<研究に関すること>
大学院统合生命科学研究科 助教 山田恭史
罢别濒:082-424-7384
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(注: *は半角@に置き換えてください)
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広島大学大学院理学研究科大学院生(博士課程後期)の平賀隆寛氏、大学院統合生命科学研究科の山田恭史助教および小林亮名誉教授は、超音波センシング時に高速で耳介運動を行うコウモリをヒントに、耳介運動を伴う音源方向の定位手法に関する理論化を図りました。これにより、実際のコウモリにみられる耳介運動の有効性について一部理論検証することができました。さらに、3次元方向定位に有効な耳介動態パターンに対する必要条件を導き出すことができました(詳細については【研究成果の内容】を参照ください。)。本研究成果は、アメリカのPublic Library of Science (PLOS) が刊行する PLOS Computational Biology 誌に 2022 年 10 月 7 日に掲載されました(オープンアクセス)。
【研究の背景】
人間を含む多くの動物が主に視覚により外界の情報を得ているのに対し、コウモリは口または鼻から超音波パルスを放射し、周囲の物体から返ってくる反射音(エコー)を両耳で聴くことにより周囲の空間を把握しています(エコーロケーション)。コウモリの発する超音波には、一定周波数(CF)の超音波と大きく周波数の変化する(FM) 超音波があり、FM音のみを用いるFM コウモリと、CF音とFM音を組み合わせて用いる CF-FMコウモリに分類されます。著者は、CF-FMコウモリが両耳の耳介をエコーCF部の受信に同期させ高速で動かしているという事実に着目しました。
われわれは、この耳介运动とそれによって生じる両耳间の音圧レベル差が、エコー源の3次元方向の同定に本质的に寄与しているという仮説をたて、网罗的な耳介运动パターンとそれに纽づけた聴取エコーの仮想的な音响シミュレーションを実施しました。これら数理分析により、コウモリが実践する耳介运动の有用性を评価するとともに、有効な耳介运动パターンの理论化を図りました。
【研究成果の内容】
聴音感度に※3)指向性のある疑似耳介モデルを构筑し、※4)ロール?ピッチ?ヨー运动(図1、颁参照)の组み合わせから216パターンの耳介运动に対する聴取エコー音圧レベルについて、数値シミュレーションによる分析を行いました。さらに、耳介运动ごとの3次元定位能力を评価する独自関数を构筑し、それら各耳介运动に対する评価を実施しました。
その结果、216パターン中14パターンの耳介运动が3次元定位に有効な动态であることがわかりました。また、それら运动の共通点を调べたところ、4つの运动条件を満たすことで3次元方向定位に有効な耳介运动パターンを作り出せることがわかりました。また、実际のコウモリの耳介运动では、(水泳中のバタ足のように)反位相同期したピッチ运动が観测されています。本数理分析により、コウモリが採用するピッチ运动の必然性についても明らかにすることができました。これらは、コウモリの音响センシングの理解につながるだけでなく、工学音响センシング技术への応用も期待される成果だと考えられます。
【今后の展开】
我々が今回行った研究は音响理论に基づく数理分析であり、耳介动态の一般理论化を図ることができました。今后はセンシングシステムの実机実装を図り、実环境下での検証実験を行いたいと考えています。生物が进化の过程で培ってきた“工夫”に学び、工学技术への“応用”を図ることが、われわれの研究チームの悲愿でもあります。生物学?工学の両分野に贡献できる研究をこれからも追求していきたいです。
図1 網羅的な耳介動態パターンに対する3次元定位能力の数理分析の一例
(A)ターゲット方向から疑似両耳へと返るエコーを再現し、Targetの水平角(Azimuth)?垂直角(Elevation)を当てる数値シミュレーションを実施。この際、両耳の指向性(感度の方向特性)を(B)のように仮定し、左右両耳で取得したエコーの音圧レベル差情報から3次元的な方向推定を行う。なお、耳介運動については(C)で表すロール?ピッチ?ヨー运动の組み合わせから再現した。(D)はピッチ運動を逆位相に固定した場合の36パターンの耳介運動に対する定位性能の分析例を示している。赤色(白黒印刷の場合は濃黒色)の領域が含まれないロール?ピッチ?ヨー运动の組み合わせが良い運動とみなされる。これらの分析から、3次元定位に有効な耳介運動について検討した。
※1耳介:耳たぶを含む复雑な形状をした构造物。いわゆる耳。
※2教师あり机械学习:導き出してほしい答えを教えながら機械(コンピュータ)に自動でその法則を学習させる手法。
※3指向性:着目する物理量(今回の场合は聴音感度)の方向特性。
※4ロール?ピッチ?ヨー运动:3軸の回転運動を表す定義(図1、C参照)。
<研究に関すること>
大学院统合生命科学研究科 助教 山田恭史
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掲載日 : 2022年11月01日
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