- ひとつの回路で送信と受信が可能なワンチップトランシーバを実现
これまでは送信と受信が别々のシリコンチップになっていましたが、今回は両机能を1つのシリコンチップに统合し「ワンチップトランシーバ(送受信)」を実现しました。これにより、电子机器に搭载する际の部品数の削减とシリコンチップ面积の削减によってコストダウンが可能となり、より実用化に有利となります。
- データ受信速度を大幅に向上することで毎秒80ギガビットのデータ伝送を可能に
これまで受信回路の性能制限により毎秒32ギガビットに留まっていましたが、受信回路の性能を向上させるとともに、送信回路にも改良を加え、トランシーバとして大幅なデータ伝送速度の向上を达成しました。
スマートフォンなどで広く用いられている无线トランシーバと同様にシリコン颁惭翱厂集积回路で300ギガヘルツ帯を用いた超高速データ通信が可能となったことにより、2020年から始まる第5世代モバイル通信の次の世代(ビヨンド5骋モバイル)の无线トランシーバに利用できる可能性が高くなりました。
図1. 開発したトランシーバ集積回路のシリコンチップ写真
国立大学法人広岛大学、国立研究开発法人情报通信研究机构、パナソニック株式会社は共同で、シリコン颁惭翱厂集积回路により300ギガヘルツ帯を用いて毎秒80ギガビットのデータ伝送を可能にするワンチップトランシーバの开発に世界で初めて成功しました。従来に比べデータ伝送速度を大幅に向上させるとともに、実用化に必须の「ワンチップ化」を达成したことで、300ギガヘルツ帯无线通信の実用化がより近付きました。
本研究成果は、International Solid-State Circuits Conference (ISSCC) 2019(2月17日~2月21日、サンフランシスコ)で発表および伝送実験のデモンストレーションを行います[1]。
テラヘルツ帯は、これからの高速無線通信への利用が期待されている新しい周波数資源です。2017年には無線通信規格IEEE Std 802.15.3dにより252ギガヘルツから325ギガヘルツの周波数帯域のチャネル割当が示されました.研究グループは,この中のチャネル66の周波数帯を用いて毎秒80ギガビットの通信速度を実現するワンチップトランシーバを開発しました。
研究グループは、これまで、シリコン颁惭翱厂集积回路を用いて1チャネルあたり毎秒105ギガビットのデータ送信を実现する送信器[2]や毎秒32ギガビットのデータ受信を実现する受信器[3]を実现してきました。
図2. IEEE Std 802.15.3d規格の周波数チャネル割当
今回の研究成果により、量产性に优れたシリコン颁惭翱厂集积回路による300ギガヘルツ帯を用いることにより、情报通信ネットワークなどのインフラに使用される光ファイバに匹敌する毎秒テラビットの通信能力を一般ユーザが利用可能なほど安価に実现できる可能性があることが示されました。これにより、以下に示すような300ギガヘルツ帯无线の応用展开が考えられます。
図3. 300ギガヘルツ帯無線の応用展開。
?HIROSHIMA UNIVERSITY, NICT, PANASONIC, AND 123RF.COM.
さらに将来的には、300ギガヘルツ帯を含むテラヘルツ帯の无线通信は、地上と人工卫星间の超高速无线通信に适用されることも期待されています。地上の医师や医疗础滨とリアルタイムに通信を行いながらスペースプレーン内で无重力状态で手术を行うなど、现在の技术だけでは考えられないようなことが実现できる可能性があります。
図4. 地上の医療AIと医師がテラヘルツ無線通信を介して宇宙空間の無重力状態で遠隔手術を行う。
?HIROSHIMA UNIVERSITY, NICT, PANASONIC, AND 123RF.COM.
本研究成果は、総务省「テラヘルツ波デバイス基盘技术の研究开発-300骋贬锄帯シリコン半导体颁惭翱厂トランシーバ技术-」の研究开発の一环です。
[1] S. Lee, R. Dong, T. Yoshida, S. Amakawa, S. Hara, A. Kasamatsu, J. Sato, M. Fujishima, “An 80Gb/s 300GHz-Band Single-Chip CMOS Transceiver,” IEEE International Solid-State Circuits Conference (ISSCC) 2019.
[2] K. Takano, S. Amakawa, K. Katayama, S. Hara, R. Dong, A. Kasamatsu, I. Hosako, K. Mizuno, K. Takahashi, T. Yoshida, M. Fujishima, “A 105Gb/s 300GHz CMOS transmitter,” IEEE International Solid-State Circuits Conference (ISSCC), pp. 308-309, 2017.
[3] S. Hara, K. Katayama, K. Takano, R. Dong, I. Watanabe, N. Sekine, A. Kasamatsu, T. Yoshida, S. Amakawa, M. Fujishima, “A 32Gbit/s 16QAM CMOS Receiver in 300GHz Band,” IEEE International Microwave Symposium (IMS2017), pp. 1-4, 2017.