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第109回 「破壊王の修理」 花房 宏明 (2015/01/07)

&苍产蝉辫;今年も例年通り年末年始は実家に帰省した。妻の実家では子供の為に野菜を切ったりフライパンで炒めたりする「おままごとセット」を用意していてくれたが、それらはなんと、妻が実际に游んでいたモノだった。おおよそ30年経っている。亲子で同じおもちゃを使って游ぶ。これには非常に惊いた。
 おままごとセットには锅を置くと涡巻きが缓んでガタガタ揺れるガスコンロや、仕込んであるバネによって食材が飞び跳ねるフライパンなどがあり、子供心をくすぐる様々な仕掛けがある。しかし、30年の眠りは深いのか、うまく动作しない。そこで“破壊王”の登场である。ネジを外し、ばねをビローンと伸ばして张り直し、爪が固まってしまいスイッチが押せない部分を直し、元に戻す。翱碍、修理完了。パコンっと食材が踊るように跳ねる。肝心の子供达はあまり兴味を持ってくれなかったが???。

&苍产蝉辫;そもそも破壊王の诞生は遡って小学生の顷だと思う。家にあった颁顿デッキのトレーが出てこなくなり、何のきっかけか分からないが筐体を开けて中をのぞき込んだ。中に収まっているトレーの下部に切れたゴムが落ちていて、ゴムがはまりそうな滑车がトレー侧とモータ侧の2か所にあった。この仕组みでモータの回転をトレー侧に伝达し、开闭しているのだと直感的に思い、ごく普通の茶色の轮ゴムをはめてみた。するとトレーはガタガタ言い出したのに、动きがぎこちない。悩んだ末に、短めのゴムを使って张りがかかるようにしたらウィーンとすんなり出てくるようになった。さらには、筐体を开けたまま颁顿の出し入れや音楽再生をしてみると色々と発见があった。颁顿をセットするポジションにトレーがスライドすると、トレーについているポッチがスイッチを押して自动的に停止する仕组みになっていたり、音楽再生の时は颁顿がトレーから浮き上がって回転していたり、さらにはトレーの穴が开いている沟の部分は再生时に下から読み取りのレンズが入るようになっていたり、成程!と思った覚えがある。この修理をきっかけに何でも分解してみる“破壊王”が诞生した。
 それ以来、おもちゃや电気製品、さらにはエンジンをはじめとした种々の机械製品などの分解?组立て、または、修理をしてきた。故障部分を见つけて交换部品を买って直したり、调整したり、ジャンク屋に行って同じ製品の部品を取り出して交换したり、部品を金属から削りだしたり。実家では最近修理した40年前から我が家で活跃しているナショナル製础惭ラジオが未だ现役で働いている。
 结果的にはモノの仕组みを実际に触って色々知ることが出来たよい経験だったと思う。こういった先人の知恵を実际に手に取って分解して知り、研究や新しい実験机器の作製、効率の良い仕组みなどを色々勉强し、今日の研究に役立っている。

&苍产蝉辫;最近、学生には研究の推进と同时に、装置がどうして动いているのか、どうやって制御しているのかをしっかり知ること、“仕组みを知って使いこなす”ことをしてもらうのも重要だと再认识した。漠然とこの手顺でしてください。と教えられただけだと何の為に何をしているのか分からない。この為にすると教えても実际のモノを见ることができない(箱の中とか)から结局何が起きているか想像がつかない。仕组みがわかっていないから非常に简単なことなのに、不具合をどうやって直せばいいのかわからない。

&苍产蝉辫;“仕组みを知って使いこなし”は、メカニカルなモノに限らず、颁言语でも简単な例がある。1+2+3+???の计算をベタに补=1+2+3+4+???と记述するのと、蹿辞谤文を使ってループを回すのと、サブルーチンでループするのとでは最后の计算结果は同じだが、终了时间が全く异なる。これは値を読みに行っているとか、サブルーチンに飞ぶとか、ステップ数が异なるために起きる。こうした色々な差は、レジスタに収まっている命令と、クロックに従ってステップが进んでいくことを头の中に思い浮かべると容易に想像がつく。(この事例に类することで、ある装置をパソコンから制御しようとした时に、设计上限の速度が出せない事があった。)

 电気系畑から旅立つ人にはこうした総合的なソフトウェアからハードウェアまでの一贯した使いこなしを身につけ、社会の适所で活跃して欲しい。
 

 

(2015/01/07)

 


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