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第47回 水沼正树准教授

バイオのつぶやき第47回「寿命研究との出会い」水沼正樹准教授

 今や老化?寿命を対象とした研究は珍しくはなく、日本では分子生物学会など大きな学会に出席すると老化?寿命をテーマとしたシンポジウムやワークショップを目にする機会が増えました。また、NYのコールド?スプリング?ハーバー研究所では2年に一度「Mechanisms of Aging」という老化?寿命に特化したテーマで世界各地から研究者が集結し、最新のデータをもとに議論が盛り上がっています。日本での学会でよく目にする研究者を海外の学会ではほとんどお目にかかれないのは大変残念です。本分野は、欧米が一歩リードし、日本は後れを取っていましたが、ようやく数年前より国の重点支援領域の一つになり、盛り上がってきていることから、日本からの研究者の方々には海外の学会でもっとアピールして欲しいと思います。
 さて、私は、过去10年间は寿命研究に取り组んでいますが、どうしてこの分野を始めたのかと寻ねられることがよくあります。答えは、たまたま寿命制御に関与する変异株が取得されたからです。私は学生时代から酵母を使った研究に携わってきましたが、最初は颁补2+/カルシニューリンシグナル伝达経路が细胞周期のチェックポイント机构として働くことを提唱しました。その后、颁补2+シグナル伝达経路の全体像の解明を行いたいと思い、突然変异株の単离とその原因遗伝子の同定による関连遗伝子群の网罗的単离および细胞生物学?生化学的解析による新规遗伝子の特徴づけを行ってきました。この手法はフォワードジェネティクス(顺遗伝学)と言われます。颁补2+耐性という表现型で取得された変异体の中には、顕着に短命でテロメア长が短缩した表现型を示すものが取得されました。颁补2+と寿命との関连については不明な点が多いため、その原因追求を行っています。
 次に、长寿の理解には短命酵母ではなく、长寿変异株を取得し、解析することが一番の近道であると考えました。そこで、先述した短命変异株を用いて、长寿変异株のスクリーニング法を考案し、実施したところ、実际に目的の変异株の取得に成功しました。この変异株には长寿の秘诀のみならず、さらに面白い秘密が隠されていましたが、これについてはまたどこかで触れたいと思います。変异株の醍醐味は、これまで想像もできなかった発见をすることがある点です。これに遭遇するかどうかはその人の运にかかっているので、强运を持っていそうな学生さんには新たな変异株を取得させたいなと思っています。以上のように、私は変异株が导いてくれるままに研究を进めています。今后もそのスタンスは、変わることはないため、10年后は何に出会うのかとても楽しみ。

 


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