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深山英树さん

特别対谈~深山英樹広島商工会議所会頭?越智光夫広島大学長対談~

地域に根付きながら、100年后にも世界で光り辉く広岛大学を目指す

(2015年10月13日、広岛商工会议所)

グローバル化が进む中、国立大学を取り巻く环境は大きく様変わりしてきました。一方、大学に対する公司や行政の期待も高まっています。世界や地域を舞台に活跃するグローバル人材の育成に向け、広岛大学は何を求められているのか。広岛大学翱叠でもある深山英树広岛商工会议所会头と越智光夫広岛大学长が语り合いました。

高い潜在能力をもつ大学

越智:学长に就任して半年余りになりました。私は霞キャンパス(広岛市南区)にずっといたものですから东広岛キャンパス(东広岛市)の事情はよく知らなかったのですが、各研究科を访ねてみて非常に潜在能力の高い大学だと分かりました。

たとえばゲノム编集です。理学研究科の山本卓教授のグループは京都大学と共同し、筋ジストロフィー患者さんから作製した颈笔厂细胞を使って病気の原因遗伝子をゲノム编集技术で修復することに成功しました。宇宙科学は日本をリードしています。人文社会系も充実しており、高いレベルの教养教育を行える所以であると感じております。

霞キャンパスの医歯薬系学部?研究科にも、肺线维症の血液マーカーや肝臓病研究など世界的にみても优れたものが少なくありません。また、病院は100床当たりの収益は东大を抜いて全国1位になりました。コメディカルスタッフの数も100床当たり最多です。たくさんの人を雇って快适かつ最高の入院生活を送ってもらう代わり、収入も上がっています。各科の垣根を取り払って入院ベッドを利用できるようにしたことが大きいですね。 

深山:広岛大学は医学、理学、工学系においては非常にランクの高い大学だと思っています。私は政経学部(法学部、経済学部の前身)の卒业です。当时を振りかえってみますと、「大学は社会人の养成机関」という感が强かったように思います。経済史のゼミに所属しましたが、好きだったですね。自分で兴味を持ったものを勉强するということが大学时代のやりがいにつながった気がします。

広岛大学は広岛県内唯一の国立大学であり、平和研究や放射线医疗の分野にも力を入れておられるほか、社会に开かれた大学を目指して社会との连携も积极的に进めておられます。地域に根差した総合大学として、地域社会の発展に贡献されている大学だと思っております。私どもの时代、ほとんどが広岛出身でしたが、卒业して全国に散らばっています。

深山 英树(ふかやま?ひでき)

1941年生まれ。

64年広岛大学政経学部経済学科卒业。

同年、広岛ガス入社。92年取缔役総合企画部长、99年常务取缔役、2000年専务取缔役などを経て、01年代表取缔役社长に就任。

10年4月から代表取缔役会长。

同年12月から広岛商工会议所会头。

地域で活跃する人材养成を

越智:今は入学者の3割が県内からで、卒业生で県内に残るのも3割程度です。広岛県内のレベルの高い高校に「东京や大阪に出なくてもいい、広岛で顽张ろう」という生徒がかなりいるために、広岛大学のレベルが上がっていると考えています。これからの広岛大学は、地域に根差していくとともに、世界で活跃するグローバルな人材を育てて辈出していくことも目指さなければなりません。

歴史的に大学の果たしてきた役割を考えると、エリート教养人を育成するヨーロッパ型、教养を学んだ后に职业人を育成するアメリカ型に対し、明治以降の日本の大学は官僚の养成によって社会のフレームワークをつくることに主眼を置いてきたように思います。

もとより学部の4年间で、教养养育も行いさらに高いレベルの専门教育ができるかどうか、今后カリキュラムも含めて検讨していかなければならないと考えています。

深山:とりわけ文系はいったん社会に出てから実践しながら、また帰ってきて勉强するという繰り返しが必要だと思いますね。

越智:东千田キャンパス(広岛市中区)には现在、法学部40人、経済学部60人の夜间主コースがあります。今后の方向性としては、社会人大学院を充実させていくことが时代の潮流になっていると思います。

深山:ぜひとも进めていただきたい。経済界としても必要性をアピールしていきたいと考えています。

世界に向けた発信の重要性

越智:広岛大学は一昨年、研究大学强化促进事业に採択されたのに続き、昨年はスーパーグローバル大学创成支援事业タイプ础(トップ型)13大学の1つに、中四国地方で唯一选ばれました。これは、10年后に世界大学ランキング100位以内に入ることを文部科学省に约束したわけであり、なかなか困难なことですが、大学を挙げて顽张らなければならないと思っております。

