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【研究成果】自ら制御可能な新しいらせん状超分子ポリマーの合成に成功!~特定の向きを持つポリマーの合成で、材料分离や化学反応促进などの応用へ~

本研究成果のポイント

  • キラル(※1)にねじれた拟大环状构造(※2)がチェーンのようにつながった新しい
    らせんポリマー构造の合成に成功
  • この新しい合成方法により、特定の向きを持つポリマーを精密に制御でき、触媒や材料分离など多様な分野での応用が见込まれる
     

概要

 生物学の中でらせん构造は至るところに存在しています。例えば、顿狈础の二重らせん构造や、心筋细胞がらせん状に并ぶ様子などがあります。
 この自然のらせん构造に触発され、広岛大学大学院先进理工系科学研究科の灰野岳晴教授らは、自ら制御可能ならせん状の人工ポリマーを开発しました。このポリマーは、テトラキスポルフィリンモノマー(※3)が相补的分子间相互作用(※4)によりらせん配列することで、キラルなチェーンのような构造をもっています。このようならせん构造は、记忆装置、センサー、キラルな固定相、非対称触媒、スピンフィルターなど、さまざまな分野での応用が期待されています。
 本成果は、らせんポリマーの合成に新しい概念を提供するものであり、今后の発展が期待されます。
 なお、この成果は、Wiley-VCHより出版されている「Angewandte Chemie International Edition」(I.F.=16.1)に2024年10月24日にオンライン版が掲載されました。

背景

 エレガントな生体分子のらせん构造に触発され、人工らせん构造の开発に多大な努力が注がれてきました。その目的は、らせん构造の定义された人工らせん构造を开発し、メモリ、センシングデバイス、キラル固定相、非対称触媒、スピンフィルタリングなど、幅広い潜在的な用途に活用することです。制御されたキラリティーを持つ超分子らせんポリマーは、刺激応答性キラル光学特性を持つ、らせんポリマーの新たなクラスです。分子认识による超分子らせん重合には、立体反転単位を持つ大きな超分子モノマーが必要であり、その报告例は多くありません。そのため、ユニークな分子认识モチーフを用いて、らせんポリマーの右巻き?左巻きの制御を行うことは依然として课题となっています。

研究成果の内容

 広岛大学大学院先进理工系科学研究科构造有机化学研究室のグループは、拟似大环状モノマーの超分子重合により生じる超分子拟ポリカテナープポリマー合成に成功しました。本研究では、ポルフィリンを四枚もつキラルな拟大环状构造を开発し、その分子认识により巻き方向を自在に制御する新しい方法を开発しました。(図1)&苍产蝉辫;

図1. キラルな擬大環状モノマーから形成する右巻きおよび左巻き擬ポリカテナンポリマー構造

 ポリマーは、大きな分子が集まってできた物质群で、自然界ではタンパク质や顿狈础などに见られ、工业分野ではプラスチックなどの合成材料として使われます。超分子ポリマーは、分子间で非共有结合が形成され、特定の配置に応じた特定の振る舞いを引き起こします。広岛大学の研究チームが开発したのは、拟似的な机械的结合を持つ「拟似ポリカテナン」と呼ばれるポリマーで、非共有结合に加えて、物理的な力で切断できる拟似的な机械的结合も持っています。これは、精密な制御が必要な材料を开発する际に魅力的な特性です。

 通常、このようならせん构造は「片手」タイプと呼ばれ、らせんのねじれが一方向にのみ进むものです。このねじれの向きが、他の物质との相互作用に影响を与えるため、研究者たちはそのねじれの方向(左回りまたは右回り)を制御できれば、ポリマーが异なる状况でどのように振る舞うかを制御できることになります。

 らせんポリマーはさまざまな用途に役立つ可能性がありますが、特定の向きを持つポリマーを合成するのはこれまで困难でした。ここでは、ビスホルフィリン裂け目ユニットの相补的な二量化反応を制御することによって、向きが决まったらせんポリマーを合成する新しい方法を提案しました。

 ビスホルフィリン裂け目ユニットは、他の分子と结合してポリマーを形成する分子部品です。これらのユニットを戦略的に结合させることで、合成されるポリマーの向きを事前に决定することができます。

今后の展望

 この新しいらせん状超分子ポリマーを材料分离や触媒(化学反応の促进)に応用し、らせん状超分子ポリマーの新しい机能的化学の创出を目标とします。

论文情报

  • 論文題目:Controlled Helical Organization in Supramolecular Polymers of Pseudo-Macrocyclic Tetrakisporphyrins
  • 着者名
    Naoka Fujii,2 Naoyuki Hisano,2 Takehiro Hirao,2 Shin-ichi Kihara,2 Kouta Tanabe,1,2 Masaya Yoshida,1,2 Shin-ichi Tate,1,3 Takeharu Haino*1,2
    1.&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;広岛大学持続可能性に寄与するキラルノット超物质拠点/奥笔滨-厂碍颁惭2
    2.&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;広岛大学大学院先进理工系科学研究科(化学プログラム)
    3.&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;広岛大学大学院统合生命科学研究科
    *  責任著者
  • 掲載誌:Angewandte Chemie International Edition
  • 掲载日:2024年10月24日
  • DOI: 10.1002/anie.202416770
     

用语解説

(※1)キラル
   右手と左手のように、その鏡像がそれ自身と重なり合うことがないもの
(※2)拟大环状构造
   炭素原子が大きな環を形成している化合物の総称である大環状化合物に、炭素原子以外の酸素原子や窒素原子などを含むもの
(※3)テトラキスポルフィリンモノマー
   ピロールと呼ばれる4つのユニットが4つの炭素原子で連結された環状構造を持つポルフィリン化合物(ヘモグロビンやクロロフィルなどがあります)の一種
(※4)分子间相互作用
   原子や分子が互いに集合し結びつく力

【お问い合わせ先】

 大学院先进理工系科学研究科化学プログラム
 教授 灰野岳晴(はいのたけはる)
 罢别濒:082-424-7426
 贰-尘补颈濒:丑补颈苍辞*丑颈谤辞蝉丑颈尘补-耻.补肠.箩辫

 大学院先进理工系科学研究科化学プログラム
 准教授 平尾岳大(ひらおたけひろ)
 罢别濒:082-424-7138
 贰-尘补颈濒:迟丑颈谤补辞*丑颈谤辞蝉丑颈尘补-耻.补肠.箩辫
 (*は半角@に置き换えてください)
 


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