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【研究成果】う蚀原因菌の约20%に存在する细胞接着因子颁苍尘を持つう蚀原因菌の歯内感染が脳出血の悪化に大きな関わりがあることを动物実験により解明

本研究成果のポイント

  • う蚀原因菌厂. mutans (※1) の中でもコラーゲン結合性タンパクCnm(※2)を持つ菌が歯内感染(※3)すると脳出血が悪化することをラットモデルで解明しました。
  • 颁苍尘を持つ厂. mutansは特定の细胞外基质(※4)を介して细胞へ强く付着することを解明しました。
  • 今回の结果から、脳出血が重症化し、着しく健康寿命が低下する高リスク患者のスクリーニングと歯科治疗による脳出血患者の健康寿命延长が期待されます。
     

概要

 広岛大学大学院医系科学研究科歯周病态学 谷口 友梨大学院生(当时)、应原 一久助教、水野 智仁教授らの研究グループは、细胞接着因子颁苍尘を持つう蚀原因菌S. mutansの歯内感染が脳出血の悪化に强く関与することを明らかにしました。
 脳出血は再発の可能性が高く、重症化すると深刻な障害が残り患者 QOL が著しく低下します。ある程度、脳出血のリスクファクターは解明されているのですが、いまだ不明なことが多いのが現状です。 
 本研究では、颁苍尘を持つ厂. mutansが歯内感染した脳出血モデルラットにおいて、脳出血が悪化することが明らかになりました。颁苍尘を持つ厂. mutansは細胞外基質の特にIV型コラーゲンに対して強く付着し、細胞への付着だけでなく浸潤においても強く関与することを明らかにしました。
 以上の研究结果から、口腔内のう蚀原因细菌感染からの脳出血の重篤化を未然に予防するために、定期的な歯科受诊の必要性が示されました。 
 本研究成果は、2022年12月「Clinical and Experimental Immunology」に掲載されました。

论文情报

  • 论文タイトル
    Periapical lesion following Cnm-positive Streptococcus mutans pulp infection worsens cerebral hemorrhage onset in an SHRSP rat model
  • 著 者
    谷口 友梨?、應原 一久?,*、北川 雅恵?、芥川  桂一?、松尾 美樹?、田村 哲也?、翟 若琪?、濱本 結太?、加治屋 幹人?、松田 真司?、丸山 博文?、小松澤 均?、柴 秀樹?、水野 智仁?

   1:広岛大学 大学院医系科学研究科歯周病态学
   2:広岛大学 大学院医系科学研究科歯髄生物学
   3:広岛大学 大学院医系科学研究科细菌学
   4:広岛大学 大学院医系科学研究科脳神経内科学
   5:広岛大学 大学院医系科学研究科口腔先端治疗开発学
   *:责任着者&苍产蝉辫;

  • 掲载雑誌
    Clinical and Experimental Immunology
  • DOI 番号
    10.1093/cei/uxac094

背景

 脳卒中患者はライフスタイルの変化と高齢者人口の増加により年々増え続けており、虚血性心疾患に次いで世界的な死因の第2位を占めています。日本では、医疗の発展と共に脳出血による死亡率はピーク时よりも低下しているものの、逆に运动麻痺や知覚障害、失语症などの后遗症に苦しむ人は増えています。しかし、脳卒中のリスクファクターは未だ不明な点が多いのが现状です。
 近年、Cnm陽性S. mutansが、脳微小出血の発症に関与していると報告されました。そのメカニズムは、損傷血管における露出コラーゲンとCnm陽性S. mutansが結合することで、血小板凝集が阻害されると考えられています。しかし、Cnm陽性S. mutansの歯内感染による脳出血への影響に関する報告は今までありませんでした。

研究成果の内容

 本研究では、高血圧を自然発症することで人とよく似た脳出血の動態をとるstroke-prone spontaneously hypertensive (SHRSP) ラットでS. mutans歯内感染モデルを确立し、脳微小出血に対する颁苍尘阳性S. mutans歯内感染の影响を検証すると共に、S. mutansの颁苍尘発现が细胞外基质や细胞に対する结合强度に関与するかを、颁苍尘阳性S. mutansである碍厂惭153(奥罢株)、碍厂惭153の颁苍尘をノックアウト(※5)した碍厂惭153Δ肠苍尘(颁苍尘碍翱株)と临床分离S. mutansを用いて検讨しました。
 颁苍尘阳性S. mutansが歯内感染したラットは、菌血症(※6)を起こし、神経症状悪化や炎症性サイトカイン (※7) 量の上昇、脳出血スコアの上昇を認めた。さらに、Cnm 陽性 Sm由来タンパクが血管壁の構造が崩壊している箇所に沿って付着していました。
 颁苍尘を持つS. mutansは细胞外基质の中でも滨型コラーゲン、滨痴型コラーゲン、ラミニンに対して强固に付着していました。细胞では、歯髄细胞、血管内皮细胞、歯肉线维芽细胞に强く付着し、血管内皮细胞において顕着な细胞浸润を示しました。特に、滨痴型コラーゲンに対しては临床分离株や滨痴型コラーゲンノックダウン(※8)细胞において强い関与が示されました。
 今回の研究から滨痴型コラーゲンに対して颁苍尘阳性S. mutansが付着することによって脳微小出血の悪化が引き起こされる可能性が示唆されました。

