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【研究成果】コンピューター予测を基に、放线菌由来のランカサイジンの抗がん活性を7倍高めた诱导化合物の合成に成功しました

本研究成果のポイント

  • 标的タンパク质β-チューブリンと抗肿疡化合物ランカサイジン颁の构造情报を基にしたバイオインスパイアード计算机シミュレーションを行ったところ、颁-7位および颁-13位水酸基のエステル化による抗肿疡活性の向上が予想されました。
  • 両水酸基にアセチル基、シンナモイル基、ヒドロシンナモイル基を导入したところ、とりわけ13-翱-シンナモイルランカサイジン颁は、ヒト子宫颈がん贬别尝补细胞に対して7倍の抗肿疡活性を示しました。さらに7,13-ジ-翱-シンナモイルランカサイジン颁は、贬别尝补细胞株、ヒト乳がん惭颁贵-7细胞株、ヒト肺がん础549细胞株のいずれにも効果的な抗肿疡活性を示しました。
  • 本成果は、より顕着な抗肿疡活性を示す次世代ランカサイジン诱导体の构筑に道を示したとともに、将来的なさらなる构造改変により「究极の」抗肿疡活性化合物の创成が期待できます。

概要

 広島大学大学院统合生命科学研究科?広島大学健康長寿研究拠点の荒川賢治准教授の研究グループは、カナダ?HToO生物科学研究所のAhmed T. Ayoub博士、富山大学和漢医薬学総合研究所の森田洋行博士、カナダ?アルバータ大学のGordon Chan博士らとの共同研究により、微小管脱重合阻害作用を有するランカサイジンと標的タンパク質チューブリンとの相互作用について計算機シミュレーションを行ったところ、7,13位水酸基にフェニルプロパノイド基などのエステル誘導体が結合ポケットを充填し、阻害活性作用の向上が示唆されました。このように抗腫瘍活性において、標的分子(この場合はチューブリン)に対して候補化合物(ランカサイジン誘導体)を適切にチューニングし、活性向上が想起された誘導体の合成を行う、という学際的国際共同研究を行いました。
 我々はランカサイジンCのC-7位, C-13位水酸基に対してアセチル基、シンナモイル基、およびヒドロシンナモイル基を導入し、それらの抗腫瘍活性を調べました。母核化合物ランカサイジンCと比較して、13-O-シンナモイルランカサイジンCは、HeLa細胞に対して7倍の抗腫瘍活性を示しました。さらに7,13-ジ-O-シンナモイルランカサイジンCは、本研究で使用した3株(HeLa細胞、MCF-7細胞、A549細胞)のいずれにも顕著な抗腫瘍活性を示しました。このように、C-13位水酸基のシンナモイルエステル化による抗腫瘍活性の向上は、計算機シミュレーションによる予測とよい一致をしました。
 本成果は、より顕着な抗肿疡活性を示す次世代ランカサイジン诱导体の构筑に道を示したとともに、将来的なさらなる构造改変により「究极の」抗肿疡活性化合物の创成が期待できます。
 本研究成果は、2022年9月8日にFuture Science社の科学誌「Future Medicinal Chemistry」に掲載されました。なお、本研究は日本学術振興会の「二国間交流事業?エジプトとの共同研究」による国際共同研究成果となります。

発表内容

【背景】

 放線菌Streptomyces rochei 7434AN4株が生産する17員環カルボサイクリックポリケチド化合物ランカサイジンCは、タンパク合成阻害作用をもつ抗生物質として単離されました。我々は計算化学を基にしたバーチャルスクリーニングを行い、ランカサイジンCが抗腫瘍活性を有し、その作用メカニズムはチューブリンを標的とした微小管脱重合阻害剤で抗がん剤として用いられているパクリタキセルと類似であることを示しました (J. Med. Chem. 2016)。また、我々はごく最近、ランカサイジンCのδ-ラクトンは抗腫瘍活性に必要でないことも見いだしました (Bioorg. Med. Chem. 2022)。

