大学院统合生命科学研究科 数理生命科学プログラム
教授 藤本仰一
罢别濒:082-424-7346、090-1770-4320(携帯)
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(注: *は半角@に置き換えてください)
* 数理モデルから、様々な皮膚疾患に共通して拡大しづける炎症(紅斑)のパターン(模様)を消失へ導く仕組みを予測した。
* 皮膚内部での炎症促進因子と炎症抑制因子の産生バランスが炎症パターンを決定する。
* 5つの病的な炎症パターンごとに効果的な治療法を提案した。
図1. 本研究のまとめ
皮膚の構造の模式図(左)。 炎症が時間とともに拡大する病的なパターン
(円弧、多环、らせん、轮、円)から、时间とともに消失する健康な状态に导く
主要な条件として、皮肤内部での炎症促进因子と炎症抑制因子の产生バランス
を予測(右)。
広島大学大学院统合生命科学研究科の藤本仰一教授(大阪大学招へい教授)と須藤麻希研究員は、皮膚表面に現れる炎症パターン(模様)に注目した数理モデルに基づき、時間とともに拡大する炎症を消失する健康な状態へと導く仕組みを予測しました。炎症パターンを消失させる主要な仕組みとして、炎症促進因子と炎症抑制因子の産生バランスを特定しました。11の炎症性皮膚疾患に共通して現れる5種類の拡大する炎症パターンに対し、この数理モデルは皮膚を傷つけずに非侵襲的に治療法を提案しました。
本研究成果は、2024年1月19日(金)午前4时(日本时间)に『PLOS Computational Biology』に掲载されました。
论文名:Diffusive mediator feedbacks control the health-to-disease transition of skin inflammation
着者名:Maki Sudo1, Koichi Fujimoto1,*
1:大学院统合生命科学研究科
*:责任着者
掲载誌:PLOS Computational Biology 20(1): e1011693.
DOI:
皮肤の炎症は有害な刺激を排除して组织を健康な状态に保ちます。しかし过剰な炎症は慢性化して周囲の健康な组织を伤つけます。炎症が起こると、皮肤内部の血管が拡张して、皮肤表面に赤み(红斑)が现れます(図1左)。健康な皮肤では、时间が経つにつれて红斑が薄くなって消失します。これに対して多くの病的な皮肤炎では、円状や轮状、らせん状など、実に様々な模様(空间パターン)の红斑が皮肤表面に现れて、日に日に拡大します(図1右)。兴味深いことに、これらの红斑パターンは、同じ病気でも患者ごとに异なる场合や、异なる病気で共通する场合があります。多様なパターンの炎症が示す拡大あるいは消失という特徴の违いは、どのように生まれるのでしょうか?
红斑は、主に、皮肤内部で产生される炎症促进因子と炎症抑制因子によって駆动されます(図1左)。炎症促进因子は皮肤内部の血管を拡张して皮肤上に赤み(红斑)を生じさせる一方で、炎症抑制因子は炎症を抑制します。これまでに、特定の病気で観察される复数のパターンは、炎症促进因子の生化学反応と皮肤内部の拡散から生まれることがわかっていました。しかし、复数の病気に共通する炎症パターンが现れる仕组みと炎症抑制因子の役割は未だ明らかになっていませんでした。病的な拡大パターンを健康な消失パターンに戻すにはどうしたらよいのでしょうか?
広島大学大学院统合生命科学研究科の藤本仰一教授(大阪大学招へい教授)らは、11の炎症性皮膚疾患(乾癬?全身性エリテマトーデス?水泡性天疱瘡?ライム病?多形紅斑?リンパ腫?環状紅斑?シェーグレン症候群?スウィート病?貨幣状皮膚炎?匍行性迂回状(紅斑)の132報の論文を調査した結果、これらの疾患が共通の紅斑パターンを示すことを確認しました(表)。
表. 11の疾患で報告された炎症拡大パターンそれぞれの症例数
そこで藤本教授らは、様々な疾患を超えて共通する红斑パターンの制御机构が存在するのではないかと考え、この仕组みを探索するために数理モデルを构筑しました。数理モデルには、生物実験の知见に基づき、炎症促进因子が自身の生成を促进する正のフィードバックと、炎症促进因子と炎症抑制因子の间の负のフィードバック、さらには、これら因子が皮肤内部で拡散する効果を导入しました(図2)。数理モデルの计算机シミュレーションの结果、健康な皮肤で现れる消失パターンに加えて、上记の疾患で报告されている主要な5种类の拡大パターン(円?轮?多环摆多数の环闭?円弧摆円周の一部分闭?らせん)が出现する条件を明らかにしました(図3)。
図2. 数理モデルの概要
炎症促进因子と炎症抑制因子はフィードバックを介してのお互いの产生を制御しあう(左)。
これら因子の皮肤内部での拡散を通じて炎症パターンが现れる(右)。
図3. 数理モデルのコンピューターシミュレーション結果
皮肤表面に现れる炎症パターンの时间経过。
皮肤への刺激が同じでも(时间1)、炎症促进/抑制因子の产生バランスに応じて
炎症パターンは大きく异なる(时间2-5)。色は炎症促进因子の浓度を表す。
さらに、炎症の病的な拡大を健康な消失へと导く复数のパラメータ(生化学反応の速度定数)を特定しました。5种类それぞれの拡大パターンごとに有効な治疗法を予测するため、各パターンが现れるパラメータ値の条件を网罗的に探索しました。その结果、消失パターンと比べて、円状のパターンは抑制因子の产生が少ない场合、轮状のパターンは促进因子の产生が多い场合に现れました(図1右)。らせん?多环?円弧のパターンは、消失パターンよりも抑制因子の产生がやや少ないか、促进因子の产生がやや多い场合に现れました。これらの结果より、促进因子や抑制因子の产生のバランスに応じて、拡大パターンが消失パターンへと移りかわることが予测されました。
これら一连の発见は、多様な皮肤炎症パターンを消失へと导く仕组みとその治疗法の理解を进めます。つまり、円状のパターンは抑制因子の产生を増やす治疗、轮状のパターンは促进因子の产生を减らす治疗、らせん?多环?円弧のパターンはその両方の治疗が有効であると考えられます。さらに、健康な皮肤の消失パターンと病的な皮肤の拡大パターンの违いを生む条件により、红斑パターンから疾患の重症度やリスクを推定することが可能となり、患者の病态を个别に考虑した治疗法?予防法の提案が期待されます。すなわち数理モデルは、皮肤を伤つけることなく非侵袭的に红斑パターンから制御机构を予测でき、様々な炎症性皮肤疾患の予防?治疗への応用が期待されます。
大学院统合生命科学研究科 数理生命科学プログラム
教授 藤本仰一
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掲載日 : 2024年01月23日
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