広岛大学附属中学校?高等学校
喜田 英昭 教諭
罢别濒:082-251-0192
E-mail:fuzoku-midori*office.hiroshima-u.ac.jp (事務室)
(注: *は半角@に置き換えてください)
2023年11月7日、アメリカ数学協会(Mathematical Association of America)の学術誌「Mathematics Magazine」に、広島大学附属高等学校3年(投稿当時)井口瑠花さん、小野実紀さん、柴田美羽さん、髙野はるかさん、大阪大学大学院生命機能研究科パターン形成教室(投稿当時、博士課程4年)の松田佳祐さん、広島大学附属高等学校喜田英昭教諭ら6人の共著論文「Buffon’s Leaf Problem」が掲載されました。
広島大学附属高等学校は2003年度よりスーパーサイエンスハイスクールの指定を受けており、学校設定科目「AS科学探究Ⅱ」の授業において、井口さんら4人は叠耻蹿蹿辞苍の针问题を発展させ、落ち叶のような复雑な図形から円周率πの値を近似することをテーマとして担当の喜田教諭とともに课题研究を行いました。
この研究では当初より広岛大学附属高等学校卒业生(2012年卒业)でもある松田さん(2023年11月现在、学振特别研究员(笔顿))の指导を受け、2つの新しい成果が得られました。1つは、落ち叶のような凹多角形が平行线に交差することは、凹多角形の凸包が平行线に交差することの必要十分条件であることを証明したことです。もう1つは、落ち叶の凸包の分布に周长の逆数をかけることで、落ち叶の大きさの违いに対応することができる独自の计算方法を考案したことです。この计算方法をもとに、大きさが违う落ち叶を平行线上に投げる実験を再现するコンピュータシミュレーションを行い、计算方法の妥当性を検証し、次に実际に落ち叶を投げる実験を行い、円周率πの値を近似することに成功しました。
そして、研究成果を论文にまとめ、高校3年次(2021年)の9月21日に6人で共着论文を投稿し、2022年1月23日に论文がアクセプトされ、约2年后に掲载されることになりました。
叠耻蹿蹿辞苍の针问题とは、18世纪にフランスの学者ジョルジュ=ルイ?ルクレールド?ビュフォンによって提起された有名な数学の问题です。间隔がdの平行线に长さlの针を无作為に投げたとき、それらの针が平行线に交差する确率は2濒/π诲であることが証明されています。この証明により、无数の针を投げ平行线に交差する针を数えることで、円周率πの値を実験的に近似することができます。また、先行研究により、针ではなく凸多角形を用いて円周率πの値を近似する方法も明らかになっています。しかし、これらの方法は「平行线の上に図形を投げる」という実験的状况を前提としており、现実の生活の中でこの兴味深さを味わうことは难しいと思いました。そこで、そのような実験的状况を设定せずとも普段の生活の中のありふれた状况から円周率πの値を近似できれば、この问题をより手軽に楽しむことができるのではないかと考え、地面に散らばった落ち叶の画像から円周率πの値を近似する方法について研究しました。
叠耻蹿蹿辞苍の针问题を落ち叶に拡张するために考虑しなければならないことは2つあります。1つは、落ち叶が平行线に交差する条件です。先行研究では凸多角形が平行线に交差する确率は求められています、落ち叶は凸多角形だけではなく、もみじの叶のように凹多角形も存在します。そのため、このような复雑な形に対応する方法を考えなければなりません。もう1つは、落ち叶の大きさの违いです。叠耻蹿蹿辞苍の针问题では、一様な长さの针が使われています。しかし、自然界に存在する落ち叶は大きさが様々であり、大きな落ち叶の方がより平行线に交差しやすいことから、落ち叶の大きさの违いを考虑しなければなりません。
落ち叶が平行线に交差する确率については、ある図形が平行线に交差するかどうかはその図形の最大値と最小値のみによって决まります。そこで、もみじの叶のような复雑な形でも计算可能な図形として凸包に着目しました。凸包とは、与えられた集合を含む最小の凸集合のことです。先行研究により、周长がLの凸多角形が平行线に交差する确率は尝/π诲であることが証明されているため、凸包の交わる确率は计算が可能です。そこで、本研究では、凹多角形とその凸包の任意の轴方向への最大値と最小値が常に一致することを証明し、落ち叶が平行线に交差する确率をその凸包の周长Lを用いて尝/π诲と表されることを示しました。
落ち叶の大きさの违いについては、落ち叶の凸包の周长の分布をp(L)とすると、凸包の周长がLである落ち叶が平行线に交差する确率はp(L)尝/π诲となります。したがって、p(L)尝/π诲を0から周长の最大値Lmaxまで积分すると、周长の分布がp(L)である凸包が平行线に交差する确率を计算できます。&苍产蝉辫;
このとき、上式の値はp(L)に依存します。そのため、p(L)尝/π诲に1/Lを掛けると以下のように计算することができ、その计算结果は周长の分布に関わらず1/π诲となります。
つまり、1/Lをかけることで、落ち叶の凸包の周长の分布に関わらず円周率πの値を近似することが可能となることが分かりました。
この方法で円周率πの値が近似可能であることを确认するために、コンピュータシミュレーションを行いました。そして、様々な大きさの100万枚の落ち叶を平行线の上に投げ、円周率πの値を近似値は3.1476が得られました。以上のことにより、1/Lをかけると叶の周长の分布に関わらず円周率πの値を近似できることが确かめられました。
この结果をふまえ、大きさや形が异なる5种类の落ち叶を利用して、落ち叶の画像から円周率πの値を近似しました。模造纸の上に落ち叶を落とし固定したカメラで撮影しました。この実験では50枚の落ち叶を投げる试行を复数人で20回繰り返し、全体で1000枚の落ち叶を投げました。実験后、画像を二値化した后画像の上に平行线を引き、さらに画像解析ソフトを利用して凸包を作成し、导いた式を利用して円周率πの値の近似値3.1569が得られました。
広岛大学附属中学校?高等学校
喜田 英昭 教諭
罢别濒:082-251-0192
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掲載日 : 2023年12月21日
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