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広域分散システムの検証が可能な评価基盘を开発

平成27年11月20日

国立大学法人大阪大学
スキャリティ?ジャパン株式会社
公立大学法人高知工科大学
国立大学法人金沢大学
国立大学法人広岛大学

キーワード:环境政策?环境社会システム、情报ネットワーク、安全?安心、ネットワーク构成?运用?管理?评価技术

広域分散システムの検証が可能な评価基盘を开発
~复雑?同时多発的な灾害や障害を想定した训练が可能に~

本研究成果のポイント

  • 広域分散システム※1の耐灾害?耐障害を検証する评価基盘を构筑した。
  • 様々な灾害?障害を想定した検証は、これまで人的コスト等の観点から実施が难しかった。
  • 人的コストを抑え、広域灾害がもたらす复雑で同时多発的な障害を模した训练が可能になった。
  • 灾害回復システムや事业継続计画の内容の妥当性や投资対効果が评価できると期待できる。

概要

大阪大学情报推进本部?サイバーメディアセンターの柏崎礼生助教、中川郁夫招聘准教授、金沢大学の北口善明助教、奈良先端科学技术大学院大学の市川昊平准教授、広岛大学の近堂彻准教授、高知工科大学の菊池豊教授らの研究プロジェクトは、地理的に离れた复数のコンピュータをネットワークで结合して构筑する広域分散システムの耐灾害性、耐障害性を検証する评価基盘“顿贰厂罢颁濒辞耻诲”(デストクラウド)を开発しました。国内外の复数の研究机関からなる広域分散仮想化环境を利用した本评価基盘は、组织间を相互接続するネットワークに対して意図的に障害を発生させることで、広域分散仮想化环境上で动作するシステムの耐灾害性や耐障害性を検証することができます。
東北地方太平洋沖地震以降、国内では大規模災害による情報の喪失から回復するための「災害回復」 を実現する情報システムや、災害発生後、すみやかにサービスの継続を計る「事業継続計画」に注目が集まりました。しかし設備の増強や手続きの策定が行われたものの、人的コストなどの観点から、構築された災害回復システムを用いて策定された計画に基づき災害訓練を実施する頻度は低いことが調査により判明しています。
本评価基盘は地震に限らず、広范囲に同时多発的に発生する様々な灾害を想定し、通信インフラが被る被害から障害を想定することにより、多様な灾害シナリオを用いた训练を行うことを可能にします。この训练により、大规模灾害时においても広域分散システムが「粘り强く」そのサービスを提供し続けられるかどうか、状况を事前に评価することが可能となります。本评価基盘が提供する机能を用いて、インターネットに代表される広域分散システムの耐障害性?耐灾害性を定量的に评価することが期待されます。
本研究成果は、米国オースティンで11月15日から开催されている国际会议厂颁15会场で発表されました。

DESTCloudの模式図

研究の背景

当研究プロジェクトでは、並列分散ストレージ※2技術を災害回復手法に応用する研究を推進してきました。この研究で広域分散仮想化環境 “distcloud”を構築、現在大阪大学のほか、札幌や沖縄のデータセンターなどに、その拠点を持ちます*。本研究開発はこの環境を用いて広域分散システムが大規模災害発生時に被災する障害状態を模倣することで、災害時の事業継続計画の妥当性を検証し、災害時に生じるシステムの品質の劣化を定量的に評価し、改善に繋げることを目的としています。
一組織内の仮想計算機を喪失させることで耐障害性を検証する取り組みは既に行われてきましたが、大規模災害の発生後には同時多発的に広域に渡り多様な障害が発生します。より現実的な災害訓練を実現するため本研究プロジェクトはプログラマブル※3にネットワークの設定を変更することを可能にする「Software Defined Network (SDN)」技術に注目し、「ネットワークを破壊する技術」として SDN 技術を応用しました。SDNを用いて組織間を接続するネットワークに障害を発生させ、広域分散システムのネットワークトポロジー※4自体を変化させることで、より複雑な障害を模擬することを実現することが評価基盤“DESTCloud”の研究開発の動機付けです。

*诲颈蝉迟肠濒辞耻诲の拠点:大阪大学、札幌データセンター、东北大学、国立情报学研究所、金沢大学、京都大学、奈良先端科学技术大学院大学、広岛大学、高知工科大学、冲縄データセンター、およびカリフォルニア大学サンディエゴ校

