日本鶏、その多様性で地球を救う!-日本鶏资源开発プロジェクト研究センターを设置-

大学院生物圏科学研究科 生物資源科学専攻 陸域動物生産学講座 (つづき まさおき)教授
に聞きました。 (2010.9.1 社会連携?情報政策室 広報グループ)
尾が伸びやすいDNA型をもつオナガドリ(国の特别天然记念物)の个体が减少し、絶灭の恐れがあるとの记事が、8月8日付け中国新闻に掲载されました。そのオナガドリのDNA型を调査したのが本学大学院生物圏科学研究科の都筑政起教授らのグループだというので、早速连络したところ、「今年4月、日本鶏资源开発プロジェクト研究センターを开设しました。センター一丸となって、日本鶏(にほんけい)の保存、研究を推进したいと思っています。本学では、オナガドリだけでなく、天然记念物に指定されたすべての品种が见られますよ。ぜひ见に来てください」と招待を受けました。
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ニワトリって?
笔者にとってのニワトリは、そうあの白いニワトリです。
日本のニワトリとしてすっかり定着していますが、実は白色レグホーンという外来品种(昔闻いたような…)だそうで、卵を多く产むように改良された品种なのだとか。优秀なものは年间300个以上もの卵を产むそうです。スーパーで、ついついカゴに入れてしまう鶏足や唐扬げも、白色コーニッシュという品种の雄と白色プリマスロックという品种の雌との交配による雑种一代の肉生产用ニワトリ(ブロイラー)なのだそうです。

白いニワトリ、白色レグホーン

ブロイラー
ニワトリの家畜化
では、もともと野生の「ニワトリ」は存在したのでしょうか?
答えはノー。
ニワトリは、人间が野生原种から改良を重ねてつくった动物(家畜)なのだという。
では、家畜化(鸟类の场合は家禽(かきん)化という)される前のニワトリの野生原种は一体何でしょうか?
セキショクヤケイ(赤色野鶏:东南アジア一帯に広く分布)を饲い惯らして、现在の鶏の祖先をつくったという単元説と、セキショクヤケイが大きく関わっているものの、その他の种も関与しているとする多元説があるそうで、新たな発见があると、単元説か、多元説かの议论が消えてはまた再燃し、现在もなおその论争は続いているそうです。

セキショクヤケイの雄(爱鶏家提供)

「日本のニワトリはスゴイんじゃ」と、教授。
人间は、何らかの目的をもって动物を利用し、その繁殖をコントロールして家畜をつくってきました。
纪元前6000年顷に起こったといわれるニワトリの家禽化以来、その时々の时代の要请、地域の特色、人々の好みなどによってさまざまな品种が生まれることになります。
上述した卵をたくさん产むという特徴を持った白色レグホーンという品种は、その代表例でしょうか。
例えば犬だと、チワワとかトイプードルとかが品种で、同一品种の中の色违いが内种(ないしゅ)というようです。
家畜の种类によってはこの内种は存在しないそうですが、ニワトリでは、1つの品种に多くの内种が存在するのが普通とのこと。
世界にどれほどのニワトリ品种が存在するのか正确には分からないようですが、200品种强ではないかと教授はいいます。
そのうち、日本では40-50品种が作出されているのだそうで、「これは世界のニワトリの品种の20-25%が作出されたということです。実に惊くべき数値だと思いませんか?」と、教授の话に力が入ります。
日本鶏って?
日本鶏(にほんけい)にはさまざまな品種があり、かつそのほとんどは観賞用の品種だそうですが、ではそれらは、どのようにできてきたのでしょうか? そもそも、「日本鶏はどこから来たの?」との筆者の疑問に、日本鶏のルーツに関する文献はほとんど残っていなくて、一般的には次のように考えられていると教授はいいます。
(1)纪元前の弥生时代、现在の土佐地鶏などの地鶏の祖先が既に存在した(主に朝鲜半岛経由、一部南西诸岛経由で流入したと考えられている)。
(2)平安時代に、遣唐使船によって小国(ショウコク)の祖先が中国より渡来した。江戸時代の初期に、朱印船により、大軍鶏(オオシャモ)、矮鶏(チャボ)、烏 骨鶏(ウコッケイ)の祖先が、タイ、ベトナム、中国もしくはインドから、それぞれ伝来した。
(3)江戸时代の锁国期を通じ、各种(各地)の地鶏、小国、大军鶏、矮鶏、乌骨鶏がさまざまに交配、纯化されて、江戸时代の终わり(一部は明治时代の初期)までに、现存するほぼ全ての観赏用品种が成立した。
(4)明治时代になると多种类の外国鶏が输入されるようになり、日本の在来鶏とさまざまな交配がなされて、明治?大正期を通じて卵肉の生产を目的とした実用品种が育成された。その代表的なものに名古屋(ナゴヤ)がある。
鶏にもブランド化
最近、「ナゴヤコーチン」とか「比内地鶏」とかブランド鶏肉の名前をよく耳にしませんか、と教授。
さすがに笔者はブランド鶏肉には手が出ないものの、地鶏と书かれたものを手に取ることが多いように思う。
教授は、これらは一般のブロイラーとは违って、一般的に日本在来のニワトリ品种と、主に米国由来の商用鶏品种を交雑して作り出されていて、各県がそれぞれ工夫を凝らして闯础厂地鶏を作出し、现在では约70种类の闯础厂地鶏があるといいます。

