病院総合诊疗科 诊疗讲师 宫森大辅
罢别濒:082-257-5460 贵础齿:082-257-5461
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(注: *は半角@に置き換えてください)
広岛大学の柿本圣树助教、広岛大学病院の宫森大辅诊疗讲师、大森庆太郎诊疗讲师、小林知贵诊疗讲师、池田晃太朗医师、樫山诚也技师、大毛宏喜教授、伊藤公训教授からなる共同研究チームは、大规模オープンデータベース「日本感染症予防?医疗疫学サーベイランス(闯-厂滨笔贬贰)」※1を解析し、新型コロナウイルスの流行初期の前后での、细菌伝搬の动向を検讨しました。病原性のある10种类の细菌のうち、飞沫感染※2経路による感染伝播を主体とした3种类の细菌の検出数が着しく减少したことを明らかにしました。さらに、これらの飞沫感染を主体とする细菌の検出频度が减少した时期は、新型コロナウイルス感染症の感染対策に対する行动変容※3が開始された時期と一致していました。従って、マスクの着用やソーシャルディスタンスの感染予防対策が、新型コロナウイルス感染症のみならず、飛沫感染経路を主要な感染伝播経路とする呼吸器?気道感染症に起因する細菌群の伝播経路を遮断し、予防効果があったことを大規模な細菌学的データベースを用いて裏付けました。本研究成果は、2022年12 月1 日にイギリスの国際学術誌「Journal of Infection」誌に掲載されました。
日本では新型コロナウイルス感染症の初期段阶から、「ソーシャルディスタンス」「手洗い」「マスク着用」など、国民の意识や行动に変化が生じ、感染予防による公众卫生の向上が図られました。2020年2月上旬にクルーズ船「ダイヤモンド?プリンセス号」で新型コロナウイルス感染症が拡大し、衝撃的な报道がされた时期から、2020年5月の非常事态宣言の発出にかけての时期に、人々が接触する机会は大幅に减少しました。
同时に、新型コロナウイルス感染症は细菌の动向に大きな変化をもたらした可能性が指摘されていました。新型コロナウイルス感染后の二次性の细菌性肺炎※4が悬念されましたが、増加には至りませんでした。むしろ、新型コロナウイルス感染症の流行以降、细菌感染を起因とした肺炎の入院患者数や、それらの细菌が原因となる侵袭性细菌感染症※5の患者数は减少していると报告されています。
しかし、受诊控え?検査控えの影响により患者症例数の统计が本来の患者数の结果を反映していない可能性が指摘されていました。これを踏まえ、我々の研究チームは、不顕性感染者※6や无症状の保菌者※7を含む、细菌を主体とした动向を大规模なデータベースを用いた网罗的な検讨を行いました。
本研究では、新型コロナウイルス感染症による行动変容をもたらした2020年2月から4月の期间前后である2019年1月から2020年1月までと、2020年5月から2020年12月までを比较し、感染予防対策の効果が、细菌感染に与えた影响を网罗的に解析し、どのような感染経路(接触感染?飞沫感染?自家感染)の细菌动向に影响を与えたかを検讨しました。
データベースに登録された约200施设の入院患者について、実施された细菌培养検査より分离された1か月単位での10菌株の细菌数の时系列の変化を分割时系列分析という手法を用いて解析しました。これにより、新型コロナウイルス流行の初期段阶における细菌动向の変化を、流行前を基準として评価しました。加えて、新型コロナウイルス感染症が细菌动向全体に与えた影响を考虑するために、细菌动向全体との差を検証しました。
新型コロナウイルス感染症の流行初期の前後において、細菌全体の動向と比較しても、細菌性肺炎の原因菌として最も多い肺炎球菌(Strptococcus pneumoniae:S. pneumoniae)が、27%(95%信頼区間:19.2-35.2%)、細菌性肺炎の原因菌として肺炎球菌の次に多いインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae:H. influenzae)が24.4%(95%信頼区間:17.4-31.4%)、扁桃炎の代表的な原因菌である化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes:S. pyogenes)は32.4%(95%信頼区間:6.0-58.9%)と顕著な減少を認めました。これらの急激な検出数の変化以降は、検出数の動向に変化は認めず、低下した状況が維持されていました。(図)
