「心を开いて」

名前: スチュワート?ロドニ
国籍: ジャマイカ
所属: 国際協力研究科博士課程後期 教育文化専攻
趣味: 音楽,ダンス,読書,料理,ハイキング,日本を旅すること
(2013年12月6日にインタビュー)
広岛大学でジャマイカ出身の学生は、现在はスチュワートさんお一人なのですね。
そうですね。学生生活において私の国籍は大きな问题ではありませんし、大学では他の留学生と変わりなく过ごせています。しかし国を「代表」するという意味では、ジャマイカの国柄、人柄を自ら示すことができるし、より多くの仲间たちが広大で学べるよう道を拓く役目も果たせますから、特别かもしれません。おもしろいのは、私が広大にやってきた时、学友たちが私にボブ?マーリーのような髪型、いわゆるドレッドヘアを期待していたことです。ああいうのをイメージしていたのに、いざ登场した私が全然彼らの想像と违うので、がっかりさせてしまったようですが(笑)。
ジャマイカのどの地方の出身ですか。
セント?ジェームズというパリッシュ(笔补谤颈蝉丑)です。大きさは広岛県の呉市よりも少し小さいくらいです。「パリッシュ」というのは、ジャマイカを构成する几つもの地域のことです。それらは自治権を持たないという意味で「州」などとは少しコンセプトが异なります。各パリッシュは首都キングストンの中央政府の监督下にあり、大きな物事はたいていその中央政府を通じて决定されます。
ジャマイカの公用语は英语ですね。何か独特の方言があれば教えてください。
では一つお教えしましょう。「Whap’n?」というのです。「What’s happening?(調子はどう?)」の短縮形です。
おもしろいですね! ところで、なぜ日本を留学先に決めたのですか。
私はジャマイカの大学を卒业后、数年间の社会人経験を経て日本に来ました。とある高校で英语の补助教员として叁年间勤务した后、「さて、次は何をしようか」と考えた结果、修士号を取ることに决めたのです。幸いにも文部科学省の奨学金を受けることができ、広岛大学に入学しました。
そもそも日本に来ようと思った理由は、文化的な兴味からです。未知の人々と出会い、新しい世界での生活を経験するため、ジャマイカの日常ではほとんど接触する机会のない国に行きたいと思っていました。

入试の準备は大変ではありませんでしたか。
私が受験したのは滨顿贰颁(国际协力研究科)の修士课程でしたが、とくに入试で苦労したことはありませんでしたね。学内の中央図书馆などで情报収集もできましたし、试験の準备にあたって教官の指导を受けることもできましたので。入试は英语でも行われますので、その点もまったく不都合はありませんでした。
広岛の第一印象はいかがでしたか。
何だかとても「ゆったり」とした街だなと思いました。生活のペースが思っていたよりスローというか。広岛市は东京や大阪などの大都市とも肩を并べる都市で、それでいて独自の伝统もある。その世界遗产、独自性、伝统といった国际的なアピール力を夸る要素が、非常に身近に存在している。広岛に居るだけで日本中を体感した気分になれるわけですから、これは素晴らしいことですね。
アルバイトはしていますか。
英语教师をしています。民间の语学スクールで、中学生から大学生、社会人までの生徒を対象に英会话を教えています。
それで、今もゆっくりと话して下さるのですね。
高校で础尝罢(外国语指导助手)をしていた顷から、そうする习惯が自然と身につきました。なぜなら、私が话す目的はあくまで「理解してもらうこと」であって、私の英语力を示すことではありませんからね。重要なのは闻き手にわかりやすく话すことです。
フリータイムには何をして过ごしますか。
趣味のひとつは料理です。いろいろと実験をするのが好きなんですよ。ちなみに私の作る味噌汁はトマト入りです(笑)。旅行も好きで、とくに中国地方に関しては、もうほとんどの県を訪れました。他にも北海道や沖縄、さらには東京、大阪、神戸などのポピュラーな都市、最近では徳島にも行きました。 ALTをしていた頃は、同僚や友人とマウンテン?ハイキングにも行きました。
それに、なんといっても音楽ですね! 私の趣味はとても幅広いんですよ。ジャマイカの伝統的な音楽であるレゲエはもちろん、オペラ、アメリカ南部の音楽ザディコ(Zydeco)、ディジュリドゥ(Didgeridoo)という楽器を用いたオーストラリアのアボリジニの音楽、などなど、好きなジャンルは多岐にわたります。しかし最近とくに熱中しているのはゴスペルです。広島市近郊の教会で、音楽隊のメンバーの一員として活動もしています。ロック、ポップス、トラディショナル、クラシック、そしてアカペラ、それらすべての要素をゴスペルは網羅しているのですよ。
学生生活について教えてください。ジャマイカと日本で大きな违いはありますか。
主な违いは、学生同士の関わり合いの浓密さでしょうか。例えば広大には「ゆかたまつり」などの学内イベントがありますね。私の出身大学にも同様のイベントがありますが、広大の场合よりもずっと皆が一致団结して行います。私の大学は寮付きの大学ですが、寮は大学において重要な位置を占めています。たとえ别の寮の住人であっても、学生同士の関わり合いは日本よりもずっと深いです。彼らの学生生活は学生同士の関わり合いで成り立っています。したがって、寮に住んでいない学生も、いずれかの寮のグループに所属しています。その点、日本の学生たちは互いに少し距离があるように思われます。
なるほど。滨顿贰颁ではどんな研究をしていますか。
私が现在取り组んでいるのは「クロスボーダー?エデュケーション」に関する研究で、具体的にいうと、外国の教育机関がある国に対して提供する大学教育のことです。例えばジャマイカの学生に対し、アメリカの大学などが教育プログラムを提供するというものです。それは远隔教育あるいはオンライン教育の形式で行われ、场合によっては大学の教员がジャマイカに赴いて讲义を行うこともあります。私の研究テーマは、ジャマイカに対して教育プログラムを提供してきた外国の教育机関に関することです。彼らが提供してきたプログラムがジャマイカの大学教育の発展にどのような影响をもたらしたか、ジャマイカの现状を明らかにしたいのです。
そうすることで、国内の学生たちに大学教育の机会を最高の形で与えるには、これまで教育机関の间で培われてきた协力関係をどう活かせばよいかについて、より有効なアイデアを创出することができるからです。ジャマイカ国内の教育机関だけでは大学教育としての役割をまだ十分には果たせないことも、ゆえに他からの援助を必要とすることも、私たちは认识しています。しかし、现在私たちが受けている援助が私たちにとって真に必要なものか、利益をもたらすものか、それを见极める必要があります。そのために、私はジャマイカの今を正しく示そうとしているのです。

