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第21回田岛誉久助教

バイオのつぶやき第21回 田岛誉久助教「新たな触媒」

 桜のたよりが届く季节となりました。研究室でも卒业生が新天地での活跃を梦见て旅立ち、そして希望に満ちた卒论生が新たに加わります。新たな出会いの时期です。もちろん、环境が大きく変わりいろいろと戸惑いや不安があると思いますが、自信をもって望んで顶けたらと思います。

 私は低温微生物を利用した新しい触媒で“ものづくり”をしています。触媒とは化学反応をはやめるために利用される物质で无机では鉄や白金などがあります。一方、生体内の反応では酵素が触媒します。酵素はタンパク质ですので、温度など物理的な条件によって活性が良くなったり悪くなったりします。生物を利用した“ものづくり”でよく问题となるのは目的とする生产物量が少ないことです。これは微生物を利用したものづくりでは生体内にある様々な酵素を利用しますが、狙った反応以外も起こってしまい、原料が横取りされてしまうことが多々あるからです。これを改善するには必要な反応を触媒する酵素自体を取り出す(精製する)か、邪魔な酵素の遗伝子を破壊して酵素を作らなくする方法の二つがあります。しかし、どちらも手间がかかります。もっと简単にシンプルに扱える触媒を作りたいということで、私たちの研究グループでは低温菌を器として用いたシンプル酵素触媒を构筑しています。これは低温菌の中に、反応に必要な酵素を中温菌、植物、动物など常温で生育する生物から取得して発现させた菌をつくります。これを常温(40~50℃)で热処理すると、低温菌の酵素は活性を失いますが、常温で生育する生物由来の酵素は活性を失うことなく働くことができます。ついでに、外界と细胞内部を隔てる微生物の膜构造も适度に壊れるため、原料が目的の変换酵素に出会いやすくすることができます。このようなコンセプトで构筑したシンプル酵素触媒で“ものづくり”を行うことで、简単な方法(シンプル)でありながら効率よく生产物を手に入れることができるようになってきました。また、新たな低温菌との出会いを求めて极寒の海からの探索も进めています(タイトル下の写真は船内での実験风景です)。

 学会や研究者の集まりでは色々と话が进むことがあります。私も学会での発表を闻いて顶いた公司の方に声をかけて顶き、共同研究をしましょうと话が进むことが时々あります。私の场合は、いま何を作ることが求められているかを知ることは意外と难しく、研究室の中ではわからないことが多いです。ですから、こんなモノを作ることできますか?など提案をいただけることはとてもありがたく思います。

 ところで、若手(学生)のみなさん、研究会での出会いを体験しませんか?今年の7月22~23日に生物工学若手研究者の集い2017夏のセミナーを広岛で行います(详细はこちら)。合宿形式のセミナーですが、ポスター発表に加えて夜遅くまで语り合う交流会もあります。讲师の先生や若手教员、公司研究者の方と気軽にいろんな话を闻いたり相谈することができます。たまたま隣に居合わせた人と意外な接点(研究テーマが近い、出身地が一绪、共通の知り合いがいるなど???世间は意外と狭いことを感じます)で话が进むこともよくあります。研究や実験は一人で行うこともありますが、 复数人で取り组むことで多面的な见方ができ、课题解决しやすくなると思います。触媒には、「比喩的に、ある状态を変化させたり何かを生み出すための刺激となった人や物事などをいう」(日本国语大辞典)という意味もあります。是非、新たな出会い(触媒)を见つけましょう。

 

 


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