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かなた望远镜含む地上望远镜による小惑星リュウグウの偏光観测

本研究成果のポイント

広岛大学宇宙科学センターを含む12の大学?研究机関は、地上望远镜による小惑星リュウグウの偏光観测を共同で行いました。その结果、太阳系小天体として记録上最も大きな偏光度を测定するに至りました。その偏光度の値から、「表面を覆う砂粒は、1ミリメートルの数分の1という小惑星としては大きい粒径である」ことを突き止めました。これは、探査機「はやぶさ2」が撮影したリュウグウ表面の画像に見られるように、リュウグウの表面が比較的大きな岩塊を主体として構成されているという結果と理解が一致するものです。今後、「はやぶさ2」がリュウグウから持ち帰った表面物質の分析の結果との比較を通して、リュウグウの姿がより詳しく解き明かされていくことでしょう。この成果は、国際査読雑誌 アストロフィジカル?ジャーナル?レターズ誌にて発表されました()。

(左)リュウグウ(赤色;本研究)とその他の太阳系小天体の偏光度と位相角の関係。

(右)本研究で観測に使用した望遠鏡?装置群。左上: かなた望遠鏡+HONIR(広島大学)、右上: なゆた望遠鏡+WFGS2 (兵庫県立大学)、左下: ピリカ望遠鏡+MSI (北海道大学)、右下: 普賢山天文台望遠鏡+TRIPOL#3 (ソウル大学)

概要

「リュウグウ」は、炭素型(颁型)という种类に分类される小惑星であり、生命の材料となる有机物を有することが期待される天体として注目を集めています。そのため、闯础齿础による探査机「はやぶさ2」が直接访れて现地での详细な観测を行った他、表面の物质を採取して地球に持ち帰ることに成功したことでよく知られています。

我々のグループは、広岛大学宇宙科学センターが运用する东広岛天文台かなた望远镜の観测装置「贬翱狈滨搁(オニール)」と、他の日韩3台の望远镜?観测装置を用いて、リュウグウの「直线偏光度」の测定を行いました。
我々が目にすることのできる「光」は、単に明るさや色だけでなく、上下左右どの方向に电磁场が振动しているかという「偏光」という情报を持ちます。この「偏光」の度合い(偏光度)は、太阳の光がリュウグウで反射されて地球に届く际に、叁者の位置関係(太阳-リュウグウ-地球の成す角度=「位相角」)によって変化します。特にその値は、リュウグウの表面を构成する典型的な粒子の大きさに敏感です。逆に言えば、偏光度の测定から、リュウグウの表面の状态を知ることができるのです。

今回、我々のグループは、位相角が28-104度と大きく変化する広い范囲にわたってリュウグウの偏光度を测定し、(1)位相角の増大とともに偏光度が増加すること、(2)位相角约100度で最大偏光度约50%を示すこと、を明らかにしました。
この50%という偏光度は、かつて笔丑补别迟丑辞苍(ファエトン、フェイトンなど)という小惑星で测定された偏光度を超える、太阳系小天体としては记録上最大のものになりました。また、位相と偏光度の変化を密にかつ连続的に捉えられた天体は少なく、かなた望远镜+贬翱狈滨搁のように、优れた望远镜と偏光観测装置を有する日韩4台の望远镜が紧密に连携したからこそ得られた重要な成果といえます。特にかなた望远镜での観测は全26点の観测のうち10点にのぼり、偏光度が最大となる値を决める位相角93-104度の范囲のすべての観测を担うなど、本研究の上で大きな贡献となりました。

さて、今回得られたリュウグウの最大偏光度を、地球に落下した様々な陨石が示す偏光度と比较したところ、リュウグウの表面を覆う砂粒は、1ミリメートルの数分の1という小惑星としては大きい粒径であることが明らかになりました。自転している小惑星の表面は、太阳光があたったり影に隠れたりすることで温度の変化が激しく、その热膨张?热収缩の繰り返しで岩石が壊れ、细かい(百分の1~千分の1ミリメートルほどの粒径をもつ)粒子で覆われていると考えられていました。しかし、そのような细かい粒子が存在しないのです。我々の研究の结果から、「细かい粒子がどのようにしてどこに消えたのか」という、新しい谜が提示されることになりました。

「はやぶさ2」がリュウグウから直接持ち帰った物质の分析がいままさに始まろうとしています。その结果との比较によって、我々が地球からの観测で推定したリュウグウの表面の构造について、さらに理解が深まることでしょう。なお、はやぶさ2が持ち帰ったリュウグウの表面物质は、弾丸を打ち込んで表面をえぐって飞散させたものであるため、地下の物质も混ざっていることには注意が必要です。我々の研究は、非破壊状态のリュウグウの表面そのままの状态を観察したことに等しいため、「はやぶさ2」が持ち帰った物质の分析と相补的なものになります。

 

関连リンク

  • 研究トピックス(京都大学大学院理学研究科付属天文台より)
  • 米国天文学会による一般向け解説记事(英文)
  • 成果ニュース(千叶工大)
  • JAXA はやぶさ2プロジェクト 小惑星リュウグウの偏光度を測定
  • 兵庫県立大学西はりま天文台 ニュース
  • 広岛大学プレスリリース「はやぶさ2」初期分析チーム2021年6月より试料の分析开始
    /news/64707


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