「世界を今よりも平和な场所に」

名前: パークプーム クアンウィニツ
出身: タイ
所属: 大学院国際協力研究科 (IDEC)
趣味: 個人スポーツ(ランニング、タイ式ボクシング、重量挙げなど)、ギター演奏、読書。
(取材日:2020年2月20日)
本日はお越しいただき、ありがとうございます。本年度のエクセレントスチューデントスカラシップ(※)成绩优秀学生に选ばれたそうですね。感想をお闻かせいただけますか。
そもそも、どうやって选ばれたのかわからないのですが、明白な理由といえば、おそらく成绩のおかげだと思います。ほとんどの科目で「厂」の评価をいただきましたから。その他にも、セミナーやポスターセッションなどの学内行事にはできる限り参加し、自身の研究活动について発表してきました。つまり、僕の研究に対する真挚な取り组みや、あらゆる授业から贪欲に知识を吸収しようとする姿势を评価していただけたのかなと思います。
(※)学业成绩や学术研究活动において特に优秀と认められる大学院生に対し修学费支援を行う広岛大学独自の奨学制度。
ご出身はどちらですか。
タイの首都、バンコクです。建物がひしめきあい、木々や自然が少ないところです。観光名所といえば、「エメラルド仏」。バンコクを访れる人々の多くは、これが目当てだと思います。非常に大きく美しい仏像で、都心にある「ワット?プラ?ケオ」寺院に据えられており、我々タイ人にとって国家宗教たる仏教がいかに重要かを物语るものです。そして「カオサン通り」では、ナイトクラブやレストラン、コーヒーショップなどが立ち并び、夕方から朝まで営业されています。
日本、それも広大に来た理由は何ですか。
それを説明するには、まず僕の职歴からお话ししなくてはいけませんね。来日前、僕は国际移住机関(滨翱惭)というところで働いていました。世界的な人の移动の问题を専门的に扱う国连机関です。そこで移民や难民のために働く中で、僕は世界における人の移动、移民や难民に関する几つかの问题に行き当たりました。国际関係、それも移民问题について、海外の大学院で学んでみたいと思い始めたのもその顷でした。というのも、僕はいずれまた国连関係机関の仕事に就きたいのですが、今度は中东やアフリカといった、人々の苦しみがより深刻な、つまり人々が暴力や戦争に苦しんでいる国で働きたいと考えているからです。そして、そのような人々により良い暮らしをもたらすための贡献がしたいのです。そんなわけで、大学院レベルの知识を身に付けるために留学を决意しました。

まず决めたのは国です。僕は幼い顷から日本の文化が好きで、つまり漫画やアニメ、音楽などの娯楽ですね、そういったものに影响を受けながら育ちました。それで、いつか日本に行ってみたい、それもただ旅行で访れるのではなく、住んでみたいと梦见ていました。なので、子ども时代の梦と将来の梦、両方をかなえるために留学先を日本に决めました。そして広大の滨顿贰颁に「平和共生」という、僕の希望にぴったりのコースがあることを知りました。僕はウェブサイトに载っていた教授リストの中から、片柳先生(教授)に连络を取ったのです。
というのも、片柳先生の経歴を见て、先生にも国连での职务経験があることを知ったからです。僕は先生にメールを送り、スカイプ面谈を设定し、そして直接言叶を交わすうちに、この先生とは何だか「相性が良いな」と感じました。研究内容も一致していました。その上幸运にも、先生は面谈の终わりに、僕を受け入れると言ってくださいました。万事僕の愿い通りに事が运んで、これはもう运命だなと思いました。
运命に导かれ、今ここにいるというわけですね。ところで、学内の友だちとは、どのようにコミュニケーションをとっていますか。
日本语を上達させたいので、努めて日本人の友だちをつくるようにしています。しかし問題は、彼らは彼らで英語を上達させたいみたい。(笑)だから僕が日本语で話しかけても、彼らは英語で返してきます。日本人は英語が得意だから、英語でコミュニケーションを取りたいのでしょうね。それに、彼らはとても親切です。僕が助けを求めると、何をしている時でも、決して僕を待たせることをしません。どんなに忙しい時でも、さっきまでしていたことをピタッとやめて、すぐに僕を助けてくれます。いつ、誰を呼んだ時も同じです。
友だちづくりといえば、ソーシャルメディアについてどう思われますか。すっかり私たちの社会に根付いていますね。
すでに我々の日常生活の一部となっていますね。谁もが好きな时に好きな情报を上げられるし、そうやって上げられた情报をいつでも、どこでも自由に受信することができる。それはとても便利だけれど、便利なだけに、それを扱うユーザにはかなりの慎重さが要求されます。ここで言う「ユーザ」とは単に情报を上げる侧だけではなく、厂狈厂アカウントを持ち、情报を受信することができる全ての人を指します。不适切な情报を上げてはならないことはもちろんですが、それを止めるすべはありません。ですから情报の受け手としては、それらが必ずしも信頼できるものではないことを忘れてはいけません。虚偽报道やスキャンダル、ネガティブな书き込みなど、もうそこら中に氾滥していますから、あらゆる情报を非常に注意深く取捨选択することが求められます。

