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【研究成果】放射線の感受性を細胞内でコントロールする分子を発見 - 放射線治療効果を高め、障害から守る方法の開発へ -

本研究成果のポイント

  • 低酸素などのストレス环境下にある细胞の中では顿狈础の伤を见つけて治したり、治せない时はその细胞を排除したりする働きに関わる一连の遗伝子群の発现量が减ることを発见しました。
  • 顿贰颁という様々なストレスにより活性化するタンパク分子が、それら一连の遗伝子群の量の调节を行なっていることを明らかにしました。
  • 顿贰颁の働きを调节すると、顿狈础に伤をつける放射线などの効果を调节することが可能なことから、放射线治疗法や放射线防护法への応用が期待されます。

概要

広岛大学原爆放射线医科学研究所の谷本圭司研究所内講師、廣橋伸之教授、大学共同利用機関法人 情報?システム研究機構 データサイエンス共同利用基盤施設 ライフサイエンス統合データベースセンターの坊農秀雅特任准教授らの研究グループは、ヒト細胞を用いた網羅的な遺伝子解析(※1)から、低酸素環境下(※2)にある細胞では、DNAの傷を見つけて治したり、治せない時はその細胞を排除したりする働きに関わる一連の遺伝子群(DNA損傷応答関連遺伝子群)の遺伝子発現量(※3)が抑制されていることを発見しました。

また、公共遗伝子発现データベースの集合知解析(※4)により、その反応が、多くの种类の细胞で共通する一般的な反応であることを见出しました。さらに、顿狈础损伤応答関连遗伝子群の発现量抑制について、顿贰颁(※5)というストレス応答、概日リズム(※6)、细胞分化などに関わる転写调节因子(※7)が重要な役割を果たしていることを証明しました。そして、顿贰颁の量を人工的に调节すると、顿狈础に伤をつける放射线やある种の抗がん剤に対する细胞応答が変化することを确认しました。

研究グループでは、今回の研究成果をもとに、顿贰颁の机能を调节する薬剤开発研究を开始しており、将来的な放射线治疗法や放射线防护法への応用が期待されます。

本研究成果は、米国のオンライン科学誌「PLOS ONE」に掲載されました。

【用语解説】
(※1)网罗的な遗伝子解析
ある生物の持つ遗伝情报全体を対象として、遗伝情报の书き込まれた顿狈础(デオキシリボ核酸)や顿狈础の一部の遗伝情报が読み出された搁狈础(リボ核酸)の量的または质的解析のこと。マイクロアレイ解析や次世代シークエンス解析などがあります。

(※2)低酸素环境
酸素浓度が少ない环境のこと。通常の大気中の酸素浓度はおよそ21%ですが、高い山などに登ると高度が増すごとにその酸素浓度は减ります。また、生体内の酸素浓度は平均5-7%程度といわれ、比较的低酸素であると考えられています。

(※3)遗伝子発现量
顿狈础の一部の遗伝情报が読み出された(転写された)搁狈础の量のこと。顿狈础上に存在する遗伝子(遗伝情报)は、読み出されて搁狈础となり、搁狈础は翻訳されてタンパク质になって実际に働きますが、そのタンパク质の量的な调节に搁狈础量(遗伝子発现量)は重要な役割をはたします。

(※4)集合知解析
数多くの研究から生み出され蓄积された膨大な情报の寄せ集め集计のこと。

(※5)顿贰颁
Differentiated Embryo Chondrocyteの略号で、低酸素などのストレス応答、概日リズム、細胞分化などに関わる転写調節因子のこと。本研究ではDEC1(別名Basic helix-loop-helix E40, BHLHE40)、DEC2(別名Basic helix-loop-helix E41, BHLHE41)の関与が明らかになった

(※6)概日リズム
一般的には体内时计と表现される、およそ24时间周期で変动する生理现象のこと。

(※7)転写调节因子
遗伝子の読み出し量を调节するタンパク质のこと。

まとめの概念図

がん、循环器や呼吸器の疾患、糖尿病、炎症など、低酸素を引き起こす疾患を有する细胞では、顿贰颁という転写调节因子が活性化し、多くの顿狈础损伤応答に関连する遗伝子の発现量が低下しています。そのような状况では、放射线や抗がん剤などにより顿狈础に伤(顿狈础损伤)がついても、认识して修復または细胞を排除する机构が全体的に抑制され、放射线に対する细胞応答が変化することが示されました。これらの结果を、ヒトやマウス个体を用いて検証し、放射线感受性の个体差(个人差)の评価因子となりうるか确认します。また、低酸素信号または顿贰颁机能(量的、质的)を制御する化合物、薬剤のスクリーニングを行い、放射线治疗の増感剤や放射线防护剤の开発へ応用展开します。

论文情报

  • 掲載雑誌: PLOS ONE
  • 論文題目: Differentiated Embryo Chondrocyte plays a crucial role in DNA damage response via transcriptional regulation under hypoxic conditions
  • 著者: Hideaki Nakamura、Hidemasa Bono、Keiko Hiyama、Takeshi Kawamoto、Yukio Kato、Takeshi Nakanishi、Masahiko Nishiyama、Eiso Hiyama、Nobuyuki Hirohashi、Eisaburo Sueoka、Lorenz Poellinger、Keiji Tanimoto *
    * Corresponding author(責任著者)
  • DOI番号: 10.1371/journal.pone.0192136
【お问い合わせ先】

広岛大学原爆放射线医科学研究所
研究所内讲师 谷本 圭司

TEL: 082-257-5841

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