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【研究成果】観测史上最古の?隠れ银河?を131亿年前の宇宙で発见

概要

札本 佳伸(ふだもと よしのぶ)国立天文台アルマプロジェクト特任研究員?早稲田大学理工学術院総合研究所次席研究員と稲見 華恵(いなみ はなえ)広島大学宇宙科学センター助教らの国際研究チームが、アルマ望遠鏡の大規模探査による観測データの中から、約130億年前の宇宙で塵に深く埋もれた銀河を複数発見しました。そのうちの一つは、塵に埋もれた銀河として見つかったものの中で最古の銀河です。今回発見されたような銀河は、すばる望遠鏡などを用いた観測で発見することは難しく、初期の宇宙にどれほど存在するのかこれまで全くわかっていませんでした。今回の発見は、宇宙の歴史の初期においても数多くの銀河が塵に深く隠され、いまだ発見されないままになっていることを示します。同時に、このような銀河は宇宙の初期における銀河の形成と進化をより統一的に理解する上で重要な発見です。
この観測成果は、Fudamoto et al. “Normal, Dust-Obscured Galaxies in the Epoch of Reionization”として、英国の科学誌?ネイチャー?オンライン先行公開版に9月22日16:00(イギリス時間)に掲載され、9月23日に本誌に掲載されます。

上図 今回の観测结果の模式図。ハッブル宇宙望远镜による近赤外线の観测画像(左)では、中心やや下に银河が见えています。これは右下の想像図のような、これまで存在がよく知られていた若い银河です。一方今回のアルマ望远镜による観测では、ハッブル宇宙望远镜では何も见えていない领域に、尘に深く埋もれた银河(右上の想像図)を新たに発见しました。

Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), NASA/ESA Hubble Space Telescope

発表内容

【1.これまでの研究で分かっていたこと】

过去20年以上にわたり、世界中の研究者がすばる望远镜やハッブル宇宙望远镜など用いて远方银河の探査を行ってきました。光が有限の速さでやってくることから、远方银河を探査することで初期の宇宙にあった银河の姿を直接捉えられます。そして、それらの大规模な探査の结果、ビッグバンから10亿年以内の宇宙の初期に存在した银河が数多く発见され、それらの时代において银河がどのように形成?进化してきたのかについての研究が大きく进んできました。

このような宇宙の初期にある银河の大规模な探査では、银河に含まれる、太阳の数十倍程度の质量をもった大型の星から放射される明るい紫外光が観测されてきました。宇宙の膨张によって远方天体からやってくる光の波长が伸びるため(赤方偏移)宇宙の初期にある银河から放たれた紫外光は、地球で観测する际には可视光や近赤外线となります。

しかしながら、この紫外光には银河に含まれる尘(ちり)によって大きく吸収?散乱されるという性质があります。この尘は银河内部で星が世代交代することによって作り出されるため、银河で过去にどのような星形成活动があったのかによってその量が変わってきます。内部で放たれた紫外光のほとんどが大量の尘に吸収?散乱されてしまうような、尘に埋もれた银河の场合は、可视光や近赤外线を用いた観测では见つけることができません。初期の宇宙でこれまでに见つかっている尘に埋もれた银河は、天の川银河の1000倍以上といった激しいペースで星形成を行っている极めて稀な银河に限られていました。そのため、130亿年ほど前の宇宙に存在する若くて星形成活动が比较的低调な银河の大多数は尘にはあまり隠されておらず、感度の良い可视光や近赤外线の観测を行うことで検出が可能だと考えられてきました。

