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【研究成果】夜勤時の覚醒水準の維持と疲労感の低減を可能とする仮眠のとり方 ~90分間と30分間の分割仮眠と120分間の単相性仮眠の効果~

研究成果のポイント

  • 夜勤中にとる仮眠は眠気を軽减し、パフォーマンスの维持にも有効であることが明らかになっています。眠りには、急速眼球运动を伴うレム睡眠と伴わないノンレム睡眠の2种类があり、ノンレム睡眠の睡眠段阶3は徐波睡眠(深睡眠)と呼ばれ、脳の休息と回復、成长に関与し、入眠后90分程度で最初のレム睡眠が出现し、情报制御に関する点検と更新が行われていると考えられています。その為、入眠に要する时间も加味して疲労の回復には120分间の仮眠が推奨されていますが夜勤中にとる仮眠取得时间は限られています。今回、16时间夜勤(16:00-09:00)を想定し、120分间の仮眠を1回にまとめてとる単相性仮眠と120分间を90分间と30分间に分けてとる分割仮眠と比较した结果、仮眠を分割することで早朝の眠気を抑え、特に疲労感の低减効果に优れていることを明らかにしました。
  • この研究成果は、长时间夜勤に従事する看护师や、夜间に危険を伴う作业に従事する労働者など、长时间集中力の维持を可能とし、労働者の健康にも有効な仮眠のとり方の确立に繋がることが期待されます。

概要

 広岛大学大学院医系科学研究科基础看护开発学 折山早苗教授は、これまでに看護師の労働環境、特に夜勤時の仮眠について研究し効果を検証してきました。今回、これまでに収集した実験データを再分析し、16時間夜勤を伴う2交代制勤務の看護師の一般的な夜勤の時間帯を想定し120分間の仮眠(22:00-00:00)をまとめてとる単相性仮眠条件1)、90分間(22:30-00:00)と30分間(02:30-03:00)に分けた分割仮眠条件2)、仮眠をとらない仮眠条件3)の3条件を睡眠状態、心拍変動、眠気や疲労感、クレペリン検査による計算数を比較検討しました。
 结果、仮眠时の平均の睡眠时间は、120分间仮眠が93.1分间、90分间仮眠が68.4分间、30分间仮眠が20.1分间で、睡眠効率*1の平均はいずれも90%以上、睡眠潜时*2の平均は10分以下でした。仮眠间で统计的な违いを认めませんでした。仮眠时の睡眠状态と仮眠直后の体温、眠気、疲労感、计算数の相関関係から、総睡眠时间が长いと120分仮眠は疲労感が増加し、30分仮眠は眠気が増加することが明らかになりました。また、90分仮眠は睡眠潜时が短いと、体温が上昇し、眠気や疲労感も増加することが示されました。
 仮眠をとらない条件は早朝に眠気や疲労感が増加しましたが、仮眠を2回に分けてとった分割仮眠条件が、仮眠を1回にまとめてとった単相性仮眠条件よりも早朝の眠気を抑え、疲労感の低减効果に优れていることを确认しました。本研究成果は、夜间睡眠が限られる长时间の夜勤状况下においては、1回の仮眠をとるよりも2回に分けて仮眠をとる方が、眠気や疲労感の低减に繋がることが示されました。また、仮眠をとる时刻や时间で覚醒时の体温や眠気や疲労感に影响することが明らかになりました。
 本研究成果は、夜勤に従事する労働者の疲労感の改善、覚醒水準维持のための有効な仮眠のとり方を开発する基础资料として役立てられることが期待されます。
 本研究成果は、2023年6月18日に国際科学誌「Scientific Reports」に掲載されました。

论文情报

掲载誌:Scientific Reports
论文タイトル:Effects of 90- and 30-min naps or a 120-min nap on alertness and performance: reanalysis of an existing pilot study
着者名:Sanae Oriyama
広岛大学大学院医系科学研究科基础看护开発学
DOI:丑迟迟辫蝉://诲辞颈.辞谤驳/10.1038/蝉41598-023-37061-9

背景

 夜勤时にとる仮眠には、记忆力や学习能力の向上、覚醒水準の维持や疲労の改善に効果があります。さらに仮眠は、ヒューマンエラーのリスクを低减することで安全性を高める可能性もあります。
 看护师は、患者サービスを24时间提供する职务の性质上、交代制勤务が不可欠です。看护师の交代制勤务で最も长时间の夜勤は16时间とされ、看护师の疲労や眠気の増加による医疗安全に対するリスクの増大が危惧されています。こうした状况の中、夜勤时にとる仮眠の効果が注目され、16时间夜勤に従事する看护师の多くは仮眠をとっていますが、眠気や疲労、作业能力を维持するため有効な仮眠のとり方は十分に明らかになっていません。
 これまでの仮眠研究は、昼间にとる15分间の仮眠など短时间仮眠の有効性が明らかにされていますが、夜间の仮眠については、120分间以上の仮眠が推奨されています。しかしながら、看护师の勤务は、交代で休憩に入るため、仮眠の取得时刻や时间は一様ではありません。そのため、120分间の仮眠の取得时刻によっては、长时间の夜勤终了时まで効果を持続することは难しい场合もあります。そこで、今回、120分间の仮眠をまとめてとる场合と90分间と30分间に分割して仮眠をとる场合を比较し、仮眠による眠気や疲労感の変化を明らかにしました。

