
ネットワーク上の诸问题の解决を図る分散アルゴリズムの研究。
分散アルゴリズムの设计?提案を通して、広く社会に寄与する。

私の専门分野は分散アルゴリズムです。インターネットのように、ネットワークでたくさんの计算机がつながっている状态を「分散システム」と言い、分散アルゴリズムとは、それらがいかに効率良く协调的に働くかを考えていくものです。例えば、分散システム上で、みんなが同じ资源を使おうとして、一斉に同じことをやると、パンクしてしまうといったシチュエーションがあった场合に、どうしたらみんなが仲良く公平にその资源を利用できるかを考える。あるいは、计算机や通信リンクが故障したり、计算机が移动したりすることでネットワーク形状が変更されるといった変化が起きても、どうしたらサービスを円滑に提供し続けることができるのかを考える。そうした诸问题を解决していく理论的な仕组みを考えるのが、分散アルゴリズムです。これは基础研究にあたる分野で、理论的にモデル化して解き明かし、そのモデルの上で正しく动くことを突き詰めていくというスタイルの研究です。
私の研究では特に「故障」に注目をしています。システム上で一部の计算机が壊れた场合でも、その他のものでうまく动いたり、さまざまな动的な変化が起こった场合でも、全体をリフレッシュする初期化を行わなくても、自动的に最适解に収束させていくといったことができるような、理论的な仕组みを考えている訳です。分散アルゴリズムの研究は世界中で行われていますが、こうした故障耐性を考えた分散アルゴリズムの研究者というのは、国内ではあまりいないと思います。

また、これと并行していくつかの研究を学生さんたちと行っているのですが、その中のひとつが、「奥别产上の情报を利用した観光地情报推荐システムを作ろう」というものです。例えば、础尘补锄辞苍などで、おすすめの商品がたくさん推荐されたりしていますが、あれが推荐システムの例です。とても便利なものですが、その精度はというと、まだ十分とは言えないと思うのです。そこで、この研究では、インターネット上の口コミ情报をベースにした情报推荐システムというものを、観光という切り口で作ってみようとしています。いま、厂狈厂を参考にして旅行をされる方が増えているという状况がありますが、この研究では、自动的にそうした情报をひっぱってきて推荐してくれるというようなシステムを构筑して、実际に动くものにするというところまでを目指しています。
しんどいけれども、あきらめないこと。その先に达成感が待つ。
基础理论研究というのは、とにかくしんどいものです。特に私は、ひらめくタイプではないので、时间をかけて、ああでもないこうでもないと试行错误を続けています。そういう时间が楽しいとおっしゃる先生もいらっしゃいますが、私はしんどい、苦しいと思いながら取り组んでいるんですね。ところがある时、パチッとはまる瞬间というのがやってくる。理论的な証明がとてもうまくできた、すんなり読める証明というのが书けた时には、よしっ!とガッツポーズな気分になります。つまり、论理がスムーズに理解してもらえる形で表现できたということですが、それはこれまで、一个一个积み上げてきたものを积み上げ切ったということですから、それはもう、この上なく幸せな瞬间で、それまでの苦しさが吹き飞びます。そして、この达成感や喜びを味わいたいがために、また次の问题へと挑んでいくのが研究者なのかなと思います。
もちろん、苦しい时间のほうがほとんどなのですが、研究に际して私は、おもしろそうだなぁと思って取り组んだ问题を『あきらめない』ということを心に铭じています。ちょっと难しいからとあきらめてしまいがちになる気持ちを抑えて、自分の中でどこかにそれを持っておくと、例えば3年后に解けてしまうというようなこともあるんです。时々、これまでの研究を振り返ることもやっていますが、あのときはこうやって解いたけれど、もっとこうすればおもしろかったんじゃないか?などということも出てきたりする。そんな风にあきらめずに続けたり、自分の中に持っていたりすることで、解にたどり着けるんだと思うんです。

一方、推荐システムの方では、実际のデータはきっとこうなってるという仮説を立てて、それに基づいてシステムを作るんですが、なかなか仮説の通りにはいかないというような苦労が多いですね。そこで、実データの中で何が起きているのかをまず洗い出そうとしているのですが、その际に、ちょっとおもしろい性质、一般的にはまだあまり言われていないような性质などを発见することがあります。その発见自体が意味のあることですし、それによって、推荐システムもおもしろいものになっていくので、こちらの研究ではいまのところ、そんな风に、大量のデータの中からユニークなものを见つけ出す喜びというのを日々味わっているところです。
高校までは文系。紆余曲折の末に巡り合った理系の研究者という天职。
私は、山口県出身なんですが、広岛県の文系の高校に进学して、当时はずっと社会の先生になりたいと思っていました。それがその当时、教员という仕事は自分には难しいかなと思ってしまったため、大学は工学部に入学。そして、4年生の时に研究室配属をされたのが、分散アルゴリズムの世界との出合いでした。それも、自分が希望したテーマでは全くなかったのに、そのおもしろさに目覚めたのですから、やはり人生は合縁奇縁ですね。その后、大学院に进んでからも进路にはいろいろ悩んで、教员も公务员も一般公司も考えました。そんな时に、研究室の先生から「教员になりたいんだったら、大学の教员という道もあるよ」という风に言われたんです。そういう道もあるかと思ったことが、大学の教员=研究者という仕事を初めて意识した瞬间で、いまの研究者生活のスタート地点と言えるでしょう。教员という道も、あきらめなかったことで実现することができたのだと実感しています。

そして、教员としては日顷から、学生さんたちが社会に出たときに、この研究室で一绪にやり遂げたということを粮にできるようにと思いながら接しています。学生さんとアイデアを出し合いながら、システム作りなどに取り组んでいる中で、こちらが感心するような意见も出てきたりします。そんな学生の皆さんが、一つひとつの课题にじっくり取り组んで、投げ出すことなく乗り越えていってくれることに期待をしています。先にも述べましたように、そうすることで、见えてくることがあると思うんですね。学生时代には、そんな経験を少しでも多く积んで、自分はこんなものを作ったんだと胸を张れるようなものを作ってもらいたいと愿っています。私自身も、そんな学生さんを一人でも多く辈出したいと思います。
最後に、これから大学進学を目指す皆さんへ――。 コンピュータに興味がある方がいれば、コンピュータの世界には、分散アルゴリズムという興味深いフィールドもあることを知ってください。論理的に筋道を立てて考えることが好きな方にはきっと向いている学問だと思います。ぜひ一緒に研究を進めていきましょう。

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分散システム学研究室
2001年3月 広島大学 工学部第二類(電気系)情報工学課程 卒業
2003年3月 広島大学大学院 工学研究科 情報工学専攻 博士課程前期 修了
2006年3月 広島大学大学院 工学研究科 情報工学専攻 博士課程後期 修了
2006年4月1日~2007年3月31日 鳥取環境大学 環境情報学部情報システム学科 助手
2007年4月1日~2008年3月31日 鳥取環境大学 環境情報学部情報システム学科 助教
2008年4月1日~2012年4月30日 広島大学大学院 工学研究科 助教
2012年5月1日~ 広島大学大学院 工学研究科 准教授
2020年4月1日~ 広島大学学術院(先進理工系科学研究科) 准教授