シャモロック(オオシャモと白色プリマスロックとの雑种)
この日本在来品种にはオオシャモが使われることが多いそうですが、ではなぜ、闯础厂地鶏作出に、日本鶏が使われるのでしょうか?
「日本鶏の肉が旨いからですよ」と教授。
「わざわざ日本鶏と外国鶏を交配しなくても、日本鶏をそのまま食べればもっとおいしいのではないですか?」と笔者。
日本鶏は、主として観赏用に作られてきたので、商业ベースに乗せられるほど効率的に生产ができないことが一つ。
そしてもう一つは、日本鶏の多くはその特异性により、国の天然记念物に指定されて、天然记念物に指定された纯粋品种の肉は商业ルートに乗せることはできないのだという。
天然记念物
日本鶏の15品種並びに地鶏類およびシャモ類の2グループが天然记念物に指定されています。
本学には天然记念物に指定された全品種の鶏がいるそうです。
ニワトリの遗伝子の働き
遗伝するもの(遗伝形质)には、ニワトリの羽の色が「白い」とか「黒い」とか、トサカの形が违うとか、アレとコレに区别できる非连続的な「质的形质」と、体が大きいとか小さいとか、连続的に変化?分布する「量的形质」の2种类の形质があります。
质的形质では原则的に1つの形质が1つの遗伝子座によって支配されているため、比较的容易にその解析ができたようですが、量的形质においては、1つの形质が复数の遗伝子によって支配されており、支配形式も复雑であったため、それら遗伝子座の染色体上の位置を特定することは长い间不可能だったそうです。

トサカもさまざま。「バラ冠」というトサカをもつ鶏
新しい遗伝解析法(QTL解析)
ところが、コンピュータの発达、マイクロサテライト顿狈础マーカーが开発されたことにより、1990年代から、「量的形质」を支配している遗伝子座の染色体上の位置を明らかにすることが可能になったと、教授はいいます。
マイクロサテライト顿狈础とは、ゲノム(全染色体)上に多数散在する2ないし数塩基の反復配列で、メンデル型の遗伝をすること、アリル(対立遗伝子:血液型における础型、叠型、翱型があたる)数が多いこと、笔颁搁法(顿狈础を増幅させる実験手法)により容易に検出できることなどから、遗伝マーカーとして极めて优れているという。
「量的形質遺伝子座 (quantitative trait loci: QTL)」を知るQTL解析法は、量的形質を支配している遺伝子の構造や機能などを直接的に明らかにする方法ではなく、その遺伝子座の染色体上の位置を明らかにするための方法なのだそうで、量的形質を支配している遺伝子が何なのかその詳細が分からなくても、その遺伝子座の染色体上での位置を同定することができる便利な方法だと教授はいう。その際、標識?目印(マーカー)となるのが、マイクロサテライトDNA座なのだとか。

QTL解析による遺伝子座の検出例 (図下方の横軸は染色体を意味し、ピークの真下(矢印で示した位置)に目的とするQTL(遺伝子座)が存在する。マーカーAとマーカーBを利用することにより、このQTLが検出された。
つまり、ニワトリの育种改良を考えた场合、例えば、「体重を増やせ!」と命令する遗伝子の详细が分からなくても、染色体上のどのあたりにあるのかを探しだすことができれば、より体重の多いニワトリ个体の作出が可能になるのです。
この遗伝子座の位置情报を役立たせて家畜改良を行う方法をマーカーアシスト育种(选抜)法というのだそうです。マーカーアシスト育种法を用いれば、优良なニワトリを、これまでよりも迅速かつ正确に作出することができるのだそうです。
蚕罢尝解析では、数百から数千のニワトリを解析する必要があるそうです。またそれぞれの个体に対し、200种类ものマイクロサテライト顿狈础を调べる必要があるそうです。すなわち解析する総サンプル数は、数万から数十万にのぼるそうです。
要するに、マーカーアシスト育种に至るまでに、ニワトリ饲育およびデータ採取において、文字通り泥まみれの悪戦苦闘(労力)が必要とのことでした。またエサ代、试薬代等も膨大なものになるという。
「しかし、やりがいがある!
现在、将来の地球温暖化がもたらす危机が声高に叫ばれていますが、鶏卵?鶏肉の生产においても危机の到来が容易に予测されます。
现时点で高生产性を発挥して世界を席巻している欧米由来のニワトリは暑热に弱く、今夏の猛暑でも、その生产性が低下している事実が报道されています。
すなわち、将来の激しい地球温暖化に备え、暑热环境下でも高性能を発挥するニワトリをつくる必要があります。
蚕罢尝解析を用いれば、体重や产卵率などを増加させる遗伝子座を把握することができるのみでなく、暑热に対する抵抗性を支配する遗伝子座を検出することもできます。
日本鶏の多くはもともと観赏用ですが、これまでの蚕罢尝解析その他の研究によって、卵生产や肉生产に有利な遗伝子も隠し持っていることが分かって来ています。
また、暑さに强い遗伝子をもった品种も存在することが明らかになりつつあります。
すなわち、日本鶏を研究することで、暑热环境下でも卵生产、肉生产に优れたニワトリを作り出すことが可能だと考えられます。
サンプル数が多くなればなるほど、正确な结果が得られます。でもやりたいことに设备や経费が追いついてくれません」
と、费用捻出に头が痛い教授です。

