広岛大学大学院医歯薬保健学研究院応用生命科学部门薬学分野薬効解析科学研究室
准教授 森岡 徳光(もりおか のりみつ)
罢贰尝:082-257-5312
贵础齿:082-257-5314
贰-尘补颈濒:尘苍辞谤颈*丑颈谤辞蝉丑颈尘补-耻.补肠.箩辫(注:*は半角蔼に置き换えてください)
冈山大学大学院医歯薬学総合研究科生体制御科学専攻生体薬物制御学讲座薬理学分野
教授 西堀 正洋(にしぼり まさひろ)
罢贰尝?贵础齿:086-235-7140
平成27年11月20日
国立大学法人広岛大学
国立大学法人冈山大学
伤害神経に中和抗体を局所投与することで神経障害性疼痛の痛みが缓和
~神経障害性疼痛の新たな镇痛薬として期待~
広岛大学大学院医歯薬保健学研究院の仲田义启(なかたよしひろ)教授と森冈徳光(もりおかのりみつ)准教授、冈山大学大学院医歯薬学総合研究科の西堀正洋(にしぼりまさひろ)教授らの研究グループは、神経障害性疼痛モデルマウスを用いて、炎症性物质の一つである贬惭骋叠1が末梢部位(伤害を受けた坐骨神経)で増加することを确认しました。さらに痛みが慢性化した后でも贬惭骋叠1に対する中和抗体をマウスの伤害を受けた坐骨神経周辺部に投与することにより、痛みが缓和することを証明しました。
現在、ガンの終末期、坐骨神経痛、糖尿病、帯状疱疹後などに認められる神経障害性の難治性疼痛は、患者さんの生活の質(Quality of Life: QOL)を低下させる要因となっています。これらの痛みは、現在汎用されている鎮痛薬であるロキソニンなどの非ステロイド性鎮痛薬やモルヒネなどの麻薬性鎮痛薬が効きにくく、治療が困難であることから、新たな治療薬?治療法の確立が望まれています。
今回の结果から、贬惭骋叠1に対する中和抗体は、难治性疼痛に対する治疗薬として有用性が高く、副作用の発生频度が少ない局所投与においても镇痛効果を発挥することから、利便性にも优れているといえます。
贬惭骋叠1に対する中和抗体、贬惭骋叠1をターゲットにした薬剤は、难治性疼痛に苦しむ多くの患者さんを救う新たな镇痛薬となることが期待されます。
本研究成果は、平成27年11月18日(英国時間)、英国科学誌「Journal of Neurochemistry」(オンライン版)に公開されました。
著 者
Fang Fang Zhang, Norimitsu Morioka*, Sakura Harano, Yoki Nakamura, Keyue Liu, Masahiro Nishibori, Kazue Hisaoka-Nakashima and Yoshihiro Nakata
* Corresponding author(責任著者)
论文题目
Perineural expression of high-mobility group box-1 contributes to long-lasting mechanical hypersensitivity via matrix metalloproteinase-9 upregulation in mice with painful peripheral neuropathy.
掲载雑誌
Journal of Neurochemistry, 2015, Impact factor=4.281
顿翱滨番号
10.1111/jnc.13434
さまざまな难治性疼痛において、“なぜ痛みは慢性化するのか”は不明でした。
同研究グループは、以前より难治性疼痛モデル动物を用いて痛みに対する贬惭骋叠1の役割を解析してきました。これまでに、中枢部位(脊髄内の神経)において贬惭骋叠1が増加し、さらに贬惭骋叠1に対する中和抗体を全身に投与(静脉内投与)することで痛みが缓和されることから、贬惭骋叠1が痛みの慢性化に関与する原因物质であることを明らかにしてきました。
一方で、中和抗体は中枢部位には作用しにくいことが报告されており、贬惭骋叠1に対する中和抗体は、中枢部位よりも末梢部位(伤害神経)に作用することで、痛みが缓和しているのではないかと考えました。
また中和抗体を全身に投与することは、副作用の発生频度を増加させる恐れがあります。そのため、より安全性の高い、病変部位への局所投与により镇痛効果が得られることが実証されれば、贬惭骋叠1に対する中和抗体の镇痛薬としての有用性がさらに高まると考えました。
そこで本研究では、神経障害性疼痛モデルマウスを用いて、伤害坐骨神経での贬惭骋叠1の発现変化と痛みに及ぼす影响、贬惭骋叠1に対する中和抗体を局所投与することによる镇痛効果を検讨しました。
広島大学大学院医歯薬保健学研究院 森岡徳光准教授らの研究グループは、神経障害性疼痛モデルマウスの伤害坐骨神経において、対照群(神経に伤害のないマウス群)と比较して贬惭骋叠1発现量が増加することを明らかにしました(図1础)。またこの増加は、伤害によって集积した炎症性细胞に依存していることが分かりました。さらに、伤害坐骨神経の周辺部に贬惭骋叠1に対する中和抗体を投与することにより、痛みが有意に缓和されることを発见しました(図1叠、図2)。
また伤害坐骨神経の周辺部で増加したHMGB1は、さらに別の痛み誘発物質を増加させることで痛みを慢性化させていることも明らかになりました。
図1. 神経障害性疼痛時の伤害坐骨神経におけるHMGB1発現量の変化(A)とHMGB1中和抗体局所投与の効果(B)
A. 神経損傷後14日目の坐骨神経において対照群と比べてHMGB1発現量が増加しました。
B. 神経損傷後14日目での痛み(疼痛群)は、HMGB1中和抗体を伤害坐骨神経周辺部に投与
することによって抑制されました(グラフ縦轴が低値を示すほど、痛みが强いことを表す)。
図2. 本研究の概略図
神経障害性疼痛モデルマウスにおける伤害坐骨神経では、炎症性細胞に依存してHMGB1発現量が増加しており、この増加が慢性疼痛に関わっていることが明らかとなりました。また伤害坐骨神経周辺部にHMGB1中和抗体を局所投与することで、鎮痛効果が認められました。
本研究结果から、贬惭骋叠1中和抗体や贬惭骋叠1の働きを阻害する低分子化合物が新たな镇痛薬となることが期待されます。
今后は、贬惭骋叠1中和抗体の临床応用についても研究を进めていく予定です。
(※1)神経障害性疼痛
ガンや物理的伤害による末梢神経及び中枢神経の伤害や、机能的障害による慢性かつ难治性の疼痛疾患の一种。
(※2)贬惭骋叠1
High mobility group box-1の略。タンパク質であり、細胞外に遊離され炎症起因物質として作用する。
(※3)中和抗体
标的タンパク质に结合し、その机能を抑制する抗体。
広岛大学大学院医歯薬保健学研究院応用生命科学部门薬学分野薬効解析科学研究室
准教授 森岡 徳光(もりおか のりみつ)
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教授 西堀 正洋(にしぼり まさひろ)
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