研究成果の内容

 本研究は、これまでに実施した実験結果を再分析しました。睡眠に影響する因子として、年齢や女性ホルモンが影響し、夜勤従事者は夜勤慣れが生じると言われています。中高年齢期の睡眠は加齢とともに質が悪くなり、女性では性周期も影響し黄体期に比較的倦怠感が強く、眠気も増加傾向となります。また、看護師の多くが女性であることを考慮し、対象者は、夜勤経験のない大学4年次の女子学生とし、黄体期を避けてデータを収集しました。単相性仮眠条件(仮眠時刻:22:00-00:00)1)を14人、分割仮眠条件(仮眠時刻:22:30-00:00、02:30-03:00)2)12人、仮眠なし条件3)を15人の計41人を対象として仮眠の効果を検証しました。夜勤時間帯を16:00-09:00とし、実験開始から終了まで心拍変動より自律神経活動を確認するためアクティブトレーサー(GMS Inc., Tokyo, Japan)を装着しました。1時間毎に口腔温を測定し、眠気や疲労感の自覚的評価としてVisual analog scaleを使用しました。また、クレペリン検査による1桁の計算を10分間実施しました。毎時間、測定時間を20分間、自由時間20分間、安静時間を20分間としました。なお、前日から実験後までアクチグラフ(Ambulatory Monitoring Inc., Ardsley, NY, USA)を非利き手に装着し、睡眠状況も確認しました。
 结果、仮眠时の平均の睡眠时间は、120分仮眠が93.1分间、90分间仮眠が68.4分间、30分间仮眠が20.1分间で、睡眠効率はそれぞれ90.5%、96.2%、99.1%、睡眠潜时は8.6分间、9.3分间、5.8分间で、睡眠効率、睡眠潜时は仮眠间で统计的に违いを认めませんでした。睡眠状态と仮眠直后の体温、眠気、疲労感、计算数の相関関係の结果から、総睡眠时间が长ければ120分仮眠は覚醒时に疲労感が増加し、30分仮眠は眠気が増加することが明らかになりました。また、90分仮眠は睡眠潜时が短いと、覚醒时に体温が上昇し、眠気や疲労感も増加することが示されました(表)。この结果から、22:00に120分间の仮眠をとる场合は120分间よりやや短い时间とする方が覚醒时の疲労感を抑える可能性が示されました。また、22:30に90分间の仮眠をとる场合には、昼间に短时间の仮眠をとり睡眠欲求を低减することが必要かもしれません。さらに、02:30に30分间の仮眠をとる场合も30分间より短时间にすることで、覚醒时の眠気を抑えることができるかもしれません。
 仮眠をとらない条件は早朝の04:00-09:00に眠気や疲労感が増加し、计算数も低下しました。计算数については、仮眠をとった条件と仮眠をとらなかった条件で同様に低下しました(図础)が、疲労感は、仮眠を2回に分けてとった分割仮眠条件が、仮眠をまとめてとった単相性仮眠条件よりも04:00-09:00の期间、有意な疲労感の低减効果を认めました(図叠)。また、眠気についても、仮眠直后に一时的に増加しましたが、分割仮眠条件は06:00までは眠気が少なく覚醒水準の维持効果を确认しました(図颁)。

今后の展开

 本研究では、120分间仮眠を90分间と30分间に分割しその効果を确认しましたが、今后は仮眠直后の一时的な眠気や疲労感の増加を防ぐ方法を组み合わせたり、仮眠环境の整备をしたりすることで夜勤时の疲労や眠気を理由に离职する看护师の离职防止にもつなげることが期待されます。
 さらに将来的には、看护师だけでなく夜行バスのドライバーや交代制勤务に従事する工场で働く労働者などを対象として、夜勤中に覚醒水準の维持が必要とされる时间帯に合わせた仮眠のとり方を开発することで、労働者の心身の负担軽减と安全安心な职场环境の醸成にも期待されます。

参考资料

用语説明

*1睡眠効率:入眠から起床までの时间帯に占める全睡眠时间の割合(%)
*2睡眠潜时:静止期时间帯の始まりから入眠までの时间(分)

【お问い合わせ先】

大学院医系科学研究科基础看护开発学 折山早苗
罢别濒:082-257-5355
贰-尘补颈濒:辞谤颈测补尘补*丑颈谤辞蝉丑颈尘补-耻.补肠.箩辫

 (注: *は半角@に置き換えてください)


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