広島大学 原爆放射線医科学研究所 放射線ゲノム疾患研究分野
宮本 達雄
電 話 : 082-257-5811
e-mail : t-miyamoto@hiroshima-u.ac.jp
(@を半角に置き换えてください)
平成27年11月27日
日本医療研究開発機構 革新的先端研究開発支援事業(PRIME)
「画期的医薬品等の创出をめざす脂质の生理活性と机能の解明」に採択
平成27年度に新設された日本医療研究開発機構(AMED)革新的先端研究開発支援事業(PRIME)「画期的医薬品等の創出をめざす脂質の生理活性と機能の解明」に、本学原爆放射線医科学研究所 宮本達雄講師の提案した「コレステロールが制御する繊毛机能とその破绽」が採択されました。
採択课题名
コレステロールが制御する繊毛机能とその破绽
研究代表者
広島大学 原爆放射線医科学研究所
放射線ゲノム疾患研究分野 講師 宮本 達雄
研究概要
人间の体を构成するほとんどの细胞の表面に、一次繊毛と呼ばれる数マイクロメートルの1本の毛様に発达する突起构造があります。一次繊毛を包む细胞膜(繊毛膜)には个体発生や组织干细胞の维持を担う细胞外シグナル分子の受容体が集积しており、一次繊毛は细胞の「センサー(感覚器官)」として机能します。生まれつき繊毛の构造や机能に异常がある场合、多発性肾嚢胞や多指症などの先天奇形に特徴づけられる「繊毛病」(*1)を発症します。
本研究课题は、一连の遗伝性コレステロール代谢不全疾患(*2)が繊毛病を合併することに着目して、繊毛膜に局在するコレステロールが一次繊毛の「シグナルセンサー」机能(*3)の分子実体であることを実証します。
本研究成果は、脂質繊毛学(Lipid Ciliology)という新たな基礎研究領域の開拓につながり、ヒト受精卵からヒトの「かたち」が作られるプロセスにおけるコレステロールの役割を解き明かすことができます。また、繊毛膜には「がん」関連受容体やヒトの行動を制御する神経ペプチドやホルモンに対する受容体が集積しており、繊毛コレステロールは「がん」や「精神?神経疾患」の新たな創薬ターゲットであると考えられます。
本研究ではヒト疾患の遗伝医学、ゲノム编集技术による疾患モデル作製、细胞生物学を统合した独自のアプローチを用いて、コレステロールの新たな生理机能の解明と繊毛コレステロール制御剤の开発を目指します。
※平成27年度 革新的先端研究開発支援事業については、こちらをご覧ください。
http://www.amed.go.jp/news/program/010720150608_kettei.html
用语説明
*1繊毛病
繊毛を作る遗伝子や繊毛で机能する遗伝子が生まれつき壊れている一连の遗伝病。临床的には、多発性肾嚢胞や多指症、肥満など特徴的な先天奇形を示す。
*2遗伝性コレステロール代谢不全疾患
生まれつきコレステロールを作る遗伝子群が壊れており、体内のコレステロールが欠乏する一连の遗伝病。多彩な先天奇形を伴う。
*3「シグナルセンサー」机能
繊毛膜に集まる分子のなかには、がん细胞の増殖を促す细胞外タンパク质の受容体や、摂食行动などの高次な神経活动を司るホルモンの受容体があり、繊毛が细胞外の情报(「细胞外シグナル」)を受容する「センサー」として机能する。