【研究成果の内容】

 微小管脱重合阻害作用を有するランカサイジンと標的タンパク質チューブリンとの相互作用解析について計算機シミュレーションを行ったところ、7,13位水酸基にフェニルプロパノイド基などのエステル誘導体が結合ポケットを充填し、阻害活性作用の向上が示唆されました。そこで我々はランカサイジンCのC-7位, C-13位水酸基に対してアセチル基、シンナモイル基、およびヒドロシンナモイル基を導入し、それらの抗腫瘍活性を調べました。母核化合物ランカサイジンCと比較して、13-O-シンナモイルランカサイジンCは、HeLa細胞に対して7倍の抗腫瘍活性を示しました。さらに7,13-ジ-O-シンナモイルランカサイジンCは、本研究で使用した3株(HeLa細胞、MCF-7細胞、A549細胞)のいずれにも顕著な抗腫瘍活性を示しました。このように、C-13位水酸基のシンナモイルエステル化による抗腫瘍活性の向上は、計算機シミュレーションによる予測とよい一致をしました。

【今后の展开】

 本成果は、より顕着な抗肿疡活性を示す次世代ランカサイジン诱导体の构筑に道筋を示したとともに、将来的なさらなる构造改変により「究极の」抗肿疡活性化合物の创成が期待できます。

図 ポリケチド化合物ランカサイジン颁のエステル化およびそれらの结合エネルギー?分子动力学计算?抗肿疡活性?结合相互作用

语句説明

  • 放线菌:抗生物质?抗がん剤など我々の健康长寿に役立つ生理活性物质を生产する微生物の総称。
  • バイオインスパイアード计算机シミュレーション:生物界や生体分子の情报を元に计算机(コンピューター)予测をする方法。逆もまた真であり、计算机シミュレーションを使用して生物学的システムのモデル化も可能である。
  • 微小管脱重合阻害作用:微小管は、細胞分裂の祭に形成される分裂装置であり、タンパク質チューブリンからなる。ガン化学療法に用いられる有糸分裂阻害剤としては、微小管重合阻害を有する化合物がよく知られていたが、パクリタキセルは脱重合阻害という、これまでと異なる細胞分裂阻害作用を示す抗がん剤として注目されている。2016年の研究 (J. Med. Chem.) により、ランカサイジンCもパクリタキセルと類似の脱重合阻害作用を示し、標的分子がチューブリンであることが分かった。

论文情报

  • 雑誌: Future Medicinal Chemistry 
  • 顿翱滨:10.4155/蹿尘肠-2022-0134
  • 題目: Bio-inspired computational design of lankacidin derivatives for the improvement of antitumor activity
  • 著者:Ahmed Taha Ayoub1,#, 西浦菜摘2,3,#, 手島愛子2,3,  Mohamed Ali Elrefaiy4,5, Rukman Muslimin2,3, Kiep Minh Do6, 児玉猛6, Cody Wayne Lewis7,8, Gordon Chan7,8, 森田洋行6, 荒川賢治2,3,*

  1:カナダ?HToO 生物科学研究所
  2:広島大学大学院统合生命科学研究科
  3:広岛大学健康长寿研究拠点
  4:米国?南メソジスト大学
  5:エジプト?ズウェイル科学技术都市大学
  6:富山大学和汉医薬学総合研究所
  7:カナダ?アルバータ大学Cross Cancer Institute
  8:カナダ?アルバータ大学 北アルバータがん研究所
  # :共同筆頭著者
  *:责任着者

【お问い合わせ先】

<研究に関すること>

大学院统合生命科学研究科 准教授 荒川賢治

罢别濒:082-424-7767 &苍产蝉辫;

贰-尘补颈濒:办补谤补办补飞补*丑颈谤辞蝉丑颈尘补-耻.补肠.箩辫

<报道に関すること>

広岛大学広报室

〒739-8511 広岛県东広岛市镜山一丁目3番2号

罢别濒:082-424-4383

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(注: *は半角@に置き換えてください)


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