サンプル数が多いほど、遗伝子座の正确な位置に近づけるんです。
優良国産鶏を開発したい! さらには世界展開も!
现在の日本では、われわれが口にする卵も鶏肉も、その元となるニワトリ(原种鶏)のほとんどが外国产です。
日本は、たくさん卵を产んだり、成长が极めて早いという「高性能ニワトリ(原种鶏)」をほとんど保有していないというのです。见かけの自给率こそ鶏卵は95%程度、鶏肉は70%程度だそうですが、真の自给率は、鶏卵6%程度、鶏肉1%未満なのだという。外国に原种鶏を依存しているということはリスクが高いということに他なりません。
「现代は全遗伝子情报が解読される时代です。
マーカー顿狈础を利用した蚕罢尝解析法で遗伝子の染色体上の位置が分かれば、シークエンス解読情报と照合することで、その遗伝子が何の遗伝子であるか同定することが可能になるはず。この遗伝子が同定できれば、家畜集団から优良な个体を、マーカーアシスト选抜よりもさらに正确に选抜することが可能になると期待しています。日本鶏がもつ多様性を利用することで、蚕罢尝解析およびその后の遗伝子同定を能率よく遂行することができると考えられます。得られた遗伝情报を活用することにより、我が国の鶏卵?鶏肉の自给率向上に贡献できたらうれしい」
「さらに、我が国で作出したニワトリやその作出技术の世界展开を行えば、我が国のみでなく、我が国と同じような状况に置かれている世界の国々を救うことができます。
また、将来の温暖环境下においても高性能を発挥するニワトリを开発し世界展开を行えば、地球规模で、鶏卵?鶏肉の安定供给に贡献することができます。鶏卵、鶏肉には宗教的禁忌がほとんどないので、现在ニワトリは世界规模で、タンパク供给源として絶大な地位を占めています。この状况は将来的にも守る必要があります。日本鶏を用いた研究をもとに、その一助になればと思います」と教授。
先进的手法により优良国产鶏を开発したいと意気込む教授の现在の梦は、今年4月に开设した日本鶏资源开発プロジェクト研究センターが、大学附属のセンターになること。そして研究を加速させ、「ニワトリの広大」を世界に発信したいという。
鶏舎见学からの帰り、孵卵机で孵ったヒヨコたちを鶏舎に运ぶ学生さんとばったり。その场に座り込んでヒヨコの様子を観察したり、研究の进捗状况を闻いたり。たった今自分が确かめてきた鶏舎内の鶏の様子も彼に报告。打ち合わせはにこやかに延々と続きました。

かわいい…
あとがき
「地域に根ざした伝统的な家畜が世界的に减ってきており、日本においても在来家畜の絶灭、减少が进み、危机的状况にある。新たな解析法を駆使してそれに歯止めをかけたい、『在来家畜を守るぞ!そしてその有効活用も行うぞ!』」との、都筑教授、そして日本鶏资源开発プロジェクト研究センターのメンバーの热い思いが、ビシバシと伝わってくる取材でした。
教授らは、それぞれの品种の本来の型を受け継ぐ个体を选び、その品种の絶灭を防ぎ、日本の文化财を后生に残したいと、学生たちとともに今日も汗を流します。
それにしても先生、「これが本当に1週间分のニワトリたちの饲料なんですか?」
「いえ、1週間をまかなうには、これでは足りません。もっと必要です。全部でこの1.5倍ほど必要でしょうか???。エサ代確保が大変です???。ご覧いただいてお分かりのように、ニワトリの飼育場所も足りていません。よりよい環境で育ててやりたいので、Give me (us) エサ代、Give me (us) 研究費、そして、Give me (us)鶏舎と、いつもつぶやいています」「一日も早く夢が叶うといいですね?先生!」(O)

Give me エサ代……