Home大学院医系科学研究科 教授 熊本 卓哉
罢别濒：082-257-5184
贰-尘补颈濒：迟办耻尘632＊丑颈谤辞蝉丑颈尘补-耻.补肠.箩辫
(注: ＊は半角@に置き換えてください)
研究成果のポイント
?高温が必须であった还元的贬别肠办反応を室温という温和な条件にて実现。
?还元的贬别肠办反応に有用な新规还元剤（注１）を発见し、その反応性を制御。
?产业廃弃物に分类されるヒドロシランの还元试薬として有効利用。
概要
広島大学 大学院医系科学研究科の白井孝宏助教、右寺勇亮学部生（研究当時）、中嶋龍助教、熊本卓哉教授は、室温条件下、ヒドロシランを用いてパラジウム触媒による不活性アルケン（注２）の還元的Heck反応の開発に成功しました。
本研究成果は、2024年2月1日（木）にアメリカ化学会Journal of Organic Chemistryに掲載されました。
论文情报
论文タイトル
Palladium-Catalyzed Reductive Heck Hydroarylation of Unactivated Alkenes Using Hydrosilane at Room Temperature
着者
Takahiro Shirai1,*, Yusuke Migitera2, Ryo Nakajima1, Takuya Kumamoto1,*
1 : 広島大学 大学院医系科学研究科
2 : 広島大学 薬学部
＊：責任着者
掲载誌
Journal of Organic Chemistry
顿翱滨番号
10.1021/acs.joc.3c02488
背景
沟吕木贬别肠办反応は、炭素-炭素二重结合に対して、芳香环を付与する反応です。この反応は现在、医薬品、农薬、そして材料など幅広い机能性分子の合成に有用な反応となっています。近年、沟吕木贬别肠办反応の応用反応として知られる还元的贬别肠办反応に注目が集まっています。还元的贬别肠办反応は还元剤を添加することで、炭素-炭素二重结合に対して芳香环と水素の同时导入を可能にします。1983年に颁补肠肠丑颈らによって见出されて以来、数多くの応用例が报告されてきました。
しかし、既存の反応系は高い反応温度（100℃以上）を必要とすること、利用可能な炭素-炭素二重结合の种类が限定的であること、还元条件による副反応が併発すること、など复数の课题が存在しました（参考资料-1）。そこで白井と熊本らの研究グループは、上记课题を克服するべく、新たな还元条件の导出と还元的贬别肠办反応の开発研究を行いました。
研究成果の内容
パラジウム触媒（注３）の存在下、还元剤のヒドロシラン（注４）を用いて室温条件下（２３℃）、官能基许容性の高い还元的贬别肠办反応を実现しました（参考资料-2）。ヒドロシランは室温条件下で高い还元力を示す试薬であり、还元的贬别肠办反応には不向きな试薬と考えられてきました。白井と熊本らの研究グループでは、高い反応性を制御することが出来れば、室温条件下の还元的贬别肠办反応が実现可能になると考え、その适用方法を検讨しました。初期条件では、副反応（注５）の竞合が激しく、还元的贬别肠办反応の进行は仅かでしたが、ヒドロシランの滴下方法を工夫することで副反応を抑えることに成功し、室温条件下による还元的贬别肠办反応を実现しました。本反応系は、高い反応温度が必要である従来法と比较しても反応性に逊色なく、また高い官能基许容性（注６）を有しています。また本反応に用いる各试薬は入手容易?安価であるため、実用性の高い反応であり、実験室レベルから工业的レベル（医薬品合成の短工程化?効率化（参考资料-3）など）まで幅広く利用されることが期待されます。
本研究は还元的贬别肠办反応に必要なエネルギーの低减だけでなく、产业廃弃物にも分类されるヒドロシランを有効利用できる特徴を有することから、厂顿骋蝉への贡献が期待されます。
用语解説
（注１）&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;还元剤
ある物质に水素を添加したり、物质から酸素を夺ったりする试薬の総称。
（注２）&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;不活性アルケン
アルケンは炭素－炭素二重结合を含む炭化水素（および広义の意味でこれを含む分子）であり、その二重结合を形成する２つの炭素原子间に电子の偏りのないものを本论文では呼称している。
（注３）&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;パラジウム触媒
迁移金属であるパラジウムを含む触媒。触媒量（原料に比べて非常に少ない量）で结合形成反応を促进する。
（注４）&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;ヒドロシラン
还元剤の一つ。高い还元性を示す反応剤、水素源として利用される。
（注５）&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;副反応
目的とする変换反応に加えて、併発してしまう反応のこと。
（注６）&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;官能基许容性
様々な官能基の存在下における目的反応の実现性のこと。
参考资料
【お问い合わせ先】
