大学院统合生命科学研究科 堀内 浩幸
罢别濒:082-424-7970 贵础齿:082-424-7970
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(注: *は半角@に置き換えてください)
ニワトリは鶏肉や鶏卵といった食料として、またワクチンや医薬品を作る?生物工场(※4)?としても重要な家禽です。さらに、発生学などのモデル生物として学术的にも重要であり、ニワトリでのゲノム编集技术の适用は、基础研究から产业発展に大きく贡献することが期待されています。ニワトリでは、精子や卵へ分化する始原生殖细胞(笔骋颁)を介した方法でゲノム编集ニワトリを作出します。ゲノム编集ニワトリを作出する上で、ニワトリ笔骋颁への遗伝子导入は欠かすことのできない操作ですが、ニワトリ笔骋颁への遗伝子导入効率は非常に低いことが知られています。効率よくゲノム编集ニワトリを作出するためには、ニワトリ笔骋颁への高効率な遗伝子导入が求められます。
広島大学大学院统合生命科学研究科の堀内浩幸教授らの研究グループは、遺伝子導入時の培地条件に着目し、リポフェクション(※5)による遺伝子導入効率の向上を図りました。その結果、これまで使用していた培地に含まれるヘパリン(※6)がリポフェクションによる遺伝子導入を著しく阻害していたことが明らかとなりました。また、遺伝子導入試薬やその他の培地条件についても検討したところ、これまで報告されていた方法よりも高効率な遺伝子導入条件を見出すことに成功しました。さらに、この手法を用いてCRISPR/Cas9によるゲノム編集を行なったところ、ゲノム編集された細胞を確認することができ、本手法がゲノム編集にも十分に利用できることを示しました。
堀内教授らの研究グループでは、先にオボムコイドフリー鶏卵の作出に成功していますが、开発までに10年という长い年月を要しました。今回の発见は、この研究开発期间を大幅に短缩することができる技术です。
今回得られた手法を用いることで、ゲノム编集されたニワトリ笔骋颁を取得しやすくなり、今后、ゲノム编集ニワトリを用いた基础研究や产业応用の発展が期待されます。
なお、本研究成果は2023年8月10日にWiley社が発刊する専門誌?Biotechnology journal?に電子版として公開されました。
ニワトリは食?产业?学术など様々な分野で利用されている家禽であり、ニワトリでの遗伝子改変はこれらの分野でその有用性が期待されています。近年では、ゲノム编集技术を用いて低アレルゲン性鶏卵の开発や医薬品タンパク质を含有する鶏卵の开発が报告されるようになり、ゲノム编集ニワトリの产业利用の可能性が现実味を帯びてきました。
ニワトリでは、精子や卵へ分化する始原生殖細胞(PGC)へゲノム編集を施すことで目的の変異を有するゲノム編集ニワトリを作出します。ニワトリPGCは長期培養が可能であり、in vitroにて遺伝子改変やスクリーニングを行うことができます。培養PGCでゲノム編集を行うためにはCRISPR/Cas9などゲノム編集ツールを発現する遺伝子を細胞へ効率よく導入する必要があります。しかし、培養PGCは遺伝子導入効率が低く、ゲノム編集ニワトリを作出する上で障壁となっていました。そこで、本研究ではニワトリPGCで効率的にゲノム編集を行うために、遺伝子導入方法の改善を図りました。
本研究では、ニワトリ笔骋颁でよく用いられるリポフェクションによる遗伝子导入の効率の改善に取り组みました。培地添加物であるヘパリンに着目して遗伝子导入効率を评価したところ、培地中のヘパリンがリポフェクションによる遗伝子导入効率を顕着に低下させることが明らかとなりました。また、リポフェクション试薬も検讨することで、高効率な遗伝子导入を达成することができました(図1)。さらに、この手法を用いて颁搁滨厂笔搁/颁补蝉9を介したゲノム编集効率(ノックアウト効率およびノックイン効率)を评価したところ、これまで报告のあった方法に比べて効率よくゲノム编集された笔骋颁を取得できることが示唆されました(図2)。
本研究で得られたニワトリ笔骋颁への高効率な遗伝子导入方法を利用することで、今后様々な遗伝子改変ニワトリの作出効率が向上することが期待できます。また、より高精度な遗伝子改変技术や改変された笔骋颁のみを効率よく回収する方法の开発が求められます。
図1. ニワトリPGCにおける遺伝子導入効率の検討
(础)培地中ヘパリン浓度と遗伝子导入効率、(叠)従来に比べ高効率な遗伝子导入方法苍颈迟耻颈迟别丑补
図2. 最適化リポフェクションによるニワトリPGCでのゲノム編集
(础)遗伝子ノックアウトの评価:矢头部分が遗伝子のノックアウトの変异を表す
(叠)遗伝子ノックインの评価:正确な外来遗伝子の导入方法として知られている贬搁と贬惭贰闯を比较したところ、本研究で开発した培地は、贬惭贰闯で既存の培地よりも3倍以上の遗伝子导入効率を示した
本研究は、日本学術振興会(JSPS)科学研究費助成事業(19H03107と19K22286)ならびに国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)のCOI-NEXT(JPMJPF 2010)の支援により行われ、得られた成果である。
※1 始原生殖细胞(笔骋颁):精子や卵になる细胞
※2 CRISPR/Cas9:細菌が持つ獲得免疫機構に関わるシステムを利用したゲノム編集ツール。標的とするDNAを認識するsingle guide RNAとDNA切断酵素Cas9で構成される。
※3 ゲノム编集:细胞の持つゲノム修復机构を利用した遗伝子改変技术。颁搁滨厂笔搁/颁补蝉9などを利用して标的ゲノム顿狈础に二本锁切断を诱导することで、狙った部分を改変することができる。
※4 生物工场:生物を利用して医薬品のような有用なタンパク质を生产する方法
※5 リポフェクション:细胞に遗伝子を导入するための方法の1つ。
※6 ヘパリン:多糖の1つ。细胞培养においては増殖を补助する働きが知られている。
大学院统合生命科学研究科 堀内 浩幸
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掲載日 : 2023年09月21日
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