ただ、10年后にすべて终わるわけではありません。「教育は百年の计」といわれるように、私自身は100年后にどういう社会を筑いていくための大学であるのかが问われていると考えております。そこで私はスローガンとして「100年后にも世界で光り辉く大学であること」と「平和を希求する国际的教养人の辈出」を掲げさせていただきました。

その一方で、现実的に突き付けられているのは、海外からの留学生を増やし、外国人の教员を増やすことで、これもしっかり取り组んでいかなければなりません。

世界的な大学ランキングとして知られているタイムズ?ハイヤー?エデュケーション(罢贬贰)と蚕厂の最新版が、相次いで公表されました。広岛大学はいずれも国内の12位で、他大学がランクを大きく落とす中で、构成员が顽张ってくれたおかげで、かろうじて踏みとどまりました。

罢贬贰を详しくみますと、论文数や引用度数は旧帝大に负けていません。ただ学界や雇い主の评価が着しく低いんです。その意味でも、広岛大学はこういう大学であるということを世界にアピールしていく必要があります。海外の有名な拠点と包括协定を结んで学生や教员の交换を进めていくつもりです。

深山:国际平和文化都市である広岛の大学として「こういう分野は世界トップレベル」というものを目指してほしいですね。18歳人口がどんどん减っていく中で入学希望者の减少は避けられないかもしれませんが、大学の魅力があれば若い人も集まってくるはずです。

広岛大学が提携しておられる拠点が海外各地にあることは以前からお闻きしています。学生?教员のみならず公司も含めて交流をしていく必要があります。グローバル时代には、世界で仕事ができる人材が求められます。単に语学だけではありません。日本とは违う国情をよく分かって仕事をしていける人づくりを进めていただきたいし、公司としても取り组んでいきたいと考えています。

研究成果を地方创生へ

越智:地方创生に関しては、広岛大学で手掛けている代表的な取り组みとして、革新的イノベーション创出プログラム(颁翱滨)に採択された精神科の山脇成人教授を研究リーダーとする「精神的価値が成长する感性イノベーション拠点」が挙げられます。もともとは自动车メーカーのマツダとともに、感性を可视化して人の気持ちに対応した操作性を実现することで、ワクワクした运転ができるクルマを开発しようと始めました。物质的な豊かさよりも気持ちの豊かさにフォーカスを当てた研究といえると思います。今では地元を中心にさまざまな公司が加わり、衣食住全てに関わる研究や社会実装への取り组みを展开しているところです。

深山:先ほどもありましたが、卒业生の県外流出をいかにして食い止めるか。そのためには魅力のある公司の雇用がないといけない。広岛には昔からナンバーワン、オンリーワンの公司が中小公司に多いんです。ただ、それが学生にあまり知られていないので、「広岛にはこんなに优れた公司がある」ということをもっとアピールしていていく必要があると诉えてきたい。今以上に、学生の足を止める事业を掘り起こしていく必要があります。

统计的に见ると、「事业の承継者がいない」という公司の割合が広岛県は冲縄県に次いで2番目に多く、それが廃业の理由にもなっています。新しい事业を起こしていくとともに、事业承継者を育成していく必要性も大いにあると思っています。

やはり地方创生には若い力が欠かせません。広岛商工会议所には45歳以下のメンバーで构成する青年部があります。全国で2番目に多い约350人の阵容で、会员が自然に増えて活动しており、大いに期待しています。

私どもの公司でも、最近の若い人は决められたことを决められた通りにやる倾向が强いですね。そうした型を破って、自ら考え自ら行动を起こして新しいことに挑戦する人材が経済界でも求められています。ぜひ学生の时代からそういう経験ができるようなことをやっていただきたい。

解のない课题に立ち向かう力を

越智:受験戦争に象徴されるような知识偏重型の教育を、どこかで転换させる必要があります。覚えた知识をそのまま答案用纸に书けばいいというのではない、いわば「心の中のパラダイムシフト」を起こさせていかなければならないと思っています。

ただ、医学科や保健学科、法务研究科のように知识が问われている分野もありますが、その中でもできるだけ自由な発想を奨励していきたい。とくに大学院で博士号を取りたいという人にはそういう视点で考えてほしいですね。今までの知识を100%覚えていても新しい一歩は踏み出せないわけですから。どこかでブレークスルーしようと思ったら全く违う考え方をする必要があります。大学もその役割を担わなければならないと强く思っています。

深山:一つの课题に解は一つではなく、何通りもあるわけです。こういう状况にはこういうふうに対応しなければいけないか。あるいは、想定していない课题が発生した时にどう原因を追究して対策をどう打っていくのか。社会へ出たら、そういうことがしばしば要求されるわけです。画一的な人间は、なかなか枠からはみ出せないので、何か起こった时にもうまく対応できません。

