本研究成果のポイント
〇高品质な画像で学习した深层学习モデルを用いることで、ノイズ低减や空间分解能の向上など、颁罢画像の画质改善が可能となった。
〇颁罢画像のノイズ低减は齿线被ばくの低减につながることから、従来よりも患者さんに优しい検査が実施可能となった。
〇颁罢画像の空间分解能向上は细かな构造の観察を可能とすることから、従来よりも精度の高い画像诊断が可能となった。
概 要
コンピュータ断層撮影 (Computed Tomography:CT) 検査は、X線を利用して対象構造のX線吸収差をコントラストとして画像化する診断手法である。CT画像の画質はX線照射強度に大きく依存しており、低被ばく条件下で撮影された画像ではノイズの増加により画質が低下し、ひいては診断精度の低下を招く可能性がある。そのため、放射線被ばくに伴うリスクを最小限に抑えつつ、検査から得られる診断上の利益を最大化することが重要な課題である。
近年、深層学習 (Deep Learning) の進展により、画像の画質を向上させるための新たな手法が数多く開発されており、医用画像処理においてもその応用が期待されている(1)。本研究では、深層学習を用いた画質改善手法をCT画像に適用することにより、低被ばくかつ高画質なCT画像の取得を目的とする。本研究は広島大学とキヤノンメディカルシステムズ株式会社の共同研究として実施した。
初めに開発した深層学習応用再構成法 (Deep Learning Reconstruction:DLR) は、ノイズの少ない教師画像を用いて深層学習モデルを学習させることで、ノイズの低減された高品質な画像を生成する手法である。図1に示すように、CT撮影により得られた投影データに対し、従来法によって断面画像を再構成した後、その画像に深層学習モデルを適用することで高品質な画像を得ることが可能となった(2,3)。図2に示す結果から、従来法で得られた画像と比較して、ノイズが大幅に低減されており、より高品質なCT画像が得られていることが確認できる。
次に開発した超解像深層学習再構成法 (Super Resolution Deep Learning Reconstruction:SR-DLR) は、ノイズが少なく、かつ高い空間分解能を有する教師画像を用いて深層学習モデルを学習させることで、低ノイズかつ高空間分解能な画像の生成を可能とした(4,5)。図3に示すように、従来法で出力された画像と比較して、ノイズの抑制に加え、微細構造の明瞭な描出が可能となっており、本手法の有効性が示された。

図1: DLRのデータ処理の流れ
颁罢撮影により得られた投影データを画像再构成したあとに、高品质な教师画像でトレーニングされた深层学习モデルで処理することで最终画像を得る。厂搁-顿尝搁においても同様の処理の流れとなる。

a. 従来法

b. 提案法
図2: 従来法および提案法 (DLR) で処理した胎児CT画像
胎児は放射線感受性が高いため低被ばく撮影を行うことから、a. に示す従来法の出力画像には多くのノイズが含まれる。しかしb. に示す提案法の画像ではノイズを大きく低減できており、軟組織の淡い濃度差まで明瞭に視認することができる。

a. 従来法

b. 提案法
図3: 従来法および提案法 (SR-DLR) で処理した冠動脈の模型画像
狭窄病変を有する冠动脉の模型を撮影した画像において、従来法では狭窄部の细い血管内腔が不明瞭なのに対し、提案法では狭窄部においても明瞭に构造が描出されている。
文 献
- Higaki T, Nakamura Y, Tatsugami F, Nakaura T, Awai K. Improvement of image quality at CT and MRI using deep learning. Jpn J Radiol. 2019;37(1):73–80.
- Higaki T, Nakamura Y, Zhou J, et al. Deep learning reconstruction at CT: Phantom study of the image characteristics. Acad Radiol. Elsevier BV; 2020;27(1):82–87.
- Nakamura Y, Higaki T, Tatsugami F, Zhou J. Deep learning–based CT image reconstruction: initial evaluation targeting hypovascular hepatic metastases. Radiology: Artificial. pubs.rsna.org; 2019;
https://pubs.rsna.org/doi/abs/10.1148/ryai.2019180011. - Higaki T, Tatsugami F, Ohana M, Nakamura Y, Kawashita I, Awai K. Super resolution deep learning reconstruction for coronary CT angiography: A structured phantom study. Eur J Radiol Open. Elsevier BV; 2024;12(100570):100570.
- Tatsugami F, Higaki T, Kawashita I, et al. Improvement of Spatial Resolution on Coronary CT Angiography by Using Super-Resolution Deep Learning Reconstruction. Acad Radiol. 2023;30(11):2497–2504.