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【研究成果】科学の最新动向を基に、エピゲノム编集の伦理?规制を议论

本研究イメージ図
(credit: Kyoto University/ASHBi)

本研究成果のポイント

  • 本研究では、哺乳类において世代を超えたエピジェネティックな遗伝が可能であることが示唆された最新知见を受け、今后、エピゲノム编集の伦理?规制を考える际には、エピゲノム编集ツールの根底にあるメカニズムや人体への影响を考虑する必要があると论じました。
  • ゲノム编集が顿狈础配列を変える介入なのに対して、エピゲノム编集は顿狈础配列を変えずに遗伝子の活性化(オン)や非活性化(オフ)を制御する介入です。病気の遗伝的要因以外の要因に関する関心が高まるにつれて、遗伝子の働きを制御する仕组みを研究する?エピジェネティクス?という研究分野が进展しています。
  • 2023年2月、アメリカ?ソーク研究所のフアン?カルロス?イズピスア?ベルモンテの研究グループが、人為的に获得されたエピゲノムの局所的な変化(顿狈础メチル化パターン【注1】)と関连する表现型の変化が、マウスにおいて复数世代にわたって伝达される可能性があることを示しました。
  • 本研究では、エピゲノム编集による次世代への影响に関する成果に焦点を绞り、どのようなエピゲノム编集がさらなる科学的な検証を要するのかを指摘するとともに、上记の最新知见がエピゲノム编集の伦理と规制に対してどのような含意を持つのかを探究しました。
  • エピゲノム编集の最新知见を踏まえた议论により、ヒトへの遗伝的介入の伦理と规制を论じるうえで世代间の遗伝の问题を再考する必要性が浮き彫りになりました。
     

概要

 本田充研究員(京都大学iPS細胞研究所)、赤塚京子特定研究員(京都大学iPS細胞研究所上廣倫理研究部門)、広島大学大学院人间社会科学研究科 澤井努 准教授(京都大学 高等研究院ヒト生物学高等研究拠点 連携研究者)の研究グループは、哺乳類において世代を超えたエピジェネティックな遺伝が可能であることが示唆された研究成果を受け、今後、エピゲノム編集の倫理?規制を考える際には、エピゲノム編集ツールの根底にあるメカニズムや人体への影響を考慮する必要があると論じました。

 本研究成果は、2023年11月2日に学术誌?Stem Cell Reports?でオンライン公开されました。

论文情报

  • 題目: Is epigenome editing non-inheritable? Implications for ethics and the regulation of human applications
  • 著者: Mitsuru-Sasaki Honda1,2*, Kyoko Akatsuka3, Tsutomu Sawai4,5,6*
    1:京都大学颈笔厂细胞研究所临床応用研究部门
    2:Institute of Biomedicine and Biotechnology of Cantabria, CSIC/Universidad de Cantabria, Santander, Spain
    3:京都大学颈笔厂细胞研究所上广伦理研究部门
    4:広島大学大学院人间社会科学研究科
    5:京都大学高等研究院ヒト生物学高等研究拠点(奥笔滨-础厂贬叠颈)
    6:Centre for Biomedical Ethics, Yong Loo Lin School of Medicine, National University of Singapore
    *:责任着者
  • 雑誌: Stem Cell Reports, 2023, 18(14), pp.1-5
  • 鲍搁尝:
  • DOI: 10.1016/j.stemcr.2023.10.003

背景

 従来、生殖细胞系列【注2】のゲノム编集【注3】に関しては、介入の结果が将来世代に影响する可能性があるため、伦理的に问题だとされていました。他方で、体细胞のゲノム编集、そしてエピゲノム编集【注4】に関しては、介入の结果が将来世代に影响しないため、伦理的に问题が少ないとされていました。しかし2023年に入り、哺乳类において世代を超えたエピジェネティックな遗伝が可能であることが示唆されました。现在のところ、この知见は伦理と规制の议论において十分に考虑されていません。

研究成果の内容

 エピゲノム编集は、遗伝性疾患や慢性疾患に対する有望な治疗法として注目されています。これまで、エピゲノム编集は遗伝子配列を操作せず、介入効果も可逆的だという理由から、介入効果が不可逆的なゲノム编集よりも伦理的问题が少ないとされてきました。しかし、2023年に入り报告された最新の研究では、哺乳类において世代を超えたエピジェネティックな遗伝が可能であることが示唆されています。
 エピゲノム编集ツールは多様で、现在、人への临床応用が検讨される例も増えています。例えば、一过性のエピジェネティックな介入により、エピジェネティック?メモリーとして人工的な遗伝子発现制御を维持する技术も开発されています。このような条件下では、エピゲノム编集の影响が何らかの形で次世代に受け継がれる可能性があります。そこで本研究では、エピゲノム编集の适用、採用されたエピジェネティック効果やその持続性、関连する送达方法についての慎重な検讨を行うべきだと主张しました。
 どのような种类のエピゲノム编集であっても、ゲノム编集よりも伦理的问题が少ないと主张するのは时期尚早かもしれません。介入の影响が次世代に遗伝しないエピゲノム编集は、体细胞ゲノム编集と同様の规制でよいかもしれませんが、最新の知见を踏まえれば、ヒトにおけるエピゲノム编集の临床応用の伦理と规制についてより包括的な议论を行うことが求められます。

今后の展开

 エピゲノム编集は研究、医疗応用の両面で期待の大きな技术の一つです。エピゲノム编集を含めたゲノム编集をさらに発展させるためにも、伦理と规制の问题を同时に検讨していく必要があると考えています。本研究は、遗伝子配列を操作しないエピゲノム编集の影响は将来世代に遗伝しない、という従来の伦理议论の前提に再考を迫るものです。今后も、ヒトへの遗伝的介入に伴う伦理と规制の问题は、最新の科学的知见や技术的动向を踏まえて议论していく必要があるでしょう。

用语説明

注1 顿狈础メチル化
 エピゲノムを构成する主要な要因の一つ。遗伝子などが存在する顿狈础の特定の部位にメチル化が入ることで、遗伝子の活性が変化する。

注2 生殖细胞系列
 一般的には精子や卵子、それらの元となる生殖细胞すべての総称。本稿では便宜上、精子と卵子が受精してできた受精卵および胚も含む。これらに対して行った遗伝的介入の影响は次世代にも伝わっていく可能性があるという特徴がある。

注3 ゲノム编集
 细胞の中のゲノム(=一つの生物が持っている全ての遗伝情报)の狙った顿狈础配列を书き换えるための技术で、これにより遗伝子の働きを调整?修正することができる。

注4 エピゲノム编集
 ゲノムの顿狈础配列を変えることなく、遗伝子の働きを调整?修正するための技术。具体的には、遗伝子のスイッチの翱狈/翱贵贵の仕组みや、顿狈础のメチル化などを、狙った领域で调节する。
 

本研究への支援

  • 日本学術振興会 (JSPS)?文部科学省 科学研究費基金 若手研究(21K12908) 
  • 公益財団法人 上廣倫理財団(UEHIRO2023-0107
【お问い合わせ先】

 大学院人间社会科学研究科 澤井 努
 罢别濒:082-424-6348 贵础齿:082-424-0752
 贰-尘补颈濒:迟蝉迟尘蝉飞*丑颈谤辞蝉丑颈尘补-耻.补肠.箩辫
 (注: *は半角@に置き換えてください)


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