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本研究成果のポイント
- ウニを実験材料として初めて、细胞核内における遗伝子の空间的局在とその胚の発生?成长にともなうダイナミックな変化を明らかにしました。
- 动物の个体発生をモデルとし、生物学を主たる専门とする実験系研究者と数理科学系研究者の紧密な连携により进められた融合研究の成果です。
概要
広島大学大学院理学研究科 数理分子生命理学専攻の坂本尚昭准教授と粟津暁紀准教授らの研究グループは、ウニの成長にともなう核内構造の変化を解析し、発生過程で発現する初期型ヒストン遺伝子が、発現の活発な桑実胚期に核の内側に局在し、異なる染色体上のヒストン遺伝子どうしが高頻度に相互作用することを明らかにしました。
ウニの発生に関与する遗伝子の研究では、各遗伝子の役割とその発现を调节するネットワークを中心に解析が进められていましたが、その遗伝子を含む核の构造と遗伝子発现との関连については解析されていませんでした。今回、ウニの発生を研究する実験系研究者と数理科学系研究者の紧密な连携により、ウニの初期型ヒストン遗伝子が発现の活発な桑実胚期前后の间だけ核の内侧に局在し相互作用すること、この相互作用が遗伝子の発现とよく相関することを见出しました。これは、遗伝子の核内での局在とその発生に伴うダイナミックな変化をウニで示した初めての成果であり、ウニの発生の分子メカニズムをさらに理解する上で重要な一歩となるものです。
本研究成果は、英国の科学雑誌「Journal of Cell Science」に2017年12月15日に掲載され、この号の「In This Issue」にも取り上げられました。

図. 初期型ヒストン遺伝子の3D-FISH解析
初期型ヒストン遗伝子の発现が活発な桑実胚では、遗伝子の位置を示すスポットが核の内侧に局在しており、互いに相互作用するために1?4个のスポットとして観察されました。しかし、発生が进んで遗伝子が不活性化されるにしたがって、遗伝子のスポットは核の周辺部に移动し、4个の别々なスポットして観察されるようになりました。
坂本 尚昭 准教授からのコメント
今回の成果により、ウニの発生と遗伝子?染色体动态との関连について研究する第一歩を踏み出せたと思います。今后さらに解析を进め、「多细胞动物の発生」を担う遗伝子のダイナミックな制御机构を明らかにし、発生の全体像を理解できるようになればと思います。
论文情报
- 掲載雑誌:Journal of Cell Science
- 論文題目:Dynamic changes in the interchromosomal interaction of early histone gene loci during early development of sea urchin.
- 著者:Masaya Matsushita*, Hiroshi Ochiai, Ken-ichi T Suzuki, Sayaka Hayashi, Takashi Yamamoto, Akinori Awazu, Naoaki Sakamoto# (*笔头着者、#责任着者)
- doi:10.1242/jcs.206862
広島大学大学院院理学研究科 数理分子生命理学専攻
准教授 坂本 尚昭