
「酵母には寿命がある、〇か×か」と讲演会などで聴众の方々に质问することがあります。すると多くの方が×と答えます。酵母のような微生物は无制限に増殖するイメージがあるようです。しかし、正解は「○」です。酵母にもちゃんと寿命があって最后は死んでしまうのです。では、酵母の寿命はどのようなものなのでしょうか?出芽(娘细胞を产生する)をして増殖する、パン酵母でお驯染みの出芽酵母の母细胞は娘を产む回数に限りがあります。これを复製寿命と呼んでいます。一方、栄养が枯渇した状态でどれくらい生存が维持されるかで定义される経时寿命もあります。ともあれ酵母には寿命があるのです。兴味深いことに老化した酵母は细胞のサイズが若いころと比较すると大きくなり、细胞の形もスムーズな表面から凸凹になってきます。また、细胞内の代谢も大きく変化します。このように説明していくと酵母に寿命がありそうだと纳得していただくのですが、では酵母の寿命を调べて何の役に立つのか?という疑问がでてきます。
よく昔から「腹八分目に医者いらず」という言叶を耳にしますが、このことを実践することは确かに体に良さそうですが科学的な根拠はなかったのです。最近、新闻やテレビなどでカロリー制限やサーチュイン(长寿遗伝子)といった言叶を耳にされた方もいるかと思います。カロリー制限するとサーチュインといういわゆる长寿遗伝子の活性が翱狈となり长寿(健康)になるというものです。カロリー制限すると生活习惯病の予防にもつながることから、现在最も确実なアンチエイジング法です。実はこの発见は酵母を使った寿命研究がそのブレークスルーとなったのです。他にも酵母を使った寿命研究から几つもの兴味深い报告が出てきています。例えば细胞が年を取る(出芽する)ごとに毒性のある老化因子が蓄积されるのですが、これは母细胞に选択的に保持され、娘细胞には受け渡されないような仕组みが存在します。つまり娘细胞の年齢はゼロにリセットされ若返るのです。このメカニズムとして、母细胞が积极的に悪い物质を集めているのか、あるいは娘细胞が悪い物质を母细胞へ渡しているのかなど兴味深い疑问が出てきます。
私自身も酵母(2009年より线虫も一员に)を使って寿命の研究を行っていますが、次から次へと新しい疑问(兴味)が涌いています。また、研究室の外での酵母の副产物(お酒)を楽しみながらの研究谈义もたいへん重要でその中から新たなアイデアがうかんだり??しています。
最后になりましたが、今年10月に酵母研究者にとってビックニュースが飞び込んできました。大隅良典先生がノーベル生理学?医学赏を受赏されました。「オートファジー」でお驯染みだと思いますが、これは飢饿状态で生存するためのアミノ酸のリサイクルシステムで、この现象も老化?寿命と密接な関连があります。大隅先生が使っているモデル生物も酵母です。大隅先生のお荫で基础研究における酵母の知名度もさらにアップしたのではないかと思っております。今后、酵母の寿命研究からヒトの健康に役立つ新规アンチエイジングを提唱できればと日々考えています。

酵母研究者が集まっての酵母研究谈义后の一コマ