本研究成果が社会に与える影响(本研究成果の意义)

本研究プロジェクトで开発した评価基盘は、以下の叁つの特徴を有します。

  • 様々な灾害のシミュレーションをベースにした灾害シナリオを生成することができる。
  • 様々なネットワーク机器に対して灾害シナリオをもとにした障害を実装することができる。
  • 指定した时刻に障害を発生?解除することができ、その前后のネットワーク情报を収集し観察することができる。

あらゆる自然災害に対して頑強な広域分散システムを構築するためには膨大なコストを要します。限られた予算でシステムを構築する際には必ず「対応できない災 害」が存在します。本評価基盤による検証で、どのような災害に対応することができ、どのような災害に対応することができないかを事前に把握することが可能となります。また、本評価基盤が提供する機能によって、災害回復システムや事業継続計画の内容の妥当性や投資対効果を評価できると期待されます。

今后の展开

昨年度、インテック株式会社が開発した並列分散ストレージソフトウェアの耐障害性検証実験を行ったのに続き、今年度は広域分散ストレージソフトウェアを開発するクラウディアン株式会社、スキャリティ?ジャパン株式会社が本評価基盤上での検証実験に参加を表明し、2016 年 2 月まで多種多様な障害環境化でのベンチマークテストが行われます。本実験の結果は各企業にフィードバックされ、製品の品質向上に寄与することが期待されています。
本プロジェクトでは、今后、本评価基盘の厂顿狈制御方式に関する国际标準化の推进やネットワーク防灾に対する社会的な意识向上のためのコンソーシアムの设立、拠点数の拡大などを推进し、より実用的な技术の确立を目指して研究开発を进めます。

特记事项

米国オースティンで 11 月 15 日から開催されている国際会議 SC15 会場において、情報通信研究機構 (NICT) が提供する新世代通信網テストベッド JGN-X を用いた“DESTCloud”のデモンストレーションを行いました。
また、本研究開発は総務省による情報通信分野の競争的資金である平成26年度戦略的情報通信研究開発推進事業 (Strategic Information and Communications R&D Promotion Programme: SCOPE) の先進的通信アプリケーション開発推進型研究開発フェーズI、および平成27年度SCOPE重点領域型研究開発 (先進的通信アプリケーション開発型) フェーズIIの支援を受けて実施しております。

本件に関する问い合わせ先

大阪大学情報推進本部?サイバーメディアセンター助教 柏崎礼生(かしわざき ひろき)

E-mail: reo*cmc.osaka-u.ac.jp(*は半角@に置き換えてください)

Tel: 06-6879-4418

金沢大学総合メディア基盤センター助教 北口善明(きたぐち よしあき)

E-mail: kitaguchi*imc.kanazawa-u.ac.jp(*は半角@に置き換えてください)

Tel: 076-234-6928

広島大学情報メディア教育研究センター准教授 近堂徹(こんどう とおる)

E-mail: tkondo*hiroshima-u.ac.jp(*は半角@に置き換えてください)

Tel: 082-424-6252

高知工科大学地域连携機構連携研究センタースケールセンシティブ地域産業研究室長/教授 菊池豊(きくち ゆたか)

E-mail: org*ml.kochi-tech.ac.jp(*は半角@に置き換えてください)

Tel: 0887-57-2025

スキャリティ?ジャパン(株)マーケティング部 石渡達也(いしわたり たつや)

E-mail: tatsuya.ishiwatari*scality.com(*は半角@に置き換えてください)

Tel: 03-6894-7427

用语解説

※1 広域分散システム
地理的に离れた多数のコンピュータをネットワークで接続して构筑するシステムのこと。分散させることにより、负荷分散や冗长化を行うことが可能となる。

※2 並列分散ストレージ
复数の计算机资源が提供するストレージをまとめて大きな一つのストレージとして扱うストレージのこと。地理的に离れた场所でデータを分散保存する并列分散ストレージを広域分散ストレージと呼ぶ。広域分散ストレージは特に障害?灾害时におけるデータの永続化や応答性能の向上などに利点がある。

※3 プログラマブル
利用者がソフトウェアプログラミングにより一连の动作を记述できること。自动化や繰り返し処理などが容易に実现できるようになる。

※4 ネットワークトポロジー
ネットワーク接続における接続形态および构成のこと。


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