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【研究成果】セラミックス合成过程の直接観测と计算モデル~机能性セラミックス材料の论理的合成设计をめざして~

本研究成果のポイント

  • 混合粉末の加热による驰叠补2Cu3O6+xの固相合成反応过程を齿线回折と电子顕微镜で直接観测。
  • 出発原料の様々な组合せの反応エネルギーを计算することで、反応过程の駆动力を理解。
  • 机能性セラミックス合成の论理的な设计指针。

概要

北海道大学大学院工学研究院の三浦章准教授、ローレンツバークレー研究所のクリストファー?バーテル博士、東京都立大学理学部の後藤陽介助教、広島大学大学院先进理工系科学研究科の黒岩芳弘教授、株式会社日立ハイテクの白井学博士、山梨大学大学院総合研究部の長尾雅則准教授、カリフォルニア大学バークレー校材料科学工学部のガーバード?セダー教授、ミシガン大学材料科学工学部のウェンハオ?スン助教らのグループは、複数の出発試料の混合粉末を加熱することによるセラミックス材料の生成過程を可視化し、固相合成(※1)反応を理解するための计算モデルを构筑しました。

様々な机能性材料やエネルギー材料に用いられているセラミックス材料は、复雑な组成を持つものが多く、その合成过程は明らかになっていません。この过程を调べるため、1987年に発见された高温超伝导体(※2)YBa2Cu3O6+x(通称驰叠颁翱)を採用し、放射光齿线回折(※3)、电子顕微镜と第一原理计算(※4)によって直接観测しました。出発原料の様々な组合せの反応エネルギーを计算することで、反応过程の駆动力を理解する计算モデルを提案しました。

驰叠颁翱は、酸化イットリウム(驰2O3)、过酸化バリウム(叠补翱2)、酸化铜(颁耻翱)の粉末混合物を800-1000度に加热することで合成されます。驰叠颁翱の反応过程を上记の计算モデルで直接観测することによって、反応初期では、反応エネルギーが最も大きい过酸化バリウムと酸化铜が反応することで中间生成物が形成されること、反応后期では、中间生成物が溶融し、酸化イットリウムと反応することで驰叠颁翱が生成されるというメカニズムが明らかになりました。

固相合成过程を论理的に理解することで、复雑な组成をもつ様々な新规机能性材料の合成反応を効率的に设计することが期待できます。

本研究成果は「Advanced Materials」に掲載されました。

YBCO = YBa2Cu3O6+xの固相合成反応の调査

発表内容

【背景】

多くのセラミックス材料は、复数の固体粉末を500℃以上の高温で加热する固相合成により作られています。未知のセラミックス材料を作る场合、その反応の予测は、ギブスが提案した热力学に基づく平衡状态図を用いて设计することが一般的です。今日では、计算科学による平衡状态図构筑や、热力学安定相?準安定相の网罗的な探索も可能になってきています。

しかし、これらの平衡状态図や热力学的安定性の调査は、目的とした材料合成が可能であることを保証し、合成条件を提示するものではありません。実际の固相合成は试行错误で探索的に行われており、合成の过程はほとんど调査されていません。その结果、固相合成に基づく新规材料の创出は、时间がかかり、不确実性があります。さらに、构成元素が多くなるほど出発原料选択などの合成条件の自由度が高くなり、合成条件の最适化はより困难になります。そのため、固相合成における反応経路の论理的な理解が强く望まれています。

【研究手法】

3种类以上の前駆体粉末の混合物を数百度に加热することで进行する固相合成反応过程で相変化を、放射光齿线回折、电子顕微镜と计算科学を用いて调査しました。

例えば、础、叠、颁という3种类の粉末を加热した际に反応が进行し得る2种类の粉末の组み合わせは、础と叠、础と颁、叠と颁という3种类です。どの组み合わせから反応が进行し、どのような中间生成物が形成するかを理解することは、反応を理解し予测するうえで欠かすことができません。

そこで本研究では、2种类の粉末の组み合わせで起こる反応が逐次的に进行する高温での固相反応过程を実験的に可视化し、第一原理计算を用いて出発原料の様々な组合せの反応エネルギーを计算することで、反応の駆动力を理解しました。

【研究成果】

本研究では固相合成を理解するモデルとして、1987年に発见された高温超伝导体驰叠补2Cu3O6+x(通称驰叠颁翱(ワイビーシーオー))を选択しました。驰叠补2Cu3O6+xは、酸化イットリウム(驰2O3)、炭酸バリウム(叠补颁翱3)、 酸化銅(CuO)の粉末混合物を800-1000度に加熱することで合成されます。炭酸バリウムを用いた合成反応では、YBCOの合成に十時間以上の長時間の加熱が必要です。第一原理計算は炭酸バリウムと他の化合物の反応エネルギーは小さいことを示し、放射光X線回折でも短時間では反応が進行しないことが確かめられました。

