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【研究成果】助け合いで障害物を乗り越えろ!サイボーグ昆虫が群れとなって协调移动する制御アルゴリズムを新开発

本研究成果のポイント

  • 「サイボーグ昆虫※1」の动きを制御する新しい制御アルゴリズム※2を开発。
  • 生物としての自然な振る舞いを活かした新アルゴリズムにより、サイボーグ昆虫が助け合いながら障害物の多い砂地を移动してゴールに到达することが可能に。
  • 障害物が多い灾害救助现场、环境モニタリング、インフラ点検など、さまざまな分野での応用に期待。

概要

 広島大学大学院先进理工系科学研究科小蔵正輝教授、大阪大学大学院情報科学研究科若宮直紀教授、Nanyang Technological University, Singapore (NTU Singapore)の佐藤裕崇教授らからなる日本?シンガポールの国際共同研究グループは、「サイボーグ昆虫」について、障害物が多く移動が困難な地形を群れとなって協調しスムーズに移動させるため、新しい制御アルゴリズムを開発しました。
 サイボーグ昆虫は昆虫に小型の电子装置を取り付けたもので、灾害时の救助活动、环境モニタリング、インフラ点検などさまざまな分野での活跃が期待されています。具体的には、昆虫の触角と尾肢に电极を取り付け、电気刺激を送ることで昆虫の动きを制御します。これまではサイボーグ昆虫の一匹一匹に対して个别に指示を与える必要があり、多数からなる群れを协调动作させるには非効率で不安定でした。
 本研究では、复数のサイボーグ昆虫が、一匹のリーダーサイボーグに従って群れ移动するための制御アルゴリズムを开発し、リーダーに指示を与えるだけで障害物の多い砂地を自由自在に群れとして移动させられるようにしました。提案した制御アルゴリズムは、サイボーグ昆虫の群れが人を助け社会で活跃するための基盘を筑くものです。今后、障害物が多い灾害救助现场、环境モニタリング、インフラ点検など、さまざまな分野での応用が期待されます。
 本研究成果はNature Communicationsのオンライン版に2025年1月6日付で掲載されました。

図1:复数のサイボーグ昆虫が、一匹のリーダーサイボーグに従って群れ移动するイメージ図

背景

 灾害时における迅速な救助活动や环境のモニタリング、都市インフラの点検など様々な场面でロボットの活用が求められています。しかし、従来のロボットは大きくて动きが制限されていたり、电池の持ちが悪かったりするため、狭い场所や复雑な地形での长时间の作业が难しいという课题がありました。そこで小型で自由に动き回ることの出来る昆虫に小型の电子装置を取り付けた「サイボーグ昆虫」の活跃が期待されています。しかし従来の制御アルゴリズムでは、一匹一匹のサイボーグ昆虫に対して个别に详细で复雑な指示を与える必要があるため、多数のサイボーグ昆虫による协调动作を复雑な环境下で実现することは困难でした。そこで、多数のサイボーグ昆虫が群れとなって协调动作するための简易で柔软な新しい制御アルゴリズムが必要とされていました。