【2.今回の研究で明らかになったこと】

国立天文台アルマプロジェクト特任研究员として早稲田大学で研究活动を行う札本佳伸氏は、アルマ望远镜によるで観测された银河を研究するうちに、偶然このような尘に埋もれた银河を初期の宇宙で発见しました。搁贰叠贰尝厂の本来の目的は、130亿年程度前の宇宙に存在したと考えられる近赤外线で非常に明るい40个の银河を観测し、尘からの放射と炭素イオンの辉线の探査を行うことでした。広岛大学宇宙科学センター助教の稲见华恵氏は、搁贰叠贰尝厂プロジェクトの共同代表研究者として本プロジェクトに参加しています。
札本氏が搁贰叠贰尝厂-12と搁贰叠贰尝厂-29という二つの银河の観测データを调べていたところ、それぞれ本来の観测対象としていた银河に加えて、そこから少し离れた场所からも尘からの放射と炭素イオンの辉线が非常に强く放たれていることを発见しました。そして惊くべきことに、これらの偶然见つかった新たな放射源の场所には、感度の良いハッブル宇宙望远镜を用いても何も见えませんでした。つまり、これらの放射は、ハッブル宇宙望远镜などが観测することのできる紫外光をほとんど放っていない、尘に埋もれた银河からやってきたものであることを示しています。そのうちの一つ、搁贰叠贰尝厂-12の近傍に见つかった银河は、尘に埋もれていた银河の中では観测史上最古となる131亿年前のものになります(注)。さらに惊いたことに、今回见つかった银河は、これまで尘に埋もれた银河に见られたような爆発的な星形成は行っておらず、130亿年程度前の宇宙でこれまで多数见つかっていた银河と同程度の星形成活动しかありませんでした。つまり、今回见つかった银河は、尘に埋もれているということ以外はこれまで知られている典型的な银河と変わりありません。これは、典型的な星形成活动をおこなう?普通?の银河であっても宇宙のこれほど初期において尘に埋もれて见えなくなってしまう、ということを示し、多数の银河が尘に埋もれて未だ発见されていないのではないか、と言うことを示唆しています。

注:アルマ望遠鏡の観測によると、REBELS-12の近傍に見つかった銀河の赤方偏移は7.35でした。これをもとに宇宙論パラメータ(H0=67.3km/s/Mpc, Ωm=0.315, Λ=0.685: Planck 2013 Results)で光が飛んできた時間を計算すると、131億年となります。詳しくは??もご覧ください。

【3.今后の展开?影响】

これまでの観测からは全く见つけられなかったような种类の银河が宇宙の初期に存在した、という発见は、いままで考えられてきた宇宙の初期における银河の形成の理论に大きな影响を及ぼす発见です。このような银河がどの程度存在し、どのように银河全体の进化と形成に影响してきたのかをより统一的に理解するにはさらなる観测を待たなければなりません。アルマ望远镜による探査や、2021年内に打ち上げ予定のジェイムズ?ウェッブ宇宙望远镜による大规模な银河の探査と、それらによる银河の形成に関する统一的な理解の进歩が待たれます。

上図 アルマ望远镜とハッブル宇宙望远镜、欧州南天天文台痴滨厂罢础望远镜で撮影した远方银河。アルマ望远镜で観测した电离炭素原子からの放射を緑、尘からの放射をオレンジ、痴滨厂罢础望远镜?ハッブル宇宙望远镜で観测した近赤外线を青で表现しています。搁贰叠贰尝厂-12、搁贰叠贰尝厂-29は近赤外线と电离炭素原子?尘からの放射がいずれも検出されていますが、搁贰叠贰尝厂-12-2と搁贰叠贰尝厂-29-2では近赤外线が検出されていません。これらは今回のアルマ望远镜による観测で初めて见つかった银河で、尘に深く埋もれていると考えられます。

Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), NASA/ESA Hubble Space Telescope, ESO, Fudamoto et al.

【研究者からのコメント】

札本氏は?宇宙の初期において、尘に埋もれて発见されていないような隠れた普通の银河が存在するという予想外の、そして偶然の発见に惊きました。今回见つかった银河は、宇宙の非常に狭い领域から见つかったものであるため、氷山のほんの一角に过ぎないと考えています。このような隠れた银河がどれだけ宇宙の初期に存在するのかの研究はこれからの大きな课题となるでしょう。?とコメントしています。

また、稲见氏は?今回の発见では、ひとつ谜を解决しようとしたところで新たな谜が见つかった、という研究の醍醐味を改めて感じました。尘を大量に生产するにはある程度歳をとった星が必要なのに、ビッグバン直后という宇宙の极初期で、何がきっかけでどのようにして短时间で尘が生み出されたのか、これから解き明かしていきます。私たちが知り得ていないことが、この広大な宇宙にはまだまだあることを教えてくれる成果です。?とコメントしています。

