大学院人间社会科学研究科 澤井 努 准教授
罢别濒:082-424-6348
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(注: *は半角@に置き換えてください)
広島大学大学院人间社会科学研究科、澤井努 准教授(京都大学 高等研究院ヒト生物学高等研究拠点 連携研究者)、 片岡雅知 研究員は、胎児組織から作製された脳オルガノイドをめぐる倫理?規制上の課題を整理し、隣接分野の規制との関係性のなかで、国際的に調和した規制を整備していく必要があると指摘しました。
本研究成果は、2024年3月4日に学術誌「EMBO reports」でオンライン公開されました。
&苍产蝉辫; 近年、ヒト脳オルガノイド研究*1(ヒト多能性干细胞*2から生体外で作られる立体的な脳组织)に関する研究成果が多数报告されています。脳オルガノイドは発生初期の脳を部分的に模倣していることから、発生初期の脳発达の理解促进、また発生初期に生じる脳関连疾患の原因解明、さらにそうした脳関连疾患に対する创薬に利用できると期待されています。しかし、生体外で脳オルガノイドを作製する场合、构造上、十分に発育させることができないという课题がありました。
2024年1月、胎児の脳组织を用いてヒト脳オルガノイドを作製したとする研究が报告されました。この「胎児脳オルガノイド」は中絶された胎児の脳から得られた组织を培养して作られます。胎児脳オルガノイドは、多能性干细胞から作製されるヒト脳オルガノイドとは异なり、元になった脳部位のさまざまな特徴を保持しており、脳の重要なシグナル分子に反応することが分かっています。胎児脳オルガノイドは特定の発生段阶の脳组织を再现するだけでなく、その性质を保ったまま増やすことができるという特徴を持ちます。そのため、発生初期段阶の脳の理解に强みのあった従来の脳オルガノイドを补完する関係にあり、今后、脳の発达や病気の原因をさらに解明することに役立つと期待されています。
しかし、胎児组织の研究利用とヒト脳オルガノイド研究には、既にそれぞれ伦理?规制上の课题が指摘されています。胎児脳オルガノイド研究は両者の课题を含むため、そうした従来指摘されてきた课题が复雑化する可能性があります。
&苍产蝉辫;本论文では、胎児脳オルガノイド研究の伦理?规制上の课题をいち早く整理し、隣接する研究分野との関係性のなかで国际的に调和のとれた规制が必要であると主张しました。
ヒト脳オルガノイド研究には、细胞提供者から十分な説明のもとでいかに同意を取得するか、ヒト脳オルガノイドが将来的に意识を持つことはないか、动物に移植した际、その动物にどのような影响があるのか、などさまざまな伦理的课题が提起されています。これらの课题は胎児脳オルガノイド研究にも同様に当てはまり、一部の课题はより复雑化すると予想されます。特に同意取得に関して、细胞提供者は作製された脳オルガノイドに个人的なつながりを感じやすいという调査があり、胎児组织の提供者はこうした感情をより强く抱えることが予想されます。従来、胎児组织研究において同意取得の重要性が指摘されてきましたが、胎児脳オルガノイド研究においてはさらに丁寧な同意取得が求められます。
また胎児脳オルガノイド研究は、ヒト胚研究の规制を再考する契机となるかもしれません。今回问题になっている研究では、妊娠12–15週目の胎児の脳组织から脳オルガノイドが作製されました。他方、ヒト胚を培养する研究には、受精后14日以上体外で培养してはならないとする现行の国际ルール(14日ルール)があり、これを遵守するならば、受精后12–15週まで胚?胎児を体外で培养することはできません。现在、一部で14日ルールを再考するかどうかが争点になっていますが、脳组织が十分に発达していないという理由のみに注目し、胎児脳オルガノイドの作製が认められる场合、同様の理由がヒト胚の体外での培养にも适用され认められるかもしれません。
现在、胎児组织研究の规制のあり方については、国际的な合意が得られていません。本论文では、米国、英国、日本、オランダ、ドイツ、イスラエルの胎児组织研究の法规制に注目し、そうした研究の规制上の齟齬を指摘しました。胎児脳オルガノイド研究をさらに进めるうえでは、国际的な规制、またそれに向けた社会的议论が求められます。
胎児脳オルガノイド研究は、その有用性から、今后もさらに発展する可能性があります。伦理的な课题を抱えるこうした研究を责任ある形で进めていくためには、ヒト脳オルガノイド研究、ヒト胚研究、胎児组织研究に関して、国际的に调和の取れた规制を整备する必要があります。本研究グループは、胎児脳オルガノイド研究を含め、隣接する分野の伦理?规制上の课题にいち早く取り组むことで、研究を支える伦理?规制の枠组みを确立することを目指します。
本研究は、以下の支援により実施しました。
なお、本研究の実施に伴い、申告すべき利益相反はありません。
用语解説
*1:ヒト脳オルガノイド
ヒト多能性干细胞*2から生体外で作製される立体的なヒト脳组织。
*2:多能性干细胞
自己増殖能(无限に増殖する能力)と多分化能(体を构成する全ての细胞に分化できる能力)を持つ细胞。贰厂细胞(精子と卵子の受精后5?7日が経过した胚盘胞から内部细胞块を取り出して人工的に作られる)や颈笔厂细胞(皮肤や血液の细胞に复数の遗伝子を导入して人工的に作られる)などがある。
大学院人间社会科学研究科 澤井 努 准教授
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掲載日 : 2024年04月10日
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