越智:会头からそういうご意见をいただいて私も大変うれしく思います。今は、社会に出てすぐに使える知识が大学に求められているといわれますが、すぐ使える知识はすぐ使えなくなる知识であると思います。会头が言われたように、最终的に会社に贡献できるのは解のない问题が出た时に立ち向かうだけの力ではないでしょうか。それは教养教育で培われると考えています。

私たちが学生のころは、授业をさぼっても図书馆や下宿で哲学书、文学书を読んだものです。ところが今の医学生に闻いてみると、小説を含めて年间に1册も本を読んでいない人もいます。与えられえるのを待つスプーン?フィーデングでなく、自ら出掛けていって「钓りの方法でも覚えてみようか」という姿势をもってほしい。それを引き出すのが大学の役割なのですが、一番难しいところでもあります。

深山:同感です。私も学生时代、先生からドイツ语や英语の原书を与えられて最初は义务感でやっていたのが、その中から兴味がある分野を突っ込んでいくようになりました。しかし、今の若い人はびっくりするぐらい本を読んでいない。テレビがあったりネットがあったりするからでしょうか。

越智:确かにネットを使えばコンパクトにまとまった知识が得られます。しかし简単に出てくるものは简単に忘れていく。一见、无駄なようなところに将来にわたって有用なものが潜んでいると思います。本を読んでどこか引っかかるところはずっと残っていて、ある时に使えてくることはよくあります。

私も振り返ってみて、その时点では学生が理解できなくても、后年になって「あの时、先生はこういうことが言いたかったのか」と気付くような讲义をしても良かったかんじゃないかなと思っています。ドイツ语や英语で読むのは难しいですが、それをクリアしていく中で见つけていくのは大事なことですね。

平和を希求する

深山:国际平和文化都市広岛にある広岛大学は、世界恒久平和を目指さなければいけないと思うんです。民族対立などを见るとなかなか难しいことではありますが、まず相手を受け入れて、その立场になって考えてみること。世界の人类がみなそういう立场に立てば、恒久平和はきっと访れるんじゃないかと思っています。それを目指していけば、広岛大学の存在価値がいっそう増すのではないでしょうか。 

私自身も、全てを受容することを人生のモットーとしてきました。基本的なものの考え方として、いったんは受け入れる姿势が必要だと思ってやっております。

越智:世界で初めて原爆が落とされた都市にある大学として、初代学长の森戸辰男先生は「自由で平和な一つの大学」という建学の精神を唱えられました。「平和を希求する精神」は理念5原则の最初に掲げられています。

 私もグローバリゼーションというのは英语や中国语が话せることではないと思います。それぞれの地域に住んでいる人の価値観をどのくらい自分が共有できるか、认めることができるかが一番大事であると思います。自分の持っている価値観を押し付けるのではなく、相手の持つ価値観とすり合わせをしていくことができる人がグローバル人材でしょう。

 広岛大学の学生は戦争、平和、环境、飢饿など21の平和科目の中から一つを履修しなければならないことにしています。それを契机に平和や地域纷争を含めて考え、ひいては国际的な问题が生じた时、どうすれば平和な社会を筑いていけるか、という视点を持って考えられる市民になってほしいと愿っています。

最后に広岛大学に临むことをお闻かせください。

地域とグローバルを両轮に

深山:现在も社会人のための讲座、大学施设の开放、定期的に大学内を案内するキャンパスガイドをはじめとする地域连携に积极的に取り组んでおられます。私ども商工会议所でも社会人教育の场で连携させていただいております。たとえば「広岛夕学讲座」を平成15年から広岛大学と共同运営させていただいています。

商工会议所に设置しています人材育成委员会と広岛大学とで、产业社会が求める人材、大学に対する希望等について近く意见交换をしていきたいと考えております。また学部を越えたユニークな同窓生交流の场である「千田塾」をベースに、広岛大学の研究结果のシーズを掘り起こし、地元公司とのマッチングを行う事业は、今后とも进めていきます。

越智学长は日本でも有数の総合研究大学である広岛大学全体のかじ取りとともに、世界の大学の中での存在感を大いに高めていただくことを期待しております。

越智:広岛大学は地方に根付きながらもグローバルな人材を辈出していく大学、世界の中で100年后に光り辉いている大学を目指して、教养教育?専门教育を行い、海外からの留学生増にも取り组みます。もちろん日本人の学生にも海外に目を向けてもらう必要があります。大学が支援して新入生に10日から2週间程度、海外体験をしてもらう厂罢础搁罢プログラムには、入学生全体の1割にあたる250人が参加しました、

学生が「広岛大学で学べてよかった」、教职员が「広岛大学で働けてよかった」といえる大学にすることが私の使命だと思っています。卒业生はもとより、产业界の皆さんのいっそうのご支援をお愿いしたいと切に愿っております。

本日はありがとうございました。


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