大学院统合生命科学研究科生命環境総合科学プログラム
山田 俊弘 教授
罢别濒:082-424-6508 贵础齿:082-424-0758
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(注: *は半角@に置き換えてください)
本研究成果のポイント
- &苍产蝉辫;広岛大学东広岛キャンパスに生える木の“かたち”を调べました。一本の植物にはふつう、たくさんの叶がついています。植物は、光を有効活用するため、自身の叶の重なりが少なくなるように工夫しながら叶を配置します。上に位置する叶が、下に位置する叶の日阴を作ってしまうと、下の叶は光不足で光合成ができなくなるからです。
- 一本の干に直接叶をつける树木では、叶柄※1の长さとたわみ角※2を上の叶から下の叶に向かって徐々に増加させることで、叶の重なりを少なくすることが知られていました(図1?図2)。
- 今回、上述のパターンとは真逆の配置で、上下の叶の重なりを减少させる植物を东広岛キャンパス内で発见しました。ウコギ科※3のコシアブラ※3とタカノツメ※3は、叶柄の长さとたわみ角のどちらも、上から下の葉に向かって徐々に減少させることで、互いの葉の重なりを少なくするよう調節していたのです(図3)。こうした葉の配置はこれまで、どの植物からも報告がなく、全く知られていませんでした。
- 今回の発见は、私たちの身近な自然にも、未知の知见が潜んでいることを示しています。また、私たちは植物の形の多様性と、その机能についての知识が不十分で、もっと理解を深めなければならないことも示唆しています。
概要
広島大学大学院统合生命科学研究科大学院生の青栁仁士と山田俊弘教授、中林雅准教授の研究チームは、植物の形の多様性を理解するため、広島大学東広島キャンパスに生える樹木の形を調べています。この研究の中で、これまで誰にも知られていなかった葉の配置パターンを世界に先駆けて発見しました。
植物は、自分の葉の間での重なりが少なくなるよう、葉の配置の工夫をしていることが知られています。重なってしまうと、上の葉が下の葉に日陰を作ることになるので、下の葉の光合成ができなくなるからです。例えば、一本の干に直接叶をつける树木では、叶柄※1の长さとたわみ角※2を上の叶から下の叶に向かって徐々に増加させることで、叶の重なりを少なくしています(図1)。実际に、このパターンは多くの植物に见ることができます(図2)。

図1 カクレミノ(Dendropanax trifidus)?ヤツデ(Fatsia japonica)の叶の配置パターンの概念図
垂直面;数字は叶の干の位置での上からの顺番:干の一番上についている叶は1となる。この配置では、叶柄※1の长さとたわみ角※2を上の叶から下の叶に向かって徐々に増加させることで、叶の重なりを少なくする。

図2 ボルネオ岛の热帯雨林に生えるフネミノキ(Scaphium macropodum)の树形
フネミノキも、叶柄※1の长さとたわみ角※2を上の叶から下の叶に向かって徐々に増加させる、図1で示された通りの配置をもつことがわかる。こういった配置をもつ植物は、フネミノキ以外にもよく知られている。
今回调査したウコギ科※3のコシアブラ※3とタカノツメ※3は、叶柄の长さとたわみ角のどちらも、上の葉から下の葉に向かって徐々に減少させてました(図3)。これは、上のパターンと真逆な葉の配置で、世界初の発見になります。

図3 コシアブラ(Chengiopanax sciadophylloides)?タカノツメ(Gamblea innovans)の叶の配置パターンの概念図
垂直面;数字は叶の干の位置での上からの顺番:干の一番上についている叶は1となる。この配置では、叶柄※1の长さとたわみ角※2を上の叶から下の叶に向かって徐々に减少させることで、叶の重なりを少なくする。
今まで知られていた配置も、今回新たに见つかった配置も、出来上がる树形はとても似ていて、叶の重なりを减少させるためには同じような効果があります(図4?5)。では、両者の间になんらかの机能的な违いはあるのでしょうか?(実は全く违いはないのかもしれませんが)我々研究チームはこの课题に取り组んでいきます。
今回の新発见は私たちに、身近な自然にも未知の知见が潜んでいるということ、つまり、自然の奥深さを教えてくれました。同时に、私たちは、植物の形の多様性と、その机能についての知识が不十分で、もっと理解を深めなければならないことも示唆しています。


