麻豆AV

第24回久米一规助教

バイオのつぶやき第24回 久米一規助教「発見の喜び」

 研究生活の中で、私にとって重要なモチベーションの1つである「発见の喜び」についてつぶやきたいと思います。
 

 私がはじめて「発见の喜び」を强く感じたのは、研究室に配属された学部4年生のときです。取り组んでいた研究内容は、「酵母を用いた変异株のスクリーニング」でした。当时の私は、大学のサッカー部に所属し、サッカーに打ち込める最终学年であったこともあり、头の中では研究のことよりもサッカーのことを考える时间が多かった気がします。研究室のコアタイムが终わる17时までにいかにして早く実験を终え、サッカーの练习に行くかということを意识していました。しかし、自身の研究に取り组み、実験结果を积み重ねていくにつれて、「発见の喜び」を経験するとともに、研究の魅力に引き込まれていきました。

 当时私が取り组んだ研究の具体的な内容は、分裂酵母の细胞の形を制御する遗伝子の変异株を使い、その変异株が示す薬剤感受性を抑圧する二重変异株(二つの遗伝子に変异が存在する変异株)のスクリーニングでした。つまり、オリジナルの遗伝子の変异に加え、别の遗伝子に自然発生的に変异が入ることにより、なぜか薬剤感受性を示さなくなった二重変异をもつ酵母変异株を取得するというものでした。行った実験は以下のとおりです。
 

  1. 酵母変异株を液体培地で培养し、変异株が生育できない浓度の薬剤を含む寒天培地にまいて、コロニーを形成するまで培养する。
  2. コロニーを形成したら、それをひたすら新しい寒天培地にピックアップし、取得した二重変异株が薬剤存在下で増殖できるかを再确认する。
  3. 増殖の确认ができた二重変异株を冷冻保存する。
     

 シンプルな実験方法で、灭菌した爪杨枝を使い、ただ黙黙と无心にコロニーを単离していました。一方、同期の学生らは、ウエスタンブロッティングによるタンパク质実験や酵母の形质転换など様々な実験方法を教わり、私は彼らを羡ましいと思っていました(后ほど私はもういいと思うほどこれらの実験を行う机会に恵まれました???)。数ヶ月におよぶスクリーニングの结果、目的の二重変异株を20株取得することに成功しました。取得した変异株の原因遗伝子について调査したところ、既知の2遗伝子を含む6つの遗伝子の変异に分类されることがわかりました。この结果を当时の指导教官の平田大先生に报告したところ、「これは、新しい!!」と言われ、私自身大変うれしかったことを覚えています。このとき、新しい変异株を単离したというだけの実験结果ではあったものの、「発见の喜び」を感じた瞬间でした(注1)

 「発见の喜び」は、人によって大小异なるとは思いますが、「発见の喜び」は自信につながりますし、次の実験に取りかかる推进力になります。また、失败の连続でもそれを打破するモチベーションにもなりうると思います。

 教员になった今でも、研究室に配属された学生とともに、现在取り组んでいる研究テーマのもと、新たな発见をするべく、灭菌した爪杨枝(注2)を駆使し、日々研究に勤しんでいます。

 

(注1):新しい変异株の単离が研究のおわりではなく、むしろ始まりで、后に取得した変异株の解析を通して、さらなる新たな発见を目指し、研究を行いました。

(注2):爪杨枝は酵母を扱う実験において非常に有用ですが、実験に爪杨枝だけを使用しているわけではありません。他の実験机器も駆使しております。


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