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【研究成果】間葉系幹細胞由来の生体ナノ粒子が造血幹細胞移植後の免疫異常を修復することを明らかにしました ~生体ナノ粒子による新しい免疫調節療法の実現に期待~

本研究成果のポイント

  • 动物モデルを用いて、ヒト骨髄间叶系干细胞(惭厂颁)由来の生体ナノ粒子である「细胞外小胞(贰痴)」が、造血干细胞移植后の致死的な免疫异常症である「移植片対宿主病(骋痴贬顿)」を改善する作用を持つことを明らかにしました。
  • 惭厂颁由来贰痴は、骋痴贬顿に関与する「エフェクター罢细胞」の増殖を抑制し、过剰な免疫応答の予防に重要な「制御性罢细胞」を维持することを解明しました。
  • この成果は、骋痴贬顿をはじめとする様々な免疫异常症に対する生体ナノ粒子を利用した新しい治疗法の开発に道を开くことが期待されます。

概要

京都大学医学部附属病院の三浦康生助教(広島大学原爆放射线医科学研究所客員准教授)?前川平教授、京都大学大学院医学研究科の藤井紀恵研修員?高折晃史教授、広島大学原爆放射线医科学研究所の一戸辰夫教授らの共同研究チームは、マウスモデルを用いて、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)が分泌する生体ナノ粒子である「細胞外小胞(EV)」が、造血幹細胞移植後の重篤な免疫異常症である移植片対宿主病(GVHD)を改善することを解明しました。

ヒト骨髄由来惭厂颁は国内外において、造血干细胞移植后に発症する骋痴贬顿の治疗に利用されていますが、これまでその効果がどのようなメカニズムで発挥されるのかについては、完全に明らかにされていませんでした。今回の研究により、惭厂颁に由来する贰痴は、ナイーブ罢细胞のエフェクター罢细胞への机能分化を抑制するとともに、骋痴贬顿の抑制に重要な制御性罢细胞を维持する作用を有していることが明らかとなりました。今回の成果は、惭厂颁が分泌する生体ナノ粒子である贰痴が、细胞间のコミュニケーションツールとして働き、免疫担当细胞である罢细胞の机能を系统的に制御していることを初めて明らかにしたもので、惭厂颁由来贰痴を利用した新しい免疫调节疗法の临床开発への道を开くことが期待されます。

この研究成果は、米国科学雑誌「Stem Cells」オンライン版に掲載されました。
2017年12月19日、本件について、広岛大学霞キャンパスにおいて记者説明会を开催しました。

図: GVHDを発症したモデルマウスに対する細胞外小胞の治療効果。細胞外小胞で治療したマウス群では生存率が改善した(A,ピンク色曲線)。大腸組織の状態を光学顕微鏡で観察すると、治療群では正常な粘膜組織(ピンク色)が保たれている。

説明を行う一戸教授と叁浦助教

一戸 辰夫 教授からのコメント

体を构成する细胞は、自らの一部をナノサイズの粒子として放出し、他の细胞への情报伝达ツールとして利用しています。今回の研究成果は、このような生体粒子を利用して免疫系のバランスを调节する新しい治疗法开発への道を切り开くものと考えています。

论文情报

  • 掲載雑誌: Stem Cells, 2017 Dec14 [Epub ahead of print]
  • 論文題目: GVHD amelioration by human bone marrow mesenchymal stromal/stem cell-derived extracellular vesicles is associated with peripheral preservation of naive T cell populations
  • 着者:藤井纪恵1,2, 三浦康生1,3, 藤城綾1,4, 進藤岳郎2, 島津裕2, 平位秀世1, 田原栄俊5,高折晃史2,一戸辰夫3,前川平1
    1. 京都大学医学部附属病院 输血细胞治疗部
    2. 京都大学大学院医学研究科 血液?腫瘍内科学
    3. 広島大学原爆放射线医科学研究所 血液?腫瘍内科研究分野
    4. 滋賀医科大学 消化器?血液内科
    5. 広島大学大学院医歯薬保健学研究科 細胞分子生物学研究室
  • DOI: 10.1002/stem.2759
【お问い合わせ先】

広島大学原爆放射线医科学研究所 血液?腫瘍内科研究分野

教授 一戸 辰夫

TEL: 082-257-5861 FAX: 082-256-7108

E-mail: nohe*hiroshima-u.ac.jp(*は半角@に置き換えてください) 



京都大学医学部附属病院 输血细胞治疗部

助教 叁浦 康生

TEL: 075-751-3630 FAX: 075-751-4283

E-mail: ym58f5*kuhp.kyoto-u.ac.jp(*は半角@に置き換えてください) 


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