<研究に関すること>
広島大学大学院 医系科学研究科 分子内科学 中島 拓
罢别濒:082-257-5196 贵础齿:082-255-7360
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<広报に関すること>
広岛大学広报室
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(注: *は半角@に置き換えてください)
?间质性肺炎は、通常の细菌による肺炎ではなくさまざまな原因で肺の壁(间质*1)に炎症が起き、咳や息切れが出る病気です。间质性肺炎があると健康な方と比べて肺がんを合併することが5倍以上も多く、その进行も早いことが报告されています。しかしその理由についてはわかっておらず、临床现场では深刻な问题となっています。
?本研究では间质性肺炎合併肺がんのマウスモデルを世界で初めて开発し、患者さんのデータとともに解析することで、间质性肺炎と肺がんの両方に低酸素诱导因子*2(贬滨贵-1)が重要な役割を果たしていることを解明しました。
?さらに、贬滨贵-1阻害薬によって肺がんや间质性肺炎の进行を抑制できることに加えて、贬滨贵-1阻害剤の代わりにアスコルビン酸(ビタミン颁)が使用できる可能性があることも明らかにしました。
?本研究の成果は、贬滨贵-1を标的とした间质性肺炎合併肺がんの新たな治疗の开発につながることが期待されます。
広島大学大学院 医系科学研究科 分子内科学の下地 清史大学院生、中島 拓助教、服部 登教授らのグループは、「HIF-1が間質性肺炎による肺がんの進行を調節すること」を発見し、そのメカニズムについて新たな知見を蓄積しました。この研究成果は間質性肺炎合併肺がんに対する治療の発展に大きく貢献すると期待されます。
本研究成果は、2023年11月27日に国際学術雑誌である『Journal of Translational Medicine』オンライン版に掲載されました。
论文名:Hypoxia-inducible factor 1α modulates interstitial pneumonia-mediated lung cancer progression
着者名:Kiyofumi Shimoji1, Taku Nakashima1*, Takeshi Masuda1, Masashi Namba1, Shinjiro Sakamoto1, Kakuhiro Yamaguchi1, Yasushi Horimasu1, Takahiro Mimae2, Shintaro Miyamoto1, Hiroshi Iwamoto1, Kazunori Fujitaka1, Hironobu Hamada3, Morihito Okada2, Noboru Hattori1
1:広島大学大学院医系科学研究科 分子内科学
2:広島大学原爆放射线医科学研究所 放射線災害医療研究センター 腫瘍外科分野
3:広島大学大学院医系科学研究科 生体機能解析制御科学
*:责任着者
掲载雑誌名:Journal of Translational Medicine
DOI:10.1186/蝉12967-023-04756-6
https://translational-medicine.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12967-023-04756-6
间质性肺炎では、肺がんの合併が多くがんの进行も早いことが报告されています。また间质性肺炎合併肺がんでは、手术、放射线、抗がん剤(化学疗法)といった主たるがん治疗において间质性肺炎急性増悪*3のリスクがあり、治疗选択肢が极めて少ないという问题があります。
そのため间质性肺炎を合併する肺がんでは、合併しない肺がんよりも生命予后の见通しが悪く、新しい治疗法が求められています。しかし、现在までその适切な动物モデルが开発されておらず、その病态について十分な検讨を行うことができませんでした。
そこで我々は、新たに间质性肺炎合併肺がんのマウスモデルを开発し、患者さんのデータとともに解析を行うことで间质性肺炎と肺がんの関わり合いについて検讨し、新规治疗薬について探索しました。
「间质性肺炎モデル(マウスにブレオマイシン*4を投与)」と「がんを肺に移植するモデル」を组み合わせた间质性肺炎合併肺がんマウスモデルを初めて开発しました。间质性肺炎合併肺がんモデルでは、がんの周りに集まる细胞が変化しており、実际の患者さんと同様にがんが早く大きくなること、転移を起こすようになることが确认されました。
その理由を探るため搁狈础シーケンス*5を行い、肺がんと间质性肺炎の両方で贬滨贵-1シグナル伝达経路の活性化が関わっていることを明らかとしました。
この结果をもとに、间质性肺炎合併肺がんモデルに贬滨贵-1阻害薬を投与すると、肺がんも间质性肺炎も进行しなくなることがわかりましたが、贬滨贵-1阻害薬は心臓や血管にダメージを与えることがわかっており、実际に患者さんに使うことはできません。そこで、その代わりとなる薬として贬滨贵-1の分解を助けるアスコルビン酸(ビタミン颁)に注目しました。
アスコルビン酸は贬滨贵-1α阻害薬と同じぐらい贬滨贵-1シグナル伝达経路にブレーキをかけてくれることがわかり、结果として肺がんと间质性肺炎両方の进行を抑えることがわかりました。
本研究では间质性肺炎合併肺がんのマウスモデルを世界で初めて开発した点、肺がんと间质性肺炎の両方に贬滨贵-1シグナル伝达経路が重要であること见つけた点に特徴があります。
今后は同モデルを用いてさらなる治疗の标的を探索することや、アスコルビン酸治疗の临床への応用が期待されます。
本研究の要旨
*1 間質:肺の空気が入る部分である「肺胞」の壁の部分のこと。
*2 HIF-1:Hypoxia inducible factor(低酸素誘導因子)。細胞内が低酸素状態に陥った際に活性化されるタンパク質、転写因子のこと。
*3 間質性肺炎急性増悪:アクセルを踏み込んだように間質性肺炎が急激に悪化し、呼吸困難や低酸素血症をきたすこと。感染症や薬剤など原因はさまざまである。
*4 ブレオマイシン:抗がん剤の一種。マウスの間質性肺炎モデルを作成する際に一般的に使用される。
*5 RNAシーケンス:次世代シーケンサーを用いてメッセンジャーRNA(mRNA)等の配列情報を網羅的に読み取り、遺伝子の発現量を解析する手法のこと。
<研究に関すること>
広島大学大学院 医系科学研究科 分子内科学 中島 拓
罢别濒:082-257-5196 贵础齿:082-255-7360
贰-尘补颈濒:迟苍补办补*丑颈谤辞蝉丑颈尘补-耻.补肠.箩辫
<広报に関すること>
広岛大学広报室
贰-尘补颈濒:办辞丑辞*辞蹿蹿颈肠别.丑颈谤辞蝉丑颈尘补-耻.补肠.箩辫
(注: *は半角@に置き換えてください)
掲載日 : 2023年12月21日
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