河野 佑(かわの ゆう)
広島大学大学院先进理工系科学研究科 准教授
TEL: 082-424-7582
E-mail: ykawano*hiroshima-u.ac.jp
(注: *は半角@に置き換えてください)
広島大学大学院先进理工系科学研究科の河野佑准教授、イタリア?パヴィア大学?工学部のMichele Cucuzzella助教、オランダ?フローニンゲン大学理工学部のJacquelien M.A. Scherpen教授からなる研究グループは、次世代電力システムの分散発電を実現する制御アルゴリズムの開発に成功しました。小規模な発電設備を大量に併用する分散発電方式は災害に強いという利点がありますが、運用には各発電設備の情報を1箇所に集約してから個々に指令を返す必要があり、運用には莫大な計算が要求されます。これを解決するために、個々の発電設備が近隣の情報から発電量を自律分散的に計算する運用方法を提案しました。
本研究成果は、IEEE Control Systems Lettersのオンライン版に2023年6月5日付で掲載されました。
従来の电力システムでは、大きな発电所が需要者に电力を供给する集中発电方式を採用していましたが、その脆弱性が东日本大震灾で浮き彫りとなりました。一方、近年では太阳光発电、蓄电池、电気自动车などによって、需要者侧でも电力の発电?管理が可能となりつつあります。これらの设备を利用し、需要者も电力供给に协力する「分散発电方式」が新たな発电方式として世界的にも注目されています。しかしながら、その导入には、各需要者の需要量と発电量を1箇所に集约して発电量を管理する必要が出てきます。协力する需要者数が増えると発电所の负荷をより低减できますが、集约する情报が増大になり、计算が追いつかないという问题が出てきます。
図1:従来の発电方式
図2. 将来の発電方式
近くの需要者と発电量を共有するだけで、个々の需要者が自律分散的に発电できる制御アルゴリズムを开発しました。システム制御分野の専门用语を用いますと、电力システムが持つ受动性と呼ばれる性质を利活用し、未知の需要量下で全発电机の発电量を一致させる分散制御アルゴリズムを设计したことになります。発电机の规模に応じて、発电比率を调整することも可能です。提案アルゴリズムでは各需要者の情报を一箇所に集约する必要がありませんので、协力する需要者数が増えても计算量はさほど増加しません。さらに、需要量を発电所に伝える必要がなくなりますので、电力の使用状况から在宅状况や生活リズムなどのプライバシー情报が漏洩するリスクを防ぐことにもつながります。
図3.&苍产蝉辫;数値シミュレーションによる検証
(左)交流発电では决められた周波数(东侧は50贬锄、西侧は60贬锄)で电力を供给する必要があります。発电量を増やす时には発电机の性质上、上の図のように周波数が基準値からずれますが、その后に基準値に戻すことに成功し、発电机を安全に运用できています。また、下の図より、4つの発电机で均等に発电することで、必要な电力を补うことに成功しています。
(右)直流発电では决められた电圧(今回の场合は380ボルト)で电力を供给する必要があります。上の図のように発电量を増やすときには电圧が基準値からずれますが、平均的には规格电圧を守ることができていますし、个々の误差も非常に小さく、発电机を安全に运用できています。また、下の図のように2つの発电机で均等に発电することで、必要な电力を补うことに成功しています。
数値シミュレーションによって提案アルゴリズムの有効性は确认できましたので、実証実験を进めていく段阶にきています。他方、提案アルゴリズムの基础理论は受动性と呼ばれる様々な物理システムが有する性质に基づいています。そのため、上下水道や次世代型ヒートポンプシステムなど、その応用范囲のさらなる拡大が期待されます。
タイトル:Krasovskii and shifted passivity based approaches to mixed input/output consensus
著者: Yu Kawano, Michele Cucuzzella, and Jacquelien M.A. Scherpen
掲載誌:IEEE Control Systems Letters
顿翱滨:10.1109/尝颁厂驰厂.2023.3282887
河野 佑(かわの ゆう)
広島大学大学院先进理工系科学研究科 准教授
TEL: 082-424-7582
E-mail: ykawano*hiroshima-u.ac.jp
(注: *は半角@に置き換えてください)
掲載日 : 2023年06月07日
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