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平成30年 年頭挨拶

年頭挨拶 (2018.1.4)

 あけましておめでとうございます。年の初めに当たり、一言ごあいさつ申し上げます。今年が皆様にとって、ご健康でますますご活跃できる年になりますことを心より祈念いたしております。

 2017年を振り返りますと、「核」や「戦争」という言叶がこれほど频繁に飞び交ったことは、近年なかったように思います。相次ぐ核実験や弾道ミサイルの発射によって、东アジアの紧张は一段と高まりました。

 その一方で、核兵器禁止条约が国连総会で採択され、狈骋翱「核兵器廃絶国际キャンペーン」(滨颁础狈)がノーベル平和赏を受赏しました。広岛の被爆者サーロー节子氏の力强いメッセージに、闇夜で光明を见る思いがしたのは、私だけでないと思います。母亲が长崎で被爆した作家カズオ?イシグロ氏のノーベル文学赏受赏も、喜ばしいニュースでした。

 授赏式の后で开かれた记念晩さん会で述べたイシグロ氏の言叶が、印象に残っています。长崎で暮らしていた5歳の时、母亲から「のーべるしょう」は「へいわ」を広めるためにあると闻いたそうです。そして「ノーベル赏は、私たちを分断する壁を越え、人类として共に何に立ち向かっていくべきなのかを思い出させてくれます」とも语っていました。幼少期の経験が、彼の小説のコアな部分を形作っているのかもしれません。

 ノーベル赏に託された愿いは「自由で平和な一つの大学」を建学の精神として开学した広岛大学の理念である「平和を希求する精神」とも、轨を一にしていると思います。

 広岛大学は一昨年から、ノーベル赏受赏者による「知のフォーラム~広岛大学から世界へ」を开催してまいりました。今年3月には、グラミン银行の活动により、2006年ノーベル平和赏を受赏されたバングラデシュのムハマド?ユヌス博士をお招きする予定です。

 また、各界で活跃中のリーダーが学生に语る特别讲义「世界に羽ばたく。教养の力」を今年も开讲します。学部1年生の必修とし、建筑家の伊东豊雄氏、Jリーグ初代チェアマンの川渊叁郎氏をはじめ、新たな讲师もお招きします。広大に入ったことで満足するのではなく、「自分にしかできないことは何か」を考えるきっかけにしてほしいと愿っています。

 本学の12番目の学部となる情报科学部と、総合科学部の国際共創学科が4月、新たにスタートを切ります。5月16日に開催する記念式典では、2016年ノーベル生理学?医学賞受賞者の大隅良典博士に記念講演をしていただきます。ビッグデータや人工知能(AI)に象徴される高度情報化とグローバル化の急速な進展によって、世界は大きく変容しています。デジタル?スキルの素養と英語を中心としたコミュニケーション力は、激動の時代を生きていくために不可欠と言えるでしょう。新学部、新学科を軸としながら、広島大学の改革をさらに前へ進めたいと考えています。

 さて、政府は昨年12月、「人づくり革命」などの実现に向けた新しい経済政策パッケージを発表しました。全ての人に开かれた大学教育の机会を确保するために「高等教育の无偿化」がうたわれ、给付型奨学金の支给などの支援措置が盛り込まれています。

 一方、こうした支援措置の対象となる大学には、満たすべき4つの要件があります。実务経験のある教员による科目の配置、外部人材の理事への任命が一定割合を超えていること-などです。2020年4月実施というスケジュールを考えれば、このことに関しても体制づくりを急がなければなりません。

 ハーバード?ビジネス?スクールのクレイトン?クリステンセン教授によれば、イノベーションには「持続的(蝉耻蝉迟补颈苍颈苍驳)イノベーション」、「効率化(别蹿蹿颈肠颈别苍肠测)イノベーション」、「破壊的(诲颈蝉谤耻辫迟颈惫别)イノベーション」の3つがあります。日本は持続的、効率化という2つのイノベーションで成长を遂げましたが、人々の暮らしや価値観を変えるような破壊的イノベーションにはある意味背を向けてきたように思います。このままであれば、世界に后れを取ることになりかねません。

 教育は「百年の大計」と言われるように、大学教育に長期的な視点が求められることはもちろんです。ただ、大学を取り巻く環境が激変しつつある今日、時代の要請に応えるイノベーションを迅速に行わなければ、築いてきた伝統や教育研究環境を維持することさえできなくなります。本学は昨年策定した「SPLENDOR PLAN 2017」に基づいて、大学院の再編と人事制度改革に、真摯かつ丁寧に取り組んでまいります。

 教职员一人一人が长年积み上げてこられた経験と知恵を结集し、未来の広岛大学の础づくりをしたいと愿っております。ご理解とご支援の程どうぞよろしくお愿いいたします。

 今年一年が皆様にとりまして希望にあふれる素晴らしい年になりますことを祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

平成30(2018)年1月4日
広岛大学长 越智光夫


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