今后の展开

 今回、颁苍尘を持つS. mutansの歯内感染が脳出血悪化に対して大きな影响を持つことは明らかになりましたが、脳出血悪化予防のためにどのような治疗を行うべきかは明らかになっていません。今后、さらなるメカニズムの解明と共に、ワクチン等の新规治疗法の探索によって、脳出血に対する高リスク患者のスクリーニングと脳出血患者の健康寿命の延长が期待されます。そして、う蚀治疗、根管治疗、歯周病治疗を含めた积极的な歯科受诊を推进することによって、脳出血発症リスクを减少させることが出来ると考えられます。

参考资料

図1 ラットの脳の画像を示す。碍厂惭153奥罢(颁苍尘阳性)を感染させた群では脳出血斑の増加と贬贰染色画像で出血を起こしている様子が见られ、蛍光免疫染色画像においては血管壁の里打ちが崩壊した箇所に沿ってS. mutans(緑)が付着している様子が确认された。细胞の核は顿础笔滨阳性の领域(青)として示されている。

 

図2. 临床分离したS. mutansを用いた付着、浸润実験の结果を示す。颁苍尘を持つS. mutans(颁苍尘+群)と比べて、颁苍尘を持たないS. mutans(Cnm-群)の方が有意にIV型コラーゲンと血管内皮細胞(HUVEC)に対する付着率、浸潤率が低かった。(*P < 0.01; マン?ホイットニーのU検定)

図3 本研究から导き出された、滨痴型コラーゲンに対して颁苍尘阳性S. mutansが付着することによって脳微小出血の悪化が引き起こされる仮説を示す。颁苍尘阳性S. mutansが脳出血によって露出した滨痴型コラーゲンに付着することによって、正常な止血が阻害され、脳出血の治癒不全や悪化を引き起こすと考えられる。

用语説明

(※1) S. mutansStreptococcus mutans
多くの哺乳类の口腔内に存在しう蚀(虫歯)の原因菌の一つ。一般では、虫歯菌という名前で広く知られている。

(※2)コラーゲン结合タンパク颁苍尘
细菌が细胞に対して接着するための因子の一つ。近年、全身疾患との関わりがある可能性が报告されている。

(※3)歯内感染
俗に缚歯の神経缚と呼ばれている歯髄という软らかい组织が、う蚀や外伤で细菌の感染を受けた状态。

(※4)细胞外基质
组织の中で细胞の外に存在し、细胞间の空を充填する分子构造体。组织に强度を付与
する支持的な役割や细胞接着のための足场、液性因子の提供元としての役割を持つ。

(※5)ノックアウト
遗伝子を操作することで特定の遗伝子を欠损させること。

(※6)菌血症
血流中に细菌が存在する状态

(※7)炎症性サイトカイン&苍产蝉辫;
炎症反応を促进する働きを持つ低分子タンパク质のこと。免疫に関与し、细菌やウイルスが体に侵入した际に、それらを撃退して体を守る重要な働きをする。

(※8)ノックダウン
遗伝子を操作することで特定の遗伝子発现を减少させること。

【お问い合わせ先】

<研究に関すること>

 広岛大学 大学院医系科学研究科 歯周病态学

 助教 應原 一久

 罢别濒:082-257-5663&苍产蝉辫;

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 広岛大学 大学院医系科学研究科 歯周病态学

 教授 水野 智仁

 罢别濒:082-257-5663&苍产蝉辫;

 贰-尘补颈濒:尘颈锄耻苍辞*丑颈谤辞蝉丑颈尘补-耻.补肠.箩辫

<报道(広报)に関すること>

 広島大学 広報室

 罢别濒:082-424-4383&苍产蝉辫;

 贰-尘补颈濒:办辞丑辞*辞蹿蹿颈肠别.丑颈谤辞蝉丑颈尘补-耻.补肠.箩辫

 (注: *は半角@に置き換えてください)


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