麻豆AV

表现分野と教育分野の交差领域から実践?研究を探究する

 准教授(教职开発プログラム)

私は,広岛大学に着任する前は,フリーの作曲家?即兴演奏家として活动しながら,教员として学校にも勤务していました。次第に教育分野への関心が高まり,今は音楽表现と音楽教育の両方を専门分野としています。以下,2つの実践?研究をご绍介いたします。

出演者と聴众がともにステージをつくる试み

以前,ステージ上の出演者たちが,客席にいる聴众の要望にリアルタイムで答えながら演奏するというコンサートを企画したことがあります。聴众は,画用纸にマーカーで「全体的にもっと激しく」「ヴィオラの人,もっと目立って」「演奏が长すぎるのでそろそろ终わって」など,思い思いの要望を书いて出演者たちに示し,出演者たちは聴众の要望に対応しながら即兴演奏するというものでした。ステージと客席とでともに音楽をつくっているという実感があり,またステージと客席の両方で繰り広げられるコミュニケーションのあり方も面白いと感じました。

私は,この実践が小学校音楽科における新しい学びの提案に繋がると考え,実际の小学校で授业を行いました。ここでは,要望を送るために,画用纸とマーカーの代わりにタブレット端末やスクリーンを使いました。授业后に兴味深いと感じたことのひとつとして,共同制作における人的リソースの活用に関することが挙げられます。児童たちは,クラスメイト一人ひとりの得意な表现ややってみたい表现―例えば楽器の演奏,ダンス,空手,その他一発芸のようなこと―をお互いに生かそうとしている様子がみられました。メンバーの强みや希望を取り入れようとすることは,音楽に限らず,谁かと协働して何かをつくることにおける大切な态度です。そうした态度も含め,総合的な学びがそこにありました。


この研究については,以下のページでも绍介されています。&苍产蝉辫;

【研究成果】客席からのリクエストにリアルタイムでこたえながら即兴的に表现する活动(授业実践)の提案

学生との共同研究

2022年,私が担当する授业を,聴覚障害のある学生,酒井清士郎さん(当时教育学部特别支援教育プログラム2年生)が受讲することになりました。授业に先立ち,酒井さんと话し合いの场を持ちました。彼の障害によってどのような困难が生じるのかはもちろんですが,より根本的なこと―すなわち,彼にとって音楽とはどういうもの?どういう営みなのか,といったことまで话しました。话し合ううち,私たちは,彼の困难さのためのサポートを考えるという発想ではなく,授业自体を设计し直すという発想へと変わっていきました。&苍产蝉辫;

全授業が終わり振り返ったとき,私たちは,その授業のあり方が私たちだけでなく音楽教育に対しても新たな価値をもたらす可能性を感じました。彼のために設計し直した授業には,聴覚障害のあるなしに関わらず大切なことが詰まっていたからです。私たちはこの授業の省察を中心とした共著論文を執筆し,ヘルシンキで開催されたInternational Society for Music Educationの世界大会で発表しました。特別支援教育を専門とする酒井さんと,音楽教育を専門とする私とで,それぞれの視点や知見を活かしつつ取り組めたことは,良いコラボレーションになったと思います。なお,酒井さんは,2025年4月に大学院修士課程教師教育デザイン学プログラムに進学し,特別支援教育に関する研究に取り組んでいます。 

関连论文:

酒井さん(右)と寺内(左),ヘルシンキで共同発表したときの记念写真

研究?実践は思わぬ形で繋がることがある

私の研究?実践には,「もともとは学校教育に繋がるとは思っていなかった芸术実践」や,「もともとは研究论文に繋がるとは思っていなかった授业実践」が,后になって繋がったという例が少なくありません。大学教员である以上,成果が求められるプレッシャーはつきものですが,どう実を结ぶかわからないようなことに一生悬命取り组むこともまた大切なことだと感じています。

 

 

略歴:
エリザベト音楽大学大学院,九州大学大学院修了。博士(芸術工学)。音楽教育分野では,音楽科教育および教員養成に関わる教育?研究活動を行っている。とりわけ,音楽づくり?創作分野には高い関心をもって取り組んできた。大学以外では,教員を対象とした音楽づくり?創作指導のワークショップ,一般を対象とした即興演奏や口琴のワークショップなどの講師活動も行っている。音楽表現分野では,作曲?即興演奏を中心に,日本を含む13カ国の芸術祭,コンサートで作品発表?即興演奏を行い,楽譜?CD 数点が国内外で発売中。
个人サイト:
広岛大学研究者総覧:


主な経歴:
?「诗のボクシング」広岛大会初代チャンピオン(2002,広岛)&苍产蝉辫;
?第13回大邱国际现代音楽祭招待(作曲作品「蔦―フルートとピアノのために」,2003,大邱)&苍产蝉辫;
?ジョグジャカルタ现代音楽祭入选(作曲作品「流れ―ヴァイオリンとピアノのために」,2005,ジョグジャカルタ)
?国際詩人フェスティバル “Vurige Tongen(炎の舌)” 出演(2005,アムステルダム)
?国際現代芸術祭 “PLARTFORMA”出演(2006,リトアニア) 
?オランダ国立美術館で作品発表(自作の楽譜提示装置“Score scroller”と,それを用いた作曲作品“One day closer to paradise”,2006,アムステルダム) 
?映画祭 “Filmer la Musique”入選(映像作品(監督)「くちづけ口琴」,2007,パリ) 
?音楽祭 “Trytone Festival”出演(2007,アムステルダム) 
?日本音楽即兴学会赏受赏(论文「ジョン?ゾーン《コブラ》の作品概念」,2016)&苍产蝉辫;
?コンサートシリーズ“Serious Play Improv Lab”出演(2017,クアラルンプール) 


主な出版物:&苍产蝉辫;
CD:「糸―寺内大辅作品集I」(1999,Hale label),「言葉を用いない詩―寺内大辅声小品集」(2002,Sola label),「書かれた音楽―寺内大辅作品集」(2023,Sola label) 
著書:「音楽家の耳トレーニング」(2002/2008,春秋社,共著),「音楽の話をしよう―10代のための音楽講座」(2011,ふくろう出版,単著),「MINERVA はじめての教科教育⑦ 初等音楽科教育」(2018,ミネルヴァ書房,共著) 
楽譜:「王の主題―サクソフォンのために」(2006,マザーアース),「三人姉妹―ヴァイオリン,ギター,ピアノのために」(2017,Verlag Neue Musik),「坂道のような階段のような」(2021,Donemus),「峡谷 ―2台のピアノのために」(2023,Donemus) 


所属学会: International Society for Music Education,日本音楽教育学会,日本音楽表現学会,日本音楽即興学会,広島芸術学会

即兴演奏では,声,リコーダー,键盘ハーモニカ,ピアノを使うことが多いです。

2025.04.01


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