【研究助成】

国立天文台 ALMA Scientific Research Grant 2020-16B
日本学術振興会科学研究費補助金 ( JP19K23462 、 JP21H01129)
the Swiss National Science Foundation through the SNSF Professorship grant 190079
TOP grant TOP1.16.057
the Nederlandse Onderzoekschool voor Astronomie
STFC Ernest Rutherford Fellowship (ST/S004831/1 , ST/T003596/1)
 European Research Council's starting grant ERC StG-717001
the NWO's VIDI grant 016.vidi.189.162
the European Commission's and University of Groningen's CO-FUND Rosalind Franklin program
the Amaldi Research Center funded by the MIUR program "Dipartimento di Eccellenza" CUP:B81I18001170001
the National Science Foundation MRI-1626251
FONDECYT grant 1211951
``CONICYT+PCI+INSTITUTO MAX PLANCK DE ASTRONOMIA MPG190030"
``CONICYT+PCI+REDES 190194” 、ARC Centre of Excellence for All Sky Astrophysics in 3 Dimensions (ASTRO 3D) CE170100013 (EdC); Australian Research Council Laureate Fellowship FL180100060
the ERC Advanced Grant INTERSTELLAR H2020/740120
the Carl Friedrich von Siemens-Forschungspreis der Alexander von Humboldt-Stiftung Research Award
the VIDI research program 639.042.611
JWST/NIRCam contract to the University of Arizona, NAS5-02015
ERC starting grant 851622
the National Science Foundation under grant numbers AST-1614213, AST-1910107
the Alexander von Humboldt Foundation through a Humboldt Research Fellowship for Experienced Researchers

论文情报

  • 掲载誌:&苍产蝉辫;狈补迟耻谤别
  • 論文タイトル: Normal, Dust-Obscured Galaxies in the Epoch of Reionization
  • 著者名:Y. Fudamoto1,2,3, P. A. Oesch1,4, S. Schouws5, M. Stefanon5, R. Smit6, R. J. Bouwens5, R. A. A. Bowler7, R. Endsley8, V. Gonzalez9,10, H. Inami11, I. Labbe12, D. Stark8, M. Aravena13, L. Barrufet1, E. da Cunha14,15, P. Dayal16, A. Ferrara17, L. Graziani18,20, 27, J. Hodge5, A. Hutter16, Y. Li21,22, I. De Looze23,24, T. Nanayakkara12, A. Pallottini17, D. Riechers25, R. Schneider18,19,26,27, G. Ucci16, P. van der Werf5, C. White8
  • 所属机関名:1Department of Astronomy, University of Geneva,2Research Institute for Science and Engineering, Waseda University, 3National Astronomical Observatory of Japan, 4Cosmic Dawn Center (DAWN), Niels Bohr Institute, University of Copenhagen, 5Leiden Observatory, Leiden University, 6Astrophysics Research Institute, Liverpool John Moores University, 7Sub-department of Astrophysics, The Denys Wilkinson Building, University of Oxford, 8Steward Observatory, University of Arizona, 9Departmento de Astronomia, Universidad de Chile, 10Centro de Astrofisica y Tecnologias Afines (CATA), 11Hiroshima Astrophysical Science Center, 麻豆AV , 12Centre for Astrophysics & Supercomputing, Swinburne University of Technology, 13Nucleo de Astronomia, Facultad de Ingenieria y Ciencias, Universidad Diego Portales, 14International Centre for Radio Astronomy Research, University of Western Australia, 15ARC Centre of Excellence for All Sky Astrophysics in 3 Dimensions (ASTRO 3D) , 16Kapteyn Astronomical Institute, University of Groningen, 17Scuola Normale Superiore, 18Dipartimento di Fisica, Sapienza, Universita di Roma, 19INAF/Osservatorio Astronomico di Roma, 20INAF/Osservatorio Astrofisico di Arcetri, 21Department of Astronomy & Astrophysics, The Pennsylvania State University, 22Institute for Gravitation and the Cosmos, The Pennsylvania State University, 23Sterrenkundig Observatorium, Ghent University, 24Dept. of Physics & Astronomy, University College London, 25Cornell University, 26Sapienza School for Advanced Studies, 27INFN, Roma, Ital
  • DOI: https://doi.org/10.1038/s41586-021-03846-z
【お问い合わせ先】

< 研究に関するお问い合わせ >

早稲田大学 理工学術院総合研究所

次席研究員 札本 佳伸

Tel: 03-5286-3490, 070-2189-7223

E-mail: y.fudamoto*aoni.waseda.jp

広島大学 宇宙科学センター

助教 稲見 華恵

Tel: 082-424-3468

E-mail: hanae*hiroshima-u.ac.jp

< 報道に関するお问い合わせ >

国立天文台

Tel: 0422-34-3613

E-mail: media_contact*prcml.mtk.nao.ac.jp

早稲田大学広报室広报课

Tel: 03-3202-5454

E-mail: koho*list.waseda.jp

広岛大学広报グループ

Tel: 082-424-3701

E-mail: koho*office.hiroshima-u.ac.jp

(注: *は半角@に置き換えてください)


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