厂狈厂で本当の人间関係を筑くことはできるのでしょうか。
真に诚実な、确かな人间関係という意味では、僕はまだ対面のコミュニケーションの方を信頼しています。しかし、「人间関係のきっかけ」を作ることは厂狈厂でも可能だと思います。たとえば、「友だちかも」リストに写真が载っている人をある日、学内のマーメイドカフェなどで见かけて、「あっ、厂狈厂のリストにいる人だね」なんて话しかけて、それが会话のきっかけとなり、友人関係が始まることもありますからね。
ご意见、ありがとうございました。次に、専攻についてお闻かせいただけますか。
僕は滨顿贰颁の平和共生コースに在籍しています。そこでは国际関係、特に个人内から个人间、そして国际间レベルに至るまでの纷争の解决法について学んでいます。
「纷争解决」とは、いったいどんなものですか。
纷争は日常的に発生しており、避けて通ることのできないものであること、それをまず认识することが必要だと思います。そして、纷争がもたらすのは悪いことばかりではありません。なぜなら纷争が起きることで、両者が异なる见解を持っていることが明らかとなるからです。この违いをもとに、双方が纳得できる「新しい何か」を生み出すことが可能となるのです。すなわち僕にとっての「纷争解决」とは、双方の共通のニーズを理解し、双方が纳得できる解决法を提示することで、彼らが平和的に共生できるよう図ることなのです。
なんだか、お话を闻いているうちに、学校で起きているいじめ问题を思い出しました。他人が自分と「违う」というだけで、いじめてくる生徒もいますね。
この问题を解决するには、教育が重要な役目を果たすと思います。ここでいう「教育」はカリキュラムのことだけでなく、「他人と共生する」ための教育をも指します。国连で採択された持続可能な开発目标(厂顿骋蝉)でも、质の高い教育の重要性に言及しています。つまり、违いを无视するための教育が必要だと僕は思います。
违いを「无视する」のですか。
そうです。性别、容姿、宗教などの违いこそあれ、我々は同じ人间です。谁も置き去りにしてはなりません。この规范を确立し、すべての子どもに、それもまだ幼いうちから教育していくことが必要だと思います。
そして、いじめについてですが、この问题が起きると、いじめられる侧の被害者の救済ばかりに気を取られがちですね。しかし僕が思うに、いじめの「加害者」の动机を知ることも大切です。纷争解决にあたる「仲裁者」としては、いじめの加害者から话を闻き、いじめの理由を明らかにした上で、どうすれば今后他の子に优しく接し、仲良くすることができるか、その可能性や手段を探ることが必要です。なぜなら、彼らは皆が皆、好んでいじめをしているわけではなく、その背后には仲间の圧力が存在する场合が多いからです。つまり、いじめを先导するクラスのリーダー格の子がいて、他の子が従わなければ、その子たちもいじめられるよう仕向けられる。なので、そのリーダーの気持ちを理解することも必要です。あるいは彼らも家庭内に何らかの问题を抱えていて、それがいじめの动机となっている可能性があるからです。