図4 カクレミノ※3 (Dendropanax trifidus)の树形。数字は叶の干の位置を示し、上からの顺番である:干の一番上についている叶は1となる
図5 タカノツメ※3 (Gamblea innovans)の树形。数字は叶の干の位置を示し、上からの顺番である:干の一番上についている叶は1となる
<発表论文>
论文タイトル
Newly found leaf arrangement to reduce self-shading within a crown in Japanese monoaxial tree species
着者
Aoyagi, H.1, *, Nakabayashi, M.1, Yamada, T.1,
1:広島大学 大学院统合生命科学研究科
*:Corresponding Author
掲载雑誌
Journal of Plant Research
顿翱滨:
背景
植物の形は、その植物が生き延び、子孙を残すうえで最适となるように进化してきたと考えられています。一度根付くと动くことができない植物は、“かたち(树形や叶の配置)”を工夫することで、根付いたその场所で光合成量を最大化します。
我々研究チームは、东広岛キャンパスに生える植物を対象に、その工夫を具体的に理解するための研究を进めています。そして、その研究の中で、世界初の叶の配置パターンの発见に至りました。
研究成果の内容
今回调査したウコギ科※3のコシアブラ※3とタカノツメ※3は、叶柄※1の长さとたわみ角※2のどちらも、上の叶から下の叶に向かって徐々に减少させていました(図3?5)。これは、これまでとは真逆な叶の配置で、世界初の発见になります。
世界は未知なことであふれています。特に生物学にはこれがよく当てはまります。世界にいるはずの生き物の种のうち、人类に発见され、名前がついているのは、わずか10%程度だと言われています。生物多様性のほとんどは、分かっていないわけですから、毎年たくさんの新种が见つかることもうなずけますね。
生物多様性の谜の部分は种の数だけではありません。形态的な多様性(かたちの多様性)についての知见はまだまだ乏しく、人类は理解を进める努力を进めなければなりません。私たちはこの研究で、その一端を担うことができました。
今后の展开
葉柄の长さとたわみ角を上の葉から下の葉に向かって徐々に増加させる配置も、葉柄の长さとたわみ角を上の葉から下の葉に向かって徐々に減少させる配置も、出来上がる樹形はほとんど同じで、どちらも葉の重なりがうまく回避できています(図4?5)。
それでは、なぜ二つの配置が存在するのでしょうか?
最终的にはほぼ同じに见える树形を作り出す二つの配置ですが、何らかの条件下では、どちらかの配置が、もう一方の配置より有利になるのかもしれません。我々研究チームは、叶の配置パターンの违いが、植物个体の生存や繁殖にあたえる影响について、さらなる生态学的调査を进めています。
※1 葉柄:葉を支えている部分 (図6a参照)
※2 たわみ角:幹と葉柄のなす角 (図6b参照)

図6补 叶柄と叶身の概念図

図6产 たわみ角の概念図。たわみ角は干と叶柄のなす角で、Φ1は小さな、Φ2は大きなたわみ角を示す。
※3&苍产蝉辫;ウコギ科には、特有の香りを発する种类が多く、薬用のオタネニンジン(チョウセンニンジンとかコウライニンジンと呼ばれることもあります)や山菜として赏味されるタラノキが含まれます。
コシアブラとタカノツメは落叶高木で、直径50肠尘くらいまで育ち、东広岛キャンパス内に多く自生しています。どちらも、若芽が食べられます。
ヤツデは常緑の低木で、日阴によく耐えるので庭木として植えられます。
カクレミノは、常緑の小高木です。地域によっては神圣な树木とされ、神社の庭に植えられことも多いです。
【参考资料】

図7-补 カクレミノ(Dendropanax trifidus)についていた叶。
数字は叶の干の位置を示し、上からの顺番である:干の一番上についている叶は1となる

図7-产 タカノツメ(Gamblea innovans) についていた葉。
数字は叶の干の位置を示し、上からの顺番である:干の一番上についている叶は1となる