
4月14日から,熊本?大分両県で规模の大きな地震が相次いでいます.亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに,被灾者の方には心よりお见舞い申し上げます.
私の研究は,微生物の生き方を调べて,人に役立つ性质を探すことだ.こう书くと皆,私が根っからフィールドもできる研究者と误解するが,それは大间违い.25年前,学位を取った私は,ラボしか知らない駆けだしの生化学者で,就职して菌类の低温适応をテーマにして初めて野外で微生物を採集した.私の好きな菌は,採集地によって微妙に性质が异なり,ユーラシアの両端の日本とノルウェーの菌株は,ずい分违っている.谁も菌株を集めたことのないシベリアの菌株を调べれば,この理由が判ると思ったのだが…行ったこともない外国にどうすりゃ良いのか途方にくれていた.
その顷,ブラジルが夸る観光地サントスで第7回国际微生物生态学会が开催され,职场の先辈が参加した.帰国してから土产话を闻くと,いや大変だったよと,こんな话をしてくれた.当时のブラジルは英语があまり通じず,自分はポルトガル语がしゃべれないので,航空券の予约再确认(昔はこんなことがあったのです)にも往生し,そして宿泊したホテルのフロントの若い兄ちゃんにずい分と助けてもらったとのこと.学会が终わった翌日,サントス市街からサンパウロ空港への道すがら観光地を巡るエクスカーションに先辈は参加するはずだった…が道路を隔てた向かい侧のホテルの参加者がバスに乗った后,いつまで待っても自分のホテルにバスが来ない.不安になって,フロントの人に闻いてもらうと,彼が乗るべきバスは,恐ろしいことに,既にサントスを离れたとのことだった.フロントの兄ちゃんは,途方にくれる先辈を连れて学会会场に行くと,サンパウロ空港行きのバスを见つけて,运転手やら学会事务局と激しく交渉して空席と乗车券を确保し,エクスカーションとの差额を返金させ,先辈の荷物をバスに积むと,「いいかい,谁が何を言おうが,絶対この席を离れたらいけないよ.このバスは必ず空港に着くから」と言い,笑颜を见せると自分のホテルに戻っていった.
この话を私は,身振り手振りを交え,临场感あふれたネタとして,実体験した先辈以上に何度も语り,そして気づいた.あの兄ちゃんは,先辈がまた自分のホテルに泊まることを思って动いた訳では多分ない.彼の性格だろう.この话が面白いのは海外の苦労话以上に,地球の里侧でも困っていれば助けてくれる人がいることだ.
そう思うと,私のシベリアでの菌探しも,现地の相方が必要だろう.そして相方は,仕事のできることに越したことはないが,人间として信用できる相手が一番重要だと思う.悪い话题にこと欠かないロシアにそんな人はいるのだろうか?ブラジルネタの2年后,札幌の国际学会で私は,その后10年にわたり共にシベリアを调査するロシア人の友人と巡り会う.研究者も人间なのだ.目先の损得だけでなく,信頼できる仲间とは长く研究ができる.后半の话の详细は,拙书「菌世界纪行-谁も知らないきのこを探して-」にてご确认顶きたい.