一方で、主にヒトの皮膚などに主に常在し、食中毒の原因菌などにもなりうる黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus:S.aureus)や、主に膀胱炎、腎盂腎炎などの尿路感染症や腸炎などの原因菌となり得る大腸菌(Escherichia coli:E.coli)や腸球菌類 (Enterococcus faecalis: E.faecalis)など、接触感染や自家感染を来す伝搬経路について細菌検出数の変化はありませんでした。これらの結果は、個人の感染予防に対する行動変容が細菌感染の動向に大きな影響を与えており、その結果、新型コロナウイルス感染症のみならず、飛沫感染経路によって伝播する細菌感染症の動向にも一定の効果があったことを示しています。また、行動変容の継続により、感染症伝播の抑制効果が維持された可能性を示唆しています。
本研究结果から、日本の大规模データベースを用いて、新型コロナウイルスの流行初期に、飞沫感染で伝播する细菌3菌株の検出数が低下し、2020年末まで维持されたことが确认されました。新型コロナウイルス感染症および他の呼吸器细菌感染症の同时流行は、さらなる医疗逼迫につながる悬念が指摘されています。飞沫感染経路を主体とする感染症のコントロールのためには、継続的な行动変容が必要であることが本研究结果を踏まえて再认识されました。また、これらの结果は、呼吸器系细菌感染症の重症化リスクがある呼吸器疾患、免疫抑制状态、高齢者等における疾患の予防のために、启発や行动変容を行うことが一定の意义があることを示唆する结果でした。
図 分割時系列分析を用いた肺炎球菌、インフルエンザ菌、化膿連鎖球菌および細菌の総検出数の解析結果
飞沫感染を主体とする3菌株がコロナウイルス流行初期を境に予想されていた検出数から急激に低下していた。この结果は、细菌の総検出数の変化と比较しても、有意であった&苍产蝉辫;
※1 「日本感染症予防?医療疫学サーベイランス(J-SIPHE)」
薬剤耐性(础惭搁)対策アクションプランとして、厚生労働省委託事业础惭搁临床リファレンスセンターが主体となり、础惭搁対策に利活用て?きるシステムとして运営が开始された。病床のある保険医疗机関を対象として、感染症诊疗状况、感染対策や抗菌薬适正使用への取り组み、医疗関连感染の発生状况、主要な细菌や薬剤耐性菌の発生状况やそれらによる血流感染の発生状况、抗菌薬の使用状况等を参加施设が登録し、集计データは参加施设に还元される。
※2 飛沫感染
咳、くしゃみのしぶきによって、唾液などに含まれる细菌やウイルスなどの病原体が体外に放出され、それを吸い込むことにより気道粘膜などへ侵入し感染を引き起こす伝播経路を指す。
※3 行動変容
环境の変化に応じて人の行动が変化することであり、新型コロナウイルス感染症では、感染予防対策の一环としてマスク着用やアルコール消毒などが该当する。
※4 二次性肺炎
インフルエンザウイルスなど、呼吸器系のウイルス感染症に罹患した后、新たに细菌感染による肺炎を起こすこと。インフルエンザに罹患后では、高齢者を中心に、原因菌として肺炎球菌やインフルエンザ菌による细菌性肺炎を引き起こすことが多い。
※5 侵襲性細菌感染症
肺炎球菌やインフルエンザ菌、化脓レンサ球菌、髄膜炎菌が原因菌として该当する。本来は无菌环境である血液や髄液からこれらの菌が培养検査によって検出される感染症のことを指す。
※6 不顕性感染
细菌やウイルスなどの微生物に感染しながらも、感染症状を示さないことを指す。
※7 無症状の保菌者
无症候性キャリアと同义语であり、微生物に感染しながらも、症状を示さないもの。これによって、病原体を体外に排泄することによって、新たな感染が成立する。
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掲載日 : 2022年12月19日
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