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第105回 「恩に報いるということ」 岡本 拓巳 (2014/11/05)

  私は中学卒業後,奈良工業高等専門学校に入学,5年間を過ごした後電子情報工学専攻科に進学しさらに2年間の合計7年間,金魚の養殖や郡山城跡が有名な奈良県郡山市に通いました.私は中学1年生の時から弓道部に所属していました.弓道の世界に入った者が初めに目を通す教本の第一頁に,射手すべてが心に留めておくべき精神の構え方が以下のような一節でまとめられています.

 「射は进退周还必ず礼に中り,内志正しく,外体直くして,然る后に弓矢を持ること审固なり.弓矢を持ること审固にして,然る后に以って中ると言うべし.これ以って徳行を観るべし.」
(弓を引くにあたり,常日顷から礼の精神を忘れず,内面の心持ちと身なりを正した上でそれから弓を手に取ることが大事である.そのような心构えで弓を手に取り,引くことで当てるのではなく中(あた)る射となる.射にはその人の心构えの高さがそのまま反映されるのだ.)

 私が引退した后の奈良高専弓道部の活跃は目覚しく,今年の8月25,26日には熊本県植木市で开催された第一回全国高専弓道大会にて见事団体优胜を収めることができました.第一回と言うのも,昨年までは各地域で开催される地区大会の结果を全国通信大会という形で竞い合う様式で高専大会が开かれていました.この形式は昭和43年に第一回が奈良高専主管で开催されて以后,46年间続いた由绪あるものでした.それを各高専顾问の方々が中心となり,ひとつの全国大会としてまとめ上げようという努力の末の第一回全国高専弓道大会开催でした.私も植木市まで足を运び立ち会った后辈たちの试合中の射には,関係者や指导者の方々から受けた恩に报いようという心构えがあらわれているように思えました.
 私もお世话になった奈良高専弓道部のために何か形あるものを残そうと,顾问の先生や弓道部员の协力の下,これまで无かった名札掛けを製図から仕上げまですべて手作りで作成,恐缩ながら弓道部翱叠会代表として卒业の际に寄赠させて顶きました.写真は完成直后のためすべての札に笔入れが済んでいませんが,有难いことに现在も作业が进みながら道场に饰って顶いていると闻いています.
 私は「内志正しく」あるために必要なことは,受けた恩に报いる姿势を忘れないことだと思っています.私は肉亲をはじめ数えきれない方々の恩を受け,大きな怪我なく健康に过ごすことができました.ここ东広岛市に引っ越し,広岛大学院に通う今もそれは変わっていません.先生や研究员,先辈そして同级生から受ける小さな恩にも报いるつもりで日々を过ごしコツコツと研究を积み重ねることができればと思っています.&苍产蝉辫;
 

(2014/11/05)


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