広島大学 原爆放射线医科学研究所 細胞修復制御研究分野

教授 田代 聡

TEL: 082-257-5818

E-mail:  ktashiro*hiroshima-u.ac.jp (注: *は半角@に置き換えてください)


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