一方、炭酸バリウム(叠补颁翱3)の代わりに过酸化バリウム(叠补翱2)に置き换えると、30分以内に驰叠颁翱が生成します。过酸化バリウムを用いた反応における最初の反応は、热力学的駆动力が最も大きい粉末の组み合わせから反応が进行します。実际に、过酸化バリウムと酸化铜の组み合わせで反応が进行することが、その场齿线回折と电子顕微镜観察で明らかになりました(図1)。高温での驰叠颁翱が生成する反応では反応エネルギーが小さく、物质拡散が重要になります。バリウム、铜と酸素と构成される中间生成物が溶融して酸化イットリウムと反応することで、驰叠颁翱が短时间で生成することが明らかになりました(図2)。

このように复雑なセラミックスを合成する反応を、2相间の逐次的な反応に分けて考えることで、固相反応全体を理解することができます。

【今后への期待】

様々な机能性材料やエネルギー材料として欠かすことのできないセラミックス材料は复雑な组成を持つものが多く、その固相合成のほとんどは试行错误によって行われてきました。组成が増えるにつれ出発试料の组み合わせや割合は指数関数的に増加するため、固相合成条件を调査することは材料开発におけるボトルネックです。

本研究では、复雑な组成のセラミックス材料の合成过程においても二相间での反応が逐次的に进むと考えることで、固相合成反応の中间生成物や駆动力を理解できることがわかりました。反応エネルギーが大きい、适切な出発试料を选択することで、中间生成物を速度论的に有利な反応に诱导することが可能になります。合成反応全体を论理的に设计することで、复雑な组成をもつ様々な机能性材料のより効率的な开発が期待できます。

【谢辞】

本研究は科研費(JP16K21724、JP19H04682、JP20KK0124)、文部科学省 先端研究基盤共用促進事業 (新たな共用システム導入支援プログラム)、北海道大学大学院工学研究院マテリアル分析?構造解析共用ユニット(MASAOU)の支援を受けて実施されました。

用语解説

(※1)固相合成
固体と固体を混ぜて物质を合成する手法のこと。セラミックス材料合成においては、加热した粉末を600度以上の高温に加热することで反応が进行する。

(※2)高温超伝导体
絶対温度約25 K以上の転移温度を持つ超伝導体のこと。転移温度以下で電気抵抗が急激にゼロになる。

(※3)放射光齿线回折
高エネルギーのX线回折によって结晶相を决定する手法のこと。本研究では大型放射光施设である厂笔谤颈苍驳-8を使用した放射光齿线回折によって、高温で相変化を秒単位で観测した。

(※4)第一原理计算
量子力学に基づいて电子分布を决め、物质の物性やエネルギーを计算すること。

论文情报

  • 掲载誌: Advanced Materials
  • 論文タイトル: Observing and modeling the sequential pairwise reactions that drive solid-state ceramic synthesis (固相セラミックス合成を駆動する二相間逐次的反応の観察とモデル化)
  • 著者名: 三浦章1、Christopher J. Bartel2、后藤阳介3、水口佳一3、森吉千佳子4、黒岩芳弘4、Yongming Wang5、矢口纪恵6、白井学6、长尾雅则7、Nataly Carolina Rosero-Navarro1、忠永清治1、Gerbrand Ceder2、8、Wenhao Sun9
    1: 北海道大学大学院工学研究院
    2: ローレンツバークレー研究所
    3: 東京都立大学理学部
    4: 広島大学大学院先进理工系科学研究科
    5: 北海道大学大学院工学研究院
    6: 株式会社日立ハイテク
    7: 山梨大学大学院総合研究部
    8: カリフォルニア大学バークレー校材料科学工学部
    9: ミシガン大学材料科学工学部
  • DOI:

図1 驰叠颁翱反応初期で进行する过酸化バリウムと酸化铜との反応。左下の热力学的駆动力が最も大きい过酸化バリウムと酸化铜の界面から进行する。

図2 酸化イットリウムとバリウムと铜の中间生成物の融解によって生成する。

【お问い合わせ先】

北海道大学大学院工学研究院 准教授 三浦章 (みうらあきら)

TEL: 011-706-7116

E-mail: amiura*eng.hokudai.ac.jp

配信元

北海道大学総务企画部広报课

TEL: 011-706-2610

E-mail: jp-press*general.hokudai.ac.jp



东京都立大学管理部企画広报课

TEL: 042-677-1806

E-mail: info*jmj.tmu.ac.jp



広岛大学财务?総务室広报部

TEL: 082-424-3749 

E-mail: koho*office.hiroshima-u.ac.jp



山梨大学総务部総务课広报企画室

TEL: 055-220-8006 

E-mail: koho*yamanashi.ac.jp

(注: *は半角@に置き換えてください)


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