研究成果の内容

 研究グループは、ツアー旅行でガイドが最小限の指示によって参加者を导く様子に着想を得て、サイボーグ昆虫(フォロワー)达がリーダーの役割を果たす一匹のサイボーグ昆虫に诱导されることで、群れとなってゴールを目指すアルゴリズムを开発しました。それぞれのサイボーグ昆虫はロボットのように完全に制御されているのではなく、多くの场合、自由に动いていますが、制御アルゴリズムによってリーダーや他のフォロワーからはぐれないように时々移动する方向を変えます。
 开発した制御アルゴリズムを电子装置に组み込み、マダガスカルゴキブリを用いてサイボーグ昆虫の実証実験を行いました。通常の小型ロボットには移动の难しい、砂地に障害物や丘がある环境において、群れとなって移动しゴールに到达する様子を确认しました。提案した制御アルゴリズムにより、制御の回数を半分程度に抑えてサイボーグ昆虫を自由に行动させることで、复雑な地形を柔软に移动できるだけでなく、従来のアルゴリズムにおいて问题であったマダガスカルゴキブリ同士の「もつれ」を解消することができました。
 また、制御アルゴリズムに组み込まれたサイボーグ昆虫间の相互作用の仕组みにより、困难な状况に陥ったサイボーグ昆虫を别のサイボーグ昆虫が助ける様子が确认されました。例えばあるサイボーグ昆虫が障害物に引っかかった际に、他のサイボーグ昆虫がそこから距离を置いて移动することで、群れ全体が障害物を効果的に回避するだけでなく、引っかかったサイボーグを助けて脱出させることができました。また、転倒したサイボーグ昆虫を他のサイボーグ昆虫が押して回復させる様子も确认されました。
 さらに、このアルゴリズムはそれぞれのサイボーグ昆虫について、周囲の状况にもとづき动きが自动的に制御されるため、集中管理も必要としません。
 これらの成果により、提案した制御アルゴリズムでは、昆虫が生まれながらに持つ自然な动きを活用することで、高い柔软性と効率性をもつサイボーグ昆虫の群れを実现することができました。
 

図2:実际の実験の様子。手前がリーダーとなるサイボーグ昆虫

今后の展开

 本研究成果により、灾害救助、环境モニタリング、インフラ点検など様々な分野において、サイボーグ昆虫が人と协働、活动することで、私たちの暮らしがより安心、安全になることが期待されます。

论文情报

  • タイトル:“Swarm navigation of cyborg-insects in unknown obstructed soft terrain”
  • 著者名:Yang Bai1,2?, Phuoc Thanh Tran Ngoc3?, Huu Duoc Nguyen3?, Duc Long Le3, Quang Huy Ha3, Kazuki Kai3, Yu Xiang See To3, Yaosheng Deng1, Jie Song1, Naoki Wakamiya1※, Hirotaka Sato3※, and Masaki Ogura1,2※ (?These authors contributed equally to this work.)
  • 著者所属:大阪大学 大学院情報科学研究科1,広島大学 大学院先进理工系科学研究科2,School of Mechanical & Aerospace Engineering, NTU, Singapore3
    责任着者※
  • 掲載誌:Nature Communicationsオンライン版
  • 掲载日:2025年1月6日
  • 顿翱滨:10.1038/蝉41467-024-55197-8

なお、本研究は、闯厂罢ムーンショット型研究开発事业闯笔惭闯惭厂223础の支援により行われました。

用语解説

※1 サイボーグ昆虫
マダガスカルゴキブリなどの昆虫に小型の电子装置(颁笔鲍、センサ、移动制御デバイス、无线通信机、电池など)を取り付けることで、昆虫の能力を活かしつつ、移动方向などの制御を可能にしたもの。

サイボーグ昆虫のイメージ図

※2 制御アルゴリズム
小型电子装置に搭载されたプログラム。普段は移动制御しないことで昆虫に自由に行动させ、周囲に仲间があまりいない时にはリーダーやフォロワーのいる方向に向かわせることで群れを作り、ゴールに向かわせる。
 

【お问い合わせ先】

<研究に関すること>
【広岛大学】
 広島大学 大学院先进理工系科学研究科 教授 小蔵 正輝(おぐら まさき)
 罢贰尝:082-424-7273
 E-mail: oguram*hiroshima-u.ac.jp

【大阪大学】
 大阪大学 大学院情報科学研究科 教授 若宮 直紀(わかみや なおき)
 E-mail: Wakamiya.naoki.ist*osaka-u.ac.jp

【Nanyang Technological University, Singapore (NTU Singapore)】
 シンガポール南洋理工大学 機械航空学科 教授 佐藤 裕崇(さとう ひろたか)
 贰-尘补颈濒:丑颈谤辞蝉补迟辞*苍迟耻.别诲耻.蝉驳

<広报?报道に関すること>
【広岛大学】
 広島大学 広報室
 罢贰尝:082-424-3749
 贰-尘补颈濒:办辞丑辞*辞蹿蹿颈肠别.丑颈谤辞蝉丑颈尘补-耻.补肠.箩辫

 (*は半角@に置き换えてください)
 


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