ジャマイカの教育制度はどうなっているのですか。
イギリスの教育制度とよく似ています。とくにハイスクールレベルでは「sixth form」と呼ばれる形式の教育機関があり、すなわちハイスクールで生徒たちは七年間、日本式にいうと中学、高校、プラスもう一年間の教育を受けることができます。しかしこれはあくまで主流の形であって、中学と高校に別々に通うものもいれば、五年制の教育機関もあります。学年度の始まりは九月で、大学入学許可制度もイギリス式をモデルとしています。
大学进学率はどのくらいですか。
そうですね、30%程度でしょうか。高校卒业后ただちに大学へ进学する生徒はせいぜい四人に一人だと思います。その他の进学希望者はまず仕事に就き、それから大学を目指します。やはり主なネックとなっているのは経済的な问题ですね。
十分な奨学金制度がないということですか。
お世辞にも十分とは言えません。大学教育あるいは第叁次教育を受けられるための支援はもっと必要だと思います。学生ローンの制度は存在しますが、それが実际に大学进学を希望する学生の数に比べて十分なものでないことは、ジャマイカの教育问题の政策立案者たちも认识しています。そのため私たちは今、ジャマイカの学生ローン制度を拡大する方法を模索しています。大学进学のための奨学金を提供しようという慈善団体などもありますが、进学希望者の人数を考えると、とても十分とは言えません。
なるほど。ところで、将来の成功の键となるような、ジャマイカ人特有の强みとは何ですか。
私たちの一番の强みは「创造力」(颁谤别补迟颈惫颈迟测)、そして「しなやかな强さ;回復力」(搁别蝉颈濒颈别苍肠别)です。「创造力」についてですが、ジャマイカのような多文化国家の利点として、种々さまざまな価値観が混在していること、そして、その歴史の中であらゆる文化が残してくれた多様な知恵に恵まれていることがその理由として挙げられるでしょう。私たちの强みは非常に创造力に富み、生产力を高める原动力にできることだと思います。二番目に挙げた「强さ?回復力」ですが、とくに英国の植民地として奴隷制度の下に叁百年间を过ごしてきた我が国の歴史は过酷なものでした。その経纬を経てなお、世界の中でよりよい国家として向上しようとする姿势は、私たちジャマイカ人がいかに逞しく生き抜いてきたかを物语るものだと思います。
留学を考えている学生たちに何かアドバイスをいただけますか。
私からの助言は二つです。一つ目は「オープンであれ」。留学での経験に対し、最大限に心を开くのです。これから行こうとする国についてよく知っているつもりでも、それで満足していてはいけません。これから体験することは、皆さんの知识の外にあることなのですから。人间関係についても同様です。忍耐强く、オープンに。私の経験から言って、日本人と本当の友达になるには少し时间がかかるかもしれませんが、そうして得た友达はかけがえのないものです。
二つ目は、留学の目标を明确にすること。とくに奨学金で来ている学生は何らかの目标を持っていることと思いますが、私の见たところ、多くの学生がああでもない、こうでもないと、自分探しに时间を浪费しているようです。つまるところ、留学を志すなら、留学期间终了までに达成すべき确固たる目标を掲げること。期间の长さは関係ありません。それが叁ヶ月间であろうと叁年间であろうと、自分の目标をしっかり见すえて过ごしてください。

ありがとうございます。最后に、将来の目标を教えてください。
キャリアに関する目标は、ジャマイカの大学教育あるいは第叁次教育についての企画や政策立案に携わることです。高等教育を受けようとする学生たちにとって真に有益な助けとなるような、明瞭で、かつ管理の行き届いた教育システムを构筑したいです。
プライベートな目标については、私にとっては、キリスト教の信仰は他の何よりも优先されます。すなわち、私が神から受けた恵みをできるだけ多くの人々と分かち合うこと。私が信じる神の教えを、それを必要とする多くの人々と分かち合っていきたいですね。
Photo Gallery

学位记授与式にて

入学式にて

発表会