学長式辞 平成27年秋季入学式 (2015.10.1)
さわやかな秋风が贺茂台地を吹き渡り、キャンパスの木々も赤や黄色に色づき始めています。本日ここに平成27年度(2015年度)広岛大学秋季入学式を挙行するにあたり、282人の皆さんの入学を心より歓迎するとともに、広岛大学を代表してお祝い申し上げます。
本学は、东広岛キャンパスと広岛市にある霞キャンパス、东千田キャンパスに11学部、11研究科、约15,000人の学生を拥するわが国有数の総合研究大学に発展してまいりました。
皆さんにはまず、広岛大学の歴史を知っていただきたいと思います。今日までの歩みを知ることは、自らのポジションを确かめるための座标轴となるからです。
今年は広岛に原子爆弾が投下されてからちょうど70年の节目の年にあたります。现在の东千田キャンパスにあった広岛文理科大学など9つの前身校の多くは、原爆によって壊灭的な被害を受け、数多くの学生や教职员が犠牲になりました。被爆から4年后の1949年5月、学章のフェニックスに示されているように、焦土の中から立ち上がったのが、新しい広岛大学であります。
文部大臣を経て初代学长に就任した森戸辰男先生は、建学の精神に「自由で平和な一つの大学」を掲げました。メインキャンパスが东広岛市に移ったのちも、その精神は脉々と受け継がれています。ヒロシマの名前は世界の人々が知っています。その大学で学ぶ皆さんには「平和を希求する国际的教养人」として育っていただきたい、と愿っています。
広岛大学は2013年、文部科学省の「研究大学强化促进事业」(リサーチ?ユニバーシティ)22机関に採択されました。続いて昨年は、东京大学や京都大学などとともに、「スーパーグローバル大学创成支援」(トップ型)13大学に、中四国地方で唯一採択されました。海外の大学と竞い合える世界レベルの教育研究を行う大学として、国のお墨付きを得たと考えています。
この2つの事业では「10年后に世界大学ランキングの100位以内を目指す」ことを掲げています。これは国や国民との约束でもあるのですが、决してたやすいことではありません。高度な学问を志す皆さん方にはぜひ、その一翼を担ってほしいと思います。
人类社会のグローバル化が急速に进む中、大学もその例外ではないことはご承知の通りです。ところで皆さんにとって、グローバル化とはどんなことでしょうか?
先月、本学の経営协议会学外委员であるインドネシアのギナンジャール?カルタサスミタ先生にご来学いただきました。インドネシアの大统领諮问会议委员や国家开発企画庁长官を歴任された方で、19歳の时から6年间、东京农工大学に留学され、ハーバード大学で研究活动をした経験もお持ちです。
ギナンジャール先生は「日本の大学の前に立ちはだかる壁は、言叶だけではない」と述べておられました。つまり「従来の欧米志向の考え方を変え、アジアやアフリカにもっと目を向けるべきだ」と指摘されました。また、学生との意见交换で出された「日本人学生と留学生の间には见えないボーダー(境界)がある」という话もされました。
私は、こうした异文化に対する「心の壁」をなくすこと、すなわちボーダーレスが、グローバル化の第一歩であると思います。自分の惯れ亲しんだ文化と异なる文化を理解し、积极的に认め合うこと、と言い换えてもいいでしょう。
ツールとしての英语を自由に操る能力とともに、イノベーティブで柔软な発想がグローバル时代には不可欠です。「解」のない问题に突き当たったとき、自らの头で考え、切り开いていく力が求められます。そのためにも、狭い専门领域に闭じこもるのではなく、読书社会贡献活动などを通じて幅広い教养を身に着けてほしいと思います。
学长としての私の目标は「100年后にも世界で光り辉く広岛大学」を筑くことです。今日から新たな広岛大学の仲间となられた皆さんとスクラムを组みながら、ともに歩んでいければと愿っております。
あらためて、入学おめでとうございます。
平成27(2015)年10月1日
広岛大学长 越智光夫