根の深い问题なのですね。
その通り。力で抑えこむだけでは解决にはなりませんからね。そう言えば、いじめが理由で不登校になった生徒のための特别な学校が作られたと、日本の友だちから闻いたことがあります。いじめのない学校だとか。気を悪くしてほしくないけど、僕はこの解决法には賛同できません。子どもたちを生涯守ることは不可能だからです。彼らもいずれは実社会に、それも、今よりも意地悪な人が大势いる危険な世界へと出ていかなければならないのです。ですから、彼らを隔离し守るのではなく、いじめの解决法を探り、彼らが他者と「共生」できるよう手助けすることが必要です。ここでいう「共生」とは、文字通り「共に生きる」だけではなく、违いを越えて互いに理解し合い、思いやりを持って接することなのです。
详しくご説明いただき、ありがとうございました。ところで、フリータイムには何をしていますか。
时间がある时は、学内のジムに行きます。そしてマラソンランナーでもあるので、キャンパスの周囲をほぼ毎日走っています。ギターを弾くのも好きです。といってもクラシック?ギターですよ。アンプにつなげてでかい音を出すほうの、ではなくてね。
クラシック音楽が趣味なんですか。
そうです。见た目からは想像できないでしょう?(笑)それに読书も好きです。好きなジャンルはスティーブン?キングとかの犯罪スリラー物です。今研究している国际関係、平和构筑、平和活动などに関する本もよく読みます。
海外留学を考えているタイの学生に、何かアドバイスはありますか。
まず、最も大事なのは何を学びたいかを明确にすることだと思います。ただ外国で生活してみたいという理由で留学を希望する人も大势います。しかし、结局は学业を続ける情热が足りなくて大半が脱落してしまう。まずは、よく考えてみてください。决して生やさしいことではないのです。大学院は学部とレベルも全然违うし、研究者としての业绩も挙げなくてはならないのですから。次に留学先ですが、僕の场合、日本でなければなりませんでした。どこで学ぶかはとても重要なポイントです。2年か3年、これまでと异なる文化や気候、人々の中で生活するわけですから、それなりの覚悟が必要です。それらを全部决めたら、あとは、めいっぱい楽しむだけです。あっという间の留学期间、その一分一秒を、思い切り楽しんでほしいと思います。
日本には、英语に自信がないという理由で海外留学をためらう若者もいるようです。このことについて、どう思いますか。
ためらう気持ちはわかります。英語を母語としない者が海外に渡ろうとする時、誰もが抱く共通の懸念でしょうから。でもね、僕を見て。日本语力はほぼ皆無だったけど、そんな僕でも今こうして日本にいて、一歩一歩努力を続けています。今でも完璧にはほど遠いけど、一年間でここまで進歩したことに満足しているし、誇りにも思っていますよ。
海外へ行けばたくさんの人と出会い、様々な文化に触れることができますから、そこから学ぶことは大きいと思います。ですから、もしも梦を持つ日本の子どもと话す机会があれば、僕が赠りたいのはこの言叶です。「もじもじしないで、突き进め!(ゴー?フォー?イット)」
最后の质问です。将来の梦を教えてください。
先ほども触れましたが、国连の移民问题を扱う机関で働きたいです。今日も世界の至る所で多くの人々が居场所を失い、中には戦争で命を落とす人もいます。ですからこの问题に贡献したいのです。すべての人々が差别を受けることなく好きな所にいられるように、そして、治安を心配することなく故郷に帰れるように。

それに、一年と少しの间ここで学んでみて、僕は本当に研究が好きなのだということに気づきました。つまり、研究者としてこの问题解决に贡献する道もあるのだとね。そんなわけで今、僕の目の前には二つの选択肢があります。一つは国连机関で「実务者」として働くこと、もう一つは「研究者」として、人々を救うための解决策を生み出すための研究に従事すること。しかし、いずれの道を选ぶにしても、最终的に目指すものは同じ、すなわち「世界を今よりも平和な场所にすること」なのです。
梦が実现できるよう祈っています。今日は本当にありがとうございました。
お疲